9 / 12
第二章
1.第二の人生
しおりを挟む
目が覚めると、真っ白い天井が僕を出迎えてくれた。
どうやら僕は、仰向けに寝ているようだ。
現状を把握し切れていないまま起き上がろうとして、ぐっと全身に力を入れる。
「あらあらアークちゃ~ん。ママはそんなに嫌なのかな~?」
しかし、何者かによって僕が起き上がろうとするのを妨害される。
...ん?待て。
アークちゃんとやらは一体誰なんだ?
「お腹が空いたのかな~?それともオムツかな~?」
僕は自らの手を眺めてみる。
小さい。
あとなんかすごい口の中にこの手を入れたい。
僕は欲望に負け、自分の握り拳を口の中に突っ込んだ。
「あらー、おててがばっちくなりますよー…」
がむしゃらに手を食べていると今度は、急に悲しくなってきて、泣きそうになる。
......もしや俺は...?
「あららー、どうちまちたか~??お眠いんでちゅかー?」
何故か悲しみが頂点に達し、僕は堪らず泣きわめく。
「あらあらアーク!ごめんねーよしよしぃー」
僕は全てを察した。
そしてこれからが本当の地獄だということを、瞬時に理解してしまった──
つまりは、僕は赤ちゃんなのだと──
「お腹が空いたのねー!じゃあおっぱいあげましょーねー」
やめろっ...
僕は、僕はこんな......
「はい、アーン」
いや、哺乳瓶とかはないんでしょうか…?
だからそれを近づけないで...
確かにさ、栄養は取らないといけないけどさ!
でもそれを受け入れたら、僕はなにか大切なものを失ってしまうようなきがするんだよっ!!
だからやめてぇ!
ぃやめろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!?
............
......
...
この日、僕は赤ちゃんの本能に負け、一生の黒歴史になる記憶(以後数え切れぬほど作った)を刻みつけたのであった──
僕は、獣人の国「ガストロボ帝国」の伯爵家、ペネツェラッテ家の長男として生まれた。
種族は狐族で、僕は珍しい白狐に生まれた。
父はガスレア、母はミルバ、そして今年で12になる妹のルルシャが、僕の新しい家族だ。
赤ちゃんだった僕は、4歳になってようやく完全に自分自身をコントロールできるようになった。
取り敢えず僕は、この世界のことを勉強するために、文字を覚えた。
話す時には問題なく伝わるのだが、何故か文字はその世界の文字だったので、多分天使は「文字ぐらいはどうにかするだろう」と思ったのだろう。面倒くさい。
僕は一年かけて文字を習得し、9歳になるまでにはどんな魔術論文でも読めるようになっていた。
そして、10歳を迎える頃には、魔術をほぼ完璧、魔道をある程度まで(知識面で)極めていた。
そして僕は、帝国で最も難関と言われる『アルテリア国際魔学院』への入学希望を、両親に話した。
僕には信念を貫き通す義務があるし、それに後で説明するが、『顕現者』としての義務もあったからだ。
前世の僕のような思いは、誰にもさせたくない──と。
「父さん...いいでしょうか。僕には行かなきゃ行けない理由があるんです。」
「......言ってみなさい。」
父さんの組まれた腕は、若干震えていた。
「『顕現者』の能力の影響で、僕はどうやら魔神を封印しなければならないのです。」
「では、あの噂は本当だったのか…それよりも、アーク。お前は大丈夫なのか?それはもはや、我々が住む世界の話ではなくなるぞ…?」
自分の息子を守りたい──
そんな思いがキシキシと伝わってくる。
しかし、僕は揺るがない。そこに破滅が待っているというのならば──運命を嘲笑い、前に進むだけだ。
「大丈夫ですよ父さん。僕ははなから死ぬつもりも、まして世界が滅びるのを悠々と待つつもりもありません。」
「...」
父さんは目を閉じ、考え込むように息を吐いた。
そして──
「いいだろう。俺もなんだかんだ言って学院卒だし、色々学ぶことが出来るのはいいことだしな。」
