僕の妄想日記

天音 零採

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一話完結

後輩の好きな人

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図書室で出会った人は、部活の冴えない副部長だった。
一瞬だった。僕は先輩に恋をした。一目ぼれの初恋だ。

なんで?と思った。だって、相手は男で副部で先輩だ。見た目もパッとしない、顔もイケメンというわけではない。ただ、同じ本に手を伸ばして、目と目が合って、先輩の猫っ毛がふわっと揺れた。それだけなんだ。
それだけなのに。先輩は笑って「ごめんね。隼人君もこの本が好きなの?」と聞いてきた。
「少し気になって…」と返せば「そっか!おススメだよ、俺この本大好きなんだ。」と満面の笑みで本を渡してくれた。「じゃ、俺はこれで。気をつけて帰るんだよ。」と言って図書室から出て行った。無意識に本を抱きしめていた。

このことを友達に相談すると、尋問が開始された。え、こわ…
正直に答えると、友達は「ピュアだ。めっちゃピュア。」「どうする」「うーん、頑張れ」と言われ肩に手お置かれた。とりあえず、先輩とお近づきになりたくて挨拶から始めた。それから、見つけるたびに声をかけ覚えてもらった。部活の休憩や廊下ですれ違ったとき、授業が合同になった時。気づけば、先輩から声をかけてくれる。

たまに、図書室で会うとおススメの本を教えてくれた。先輩が話してくれる本の内容は全部面白くて楽しかった。ずっと聞いていたいと思った。話し込みすぎて遅くなると、途中まで一緒に帰ってくれた。
僕は自転車だけど、先輩の隣に行き信号まで歩く。話に夢中になると、すぐについてしまう…。先輩は名残惜しそうに「また明日、気を付けて帰れよ。」と手を振って向こう側に行く。信号の色が変わるまで、先輩の後姿を見送る。

イヤホンをつけて、一人で歩く姿。もっと一緒にいたい。隣で笑いたい。先輩の笑顔が見たい。
僕を好きになってほしい。「好きです。先輩…。」呟かれた独り言は、車の音にかき消された。ちょうど先輩が振り向いた。うぬぼれてもいいだろうか。今度一緒に帰るとき告白しよう。もう充分だ。

後ろを振り向いて、手を振った。はやく、俺に夢中になって。堕ちてきてほしい。君は俺のだよ?
「やっと、おちてくれたね。可愛い後輩ちゃん。」

告白しようと決めた日から、なぜか先輩と会えない。いや、会えるけど二人で話せない。タイミングが合わず、何度か失敗をした。それを、友達に相談すると「まじか」「そうか…」「そういえば、今日図書室寄って帰るって言ってたよ。」と助けてくれた。走って図書室に向かうと、扉が開いていた。いつもは、しっかり閉じられているはずなのに。先輩の特等席は、一番奥の隅っこ。外の景色がいい場所だ。

そこに、早足で向かうと声が聞こえた。
「や、やめ…はなせ、って、、やだって…。」。と先輩の声が聞こえた。僕は嫌な予感がして、走ると先輩が襲われていた。僕は相手を引きはがし、先輩をかばってそいつを睨んだ。「俺の先輩に触ってんじゃねーよ。」相手は驚いて走って逃げて行った。「大丈夫ですか?」と言うと「うん、隼人君が来てくれたからね。ありがとう。」と泣きそうな笑顔を見せた。「あの、すみません。僕、勢いであんなこと…」と頭を下げると「ぇ、あぁ驚いたけど、隼人君だったからうれしかったよ。」と言ってくれた。

立ち上がって制服の埃を払うと、先輩は黙った僕を見つめて首を傾げた。
今しかないと思ったんだ。
「好きです。先輩のことが好きです。僕と付き合ってくれませんか?」と告白した。

目をぎゅと瞑って言ったから、先輩がどんな表情をしているのかわからない。しばらく待っても反応がなかったので、開いてみると先輩は泣いていた。焦ってハンカチを渡すと、「ごめんね、嬉しくて…でもさっきので同情したんじゃないかって…。」と言われた。僕は、「あれは事故です。それに僕がここに来たのは、先輩に告白するためです。僕じゃ駄目ですか?」と聞いた。先輩は、ほっとして笑顔になって言ってくれた。

「俺も隼人君が好きだよ。恋人になってくれる?」
「もちろんです。先輩、これからよろしくお願いしますね。ちなみに返品不可です。なんて(笑)」

僕らは今日も一緒に帰っていた。前と違うのは距離が近くなったこと、手を繋いでいること。幸せでいっぱいです。これからも、先輩の笑顔をたくさん増やして、二人で幸せになりたいと思っています。






「本当は全部仕組んだことなんだけど、まぁ、いっか。もう俺のだし…逃がさないよ。」

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