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第一章
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暫くして、僕は泣きやみ、そっと彼女の胸から離れお礼を言う。
「......ありがとうございます...。貴女のおかげで、もう大丈夫です。」
「そのようですね…。では、貴方には決めてもらいます。」
何を?と聞こうと思ったが、彼女は確かこう言っていた。
「信念、ですか...?」
それを聞いた彼女は微笑み、
「そうです。私は先程、『魂が汚れている』と言いましたが、あんだけ泣いた今でも、貴方の心は、魂は報われておらず、このまま輪廻転生をするとまた貴方と同じ運命を辿ることになるのです。」
「成程、だから叩き斬るとか言ってたんですか。」
「みょんみょんは日本刀を使っているので、だから叩き斬るじゃないかと...まあそれはいいとして、そういうことです。」
「それで、その信念を達成するとか貫くとか、どういうことなんですか?」
僕は首を傾げ、彼女に問い質す。
そこで彼女はニヤりと一言。
「転生するんですよ。」
......ほらきた。ラノベかよ。
「いや...そんなこと言われても、全く話が繋がってないですよ?」
肩をわざとらしく竦め、その手には引っかからないぞとアピールする。
「いや、貴方は死ぬ間際に思いましたよね?『こんな思いは、させたくない』、と。」
そこで僕はハッとする。
確かに僕は、自分の境遇の人がもし居たならば、助けたいと思っていた。
「なので、その覚悟があれば、そういう世界に転生すればいいと言っているのです。」
「はあ...でもそんなことして、天使やら神やらの間で問題にならないんですか?そんなポンポン転生させる勢いで。」
「勘違いしないでください。貴方が特例で、異質で、例外なだけなのです。少なくとも我々が担当している魂の中で、転生できる許可が降りたのは貴方だけですよ?言っときますがそれでも不満なら地球まるまる破壊も可能なのですから。」
「それはゴータマ・シッダッタさんとかイエスさんが怒りますよ。」
「いいんです。イエス様はともかく、ゴータマ・シッダッタ様はそこまで権力持ってませんし。」
「仏教バカにすんなよ!多神教は世界に平和をもたらすんだからな!!」
「馬鹿にはしてないじゃないですか…。はあ、まあいいです。では、貴方はどうしますか?消えます?それとも転生します?」
そう問われた僕は、何の抵抗もなく「転生でお願いします」と口を滑らせそうになる。
「...待ってください、一体何処に転生させるつもりなんですか?まさか異世界とか言わないですよね…??日本ですよね??!」
「貴方何言ってるんですか。異世界に決まってるじゃないですか。」
「何でだよ!」
彼女は呆れたように首を振る。
「貴方は今までの記憶と性格をたもったまま新たな生を授かるのです。同じ世界に生まれたら『同じ世界に同じ人物が2人存在している』ことになりますので、誕生した瞬間貴方の故郷は消失しますよ?」
お、おふぅ......
意外と真面目な理由でダメだったのか...
「なら、もう決まったも同然じゃないですか。」
「ほう...?」
今度こそ僕は、はっきりと願いを持って、信念をその胸に宿し、言う。
「異世界転生でお願いします!」
「......ありがとうございます...。貴女のおかげで、もう大丈夫です。」
「そのようですね…。では、貴方には決めてもらいます。」
何を?と聞こうと思ったが、彼女は確かこう言っていた。
「信念、ですか...?」
それを聞いた彼女は微笑み、
「そうです。私は先程、『魂が汚れている』と言いましたが、あんだけ泣いた今でも、貴方の心は、魂は報われておらず、このまま輪廻転生をするとまた貴方と同じ運命を辿ることになるのです。」
「成程、だから叩き斬るとか言ってたんですか。」
「みょんみょんは日本刀を使っているので、だから叩き斬るじゃないかと...まあそれはいいとして、そういうことです。」
「それで、その信念を達成するとか貫くとか、どういうことなんですか?」
僕は首を傾げ、彼女に問い質す。
そこで彼女はニヤりと一言。
「転生するんですよ。」
......ほらきた。ラノベかよ。
「いや...そんなこと言われても、全く話が繋がってないですよ?」
肩をわざとらしく竦め、その手には引っかからないぞとアピールする。
「いや、貴方は死ぬ間際に思いましたよね?『こんな思いは、させたくない』、と。」
そこで僕はハッとする。
確かに僕は、自分の境遇の人がもし居たならば、助けたいと思っていた。
「なので、その覚悟があれば、そういう世界に転生すればいいと言っているのです。」
「はあ...でもそんなことして、天使やら神やらの間で問題にならないんですか?そんなポンポン転生させる勢いで。」
「勘違いしないでください。貴方が特例で、異質で、例外なだけなのです。少なくとも我々が担当している魂の中で、転生できる許可が降りたのは貴方だけですよ?言っときますがそれでも不満なら地球まるまる破壊も可能なのですから。」
「それはゴータマ・シッダッタさんとかイエスさんが怒りますよ。」
「いいんです。イエス様はともかく、ゴータマ・シッダッタ様はそこまで権力持ってませんし。」
「仏教バカにすんなよ!多神教は世界に平和をもたらすんだからな!!」
「馬鹿にはしてないじゃないですか…。はあ、まあいいです。では、貴方はどうしますか?消えます?それとも転生します?」
そう問われた僕は、何の抵抗もなく「転生でお願いします」と口を滑らせそうになる。
「...待ってください、一体何処に転生させるつもりなんですか?まさか異世界とか言わないですよね…??日本ですよね??!」
「貴方何言ってるんですか。異世界に決まってるじゃないですか。」
「何でだよ!」
彼女は呆れたように首を振る。
「貴方は今までの記憶と性格をたもったまま新たな生を授かるのです。同じ世界に生まれたら『同じ世界に同じ人物が2人存在している』ことになりますので、誕生した瞬間貴方の故郷は消失しますよ?」
お、おふぅ......
意外と真面目な理由でダメだったのか...
「なら、もう決まったも同然じゃないですか。」
「ほう...?」
今度こそ僕は、はっきりと願いを持って、信念をその胸に宿し、言う。
「異世界転生でお願いします!」
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