そう言って、ニカッと笑う。
「母さんもそれでいいか?」
父さんは母さんの方を見て言った。
「いいんじゃないかしら。それに、もうアークも14ですし、何も恋沙汰がないとつまらないですからねぇ~」
「母さんっ!」
笑顔でなんと恐ろしいことを言うのか…
僕は、見た目は14歳の少年だけど、実際はいい年したおっさんなんだぞ...?!(どちらにもそのことは言っていない。)
「それもそうだなぁ!食卓の話題がアークの彼女になったら、飯が3倍美味くなるだろうな!」
「あなた...それはどういう意味かしら......??」
「...っあー、いや、特に意味は無いぞ?!いつもめっちゃ美味いからな?!だからその右手に持ってるレイピアを下ろしt──」
「ハアァッッ!!」
母さんの突きが眉間にクリーンヒットした父は、書斎の壁に穴を開けてぶっ飛んでいく。
「あー、ありゃ相当飛ばされたな…」
僕は、父さんが飛ばされた方に手を合わせて、自業自得だしょうがない、と、祈っておいた。
母がレイピアを鞘に収める所に、この騒ぎを察して妹が走ってくる。
「こらこらー、廊下は走っちゃダメでしょ?ルルシャ。」
「何言ってるの母さん!さっき父さんが飛ばされて逝ったところを......って母さんっ??!何で書斎がこんなになってるの?」
「ルルシャ、父さんのいつものだ。こればっかりは......」
「いやそうは言っても...」
困り果てた顔をして、穴の空いた壁を見るルルシャ。
「そうそう!アークがね、ついに学院への入学を決意したのよー!」
父さんのことなぞ知らぬいと言わんばかりにいってのける母さん。
「え、兄さん本当?!確かあそこは超難関だったはずじゃ...」
「大丈夫よー。だってアークだものー♪」
いや、母さんそれは全く信頼性がないよ…
「そうだよね…兄さんだもんね!」
「ルルシャもかい...」
ルルシャは母さんに似たんだろう。適当すぎる。
「それじゃあ、今日はお母さん、張り切ってお料理しちゃうんだから~!」
そう言い笑顔で台所へと消える母さん。
「私も手伝いする~」
結局母さんの手伝いをしに行った妹。
「結局僕がこの部屋治すんだよなぁ…」
そう嘆く僕だったが、誰もいなくなった書斎に響くだけだった。
どうやら僕は、仰向けに寝ているようだ。
現状を把握し切れていないまま起き上がろうとして、ぐっと全身に力を入れる。
「あらあらアークちゃ~ん。ママはそんなに嫌なのかな~?」
しかし、何者かによって僕が起き上がろうとするのを妨害される。
...ん?待て。
アークちゃんとやらは一体誰なんだ?
「お腹が空いたのかな~?それともオムツかな~?」
僕は自らの手を眺めてみる。
小さい。
あとなんかすごい口の中にこの手を入れたい。
僕は欲望に負け、自分の握り拳を口の中に突っ込んだ。
「あらー、おててがばっちくなりますよー…」
がむしゃらに手を食べていると今度は、急に悲しくなってきて、泣きそうになる。
......もしや俺は...?
「あららー、どうちまちたか~??お眠いんでちゅかー?」
何故か悲しみが頂点に達し、僕は堪らず泣きわめく。
「あらあらアーク!ごめんねーよしよしぃー」
僕は全てを察した。
そしてこれからが本当の地獄だということを、瞬時に理解してしまった──
つまりは、僕は赤ちゃんなのだと──
「お腹が空いたのねー!じゃあおっぱいあげましょーねー」
やめろっ...
僕は、僕はこんな......
「はい、アーン」
いや、哺乳瓶とかはないんでしょうか…?
だからそれを近づけないで...
確かにさ、栄養は取らないといけないけどさ!
でもそれを受け入れたら、僕はなにか大切なものを失ってしまうようなきがするんだよっ!!
だからやめてぇ!
ぃやめろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!?
............
......
...
この日、僕は赤ちゃんの本能に負け、一生の黒歴史になる記憶(以後数え切れぬほど作った)を刻みつけたのであった──
僕は、獣人の国「ガストロボ帝国」の伯爵家、ペネツェラッテ家の長男として生まれた。
種族は狐族で、僕は珍しい白狐に生まれた。
父はガスレア、母はミルバ、そして今年で12になる妹のルルシャが、僕の新しい家族だ。
赤ちゃんだった僕は、4歳になってようやく完全に自分自身をコントロールできるようになった。
取り敢えず僕は、この世界のことを勉強するために、文字を覚えた。
話す時には問題なく伝わるのだが、何故か文字はその世界の文字だったので、多分天使は「文字ぐらいはどうにかするだろう」と思ったのだろう。面倒くさい。
僕は一年かけて文字を習得し、9歳になるまでにはどんな魔術論文でも読めるようになっていた。
そして、10歳を迎える頃には、魔術をほぼ完璧、魔道をある程度まで(知識面で)極めていた。
そして僕は、帝国で最も難関と言われる『アルテリア国際魔学院』への入学希望を、両親に話した。
僕には信念を貫き通す義務があるし、それに後で説明するが、『顕現者』としての義務もあったからだ。
前世の僕のような思いは、誰にもさせたくない──と。
「父さん...いいでしょうか。僕には行かなきゃ行けない理由があるんです。」
「......言ってみなさい。」
父さんの組まれた腕は、若干震えていた。
「『顕現者』の能力の影響で、僕はどうやら魔神を封印しなければならないのです。」
「では、あの噂は本当だったのか…それよりも、アーク。お前は大丈夫なのか?それはもはや、我々が住む世界の話ではなくなるぞ…?」
自分の息子を守りたい──
そんな思いがキシキシと伝わってくる。
しかし、僕は揺るがない。そこに破滅が待っているというのならば──運命を嘲笑い、前に進むだけだ。
「大丈夫ですよ父さん。僕ははなから死ぬつもりも、まして世界が滅びるのを悠々と待つつもりもありません。」
「...」
父さんは目を閉じ、考え込むように息を吐いた。
そして──
「いいだろう。俺もなんだかんだ言って学院卒だし、色々学ぶことが出来るのはいいことだしな。」
そう言って、ニカッと笑う。
「母さんもそれでいいか?」
父さんは母さんの方を見て言った。
「いいんじゃないかしら。それに、もうアークも14ですし、何も恋沙汰がないとつまらないですからねぇ~」
「母さんっ!」
笑顔でなんと恐ろしいことを言うのか…
僕は、見た目は14歳の少年だけど、実際はいい年したおっさんなんだぞ...?!(どちらにもそのことは言っていない。)
「それもそうだなぁ!食卓の話題がアークの彼女になったら、飯が3倍美味くなるだろうな!」
「あなた...それはどういう意味かしら......??」
「...っあー、いや、特に意味は無いぞ?!いつもめっちゃ美味いからな?!だからその右手に持ってるレイピアを下ろしt──」
「ハアァッッ!!」
母さんの突きが眉間にクリーンヒットした父は、書斎の壁に穴を開けてぶっ飛んでいく。
「あー、ありゃ相当飛ばされたな…」
僕は、父さんが飛ばされた方に手を合わせて、自業自得だしょうがない、と、祈っておいた。
母がレイピアを鞘に収める所に、この騒ぎを察して妹が走ってくる。
「こらこらー、廊下は走っちゃダメでしょ?ルルシャ。」
「何言ってるの母さん!さっき父さんが飛ばされて逝ったところを......って母さんっ??!何で書斎がこんなになってるの?」
「ルルシャ、父さんのいつものだ。こればっかりは......」
「いやそうは言っても...」
困り果てた顔をして、穴の空いた壁を見るルルシャ。
「そうそう!アークがね、ついに学院への入学を決意したのよー!」
父さんのことなぞ知らぬいと言わんばかりにいってのける母さん。
「え、兄さん本当?!確かあそこは超難関だったはずじゃ...」
「大丈夫よー。だってアークだものー♪」
いや、母さんそれは全く信頼性がないよ…
「そうだよね…兄さんだもんね!」
「ルルシャもかい...」
ルルシャは母さんに似たんだろう。適当すぎる。
「それじゃあ、今日はお母さん、張り切ってお料理しちゃうんだから~!」
そう言い笑顔で台所へと消える母さん。
「私も手伝いする~」
結局母さんの手伝いをしに行った妹。
「結局僕がこの部屋治すんだよなぁ…」
そう嘆く僕だったが、誰もいなくなった書斎に響くだけだった。
0
あなたにおすすめの小説
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢の騎士
コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。
異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。
少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。
そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。
少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる