孤灯の英雄

群青(@ultamarine0821)

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第二章

1.第二の人生

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目が覚めると、真っ白い天井が僕を出迎えてくれた。

どうやら僕は、仰向けに寝ているようだ。
現状を把握し切れていないまま起き上がろうとして、ぐっと全身に力を入れる。

「あらあらアークちゃ~ん。ママはそんなに嫌なのかな~?」

しかし、何者かによって僕が起き上がろうとするのを妨害される。
...ん?待て。
アークちゃんとやらは一体誰なんだ?

「お腹が空いたのかな~?それともオムツかな~?」

僕は自らの手を眺めてみる。
小さい。
あとなんかすごい口の中にこの手を入れたい。
僕は欲望に負け、自分の握り拳を口の中に突っ込んだ。

「あらー、おててがばっちくなりますよー…」

がむしゃらに手を食べていると今度は、急に悲しくなってきて、泣きそうになる。
......もしや俺は...?

「あららー、どうちまちたか~??お眠いんでちゅかー?」

何故か悲しみが頂点に達し、僕は堪らず泣きわめく。

「あらあらアーク!ごめんねーよしよしぃー」

僕は全てを察した。
そしてこれからが本当の地獄だということを、瞬時に理解してしまった──
つまりは、僕は赤ちゃんなのだと──

「お腹が空いたのねー!じゃあおっぱいあげましょーねー」
やめろっ...
僕は、僕はこんな......

「はい、アーン」

いや、哺乳瓶とかはないんでしょうか…?
だからそれを近づけないで...
確かにさ、栄養は取らないといけないけどさ!
でもそれを受け入れたら、僕はなにか大切なものを失ってしまうようなきがするんだよっ!!
だからやめてぇ!

ぃやめろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!?

............

......

...
この日、僕は赤ちゃんの本能に負け、一生の黒歴史になる記憶(以後数え切れぬほど作った)を刻みつけたのであった──






僕は、獣人の国「ガストロボ帝国」の伯爵家、ペネツェラッテ家の長男として生まれた。

種族は狐族で、僕は珍しい白狐に生まれた。

父はガスレア、母はミルバ、そして今年で12になる妹のルルシャが、僕の新しい家族だ。

赤ちゃんだった僕は、4歳になってようやく完全に自分自身をコントロールできるようになった。

取り敢えず僕は、この世界のことを勉強するために、文字を覚えた。

話す時には問題なく伝わるのだが、何故か文字はその世界の文字だったので、多分天使は「文字ぐらいはどうにかするだろう」と思ったのだろう。面倒くさい。

僕は一年かけて文字を習得し、9歳になるまでにはどんな魔術論文でも読めるようになっていた。

そして、10歳を迎える頃には、魔術をほぼ完璧、魔道をある程度まで(知識面で)極めていた。

そして僕は、帝国で最も難関と言われる『アルテリア国際魔学院』への入学希望を、両親に話した。

僕には信念を貫き通す義務があるし、それに後で説明するが、『顕現者』としての義務もあったからだ。

前世の僕のような思いは、誰にもさせたくない──と。

「父さん...いいでしょうか。僕には行かなきゃ行けない理由があるんです。」

「......言ってみなさい。」

父さんの組まれた腕は、若干震えていた。

「『顕現者』の能力の影響で、僕はどうやら魔神を封印しなければならないのです・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「では、あの噂は本当だったのか…それよりも、アーク。お前は大丈夫なのか?それはもはや、我々が住む世界の話ではなくなるぞ…?」

自分の息子を守りたい──
そんな思いがキシキシと伝わってくる。
しかし、僕は揺るがない。そこに破滅が待っているというのならば──運命を嘲笑い、前に進むだけだ。

「大丈夫ですよ父さん。僕ははなから死ぬつもりも、まして世界が滅びるのを悠々と待つつもりもありません。」

「...」
父さんは目を閉じ、考え込むように息を吐いた。

そして──
「いいだろう。俺もなんだかんだ言って学院卒だし、色々学ぶことが出来るのはいいことだしな。」

そう言って、ニカッと笑う。

「母さんもそれでいいか?」

父さんは母さんの方を見て言った。

「いいんじゃないかしら。それに、もうアークも14ですし、何も恋沙汰がないとつまらないですからねぇ~」

「母さんっ!」
笑顔でなんと恐ろしいことを言うのか…
僕は、見た目は14歳の少年だけど、実際はいい年したおっさんなんだぞ...?!(どちらにもそのことは言っていない。)

「それもそうだなぁ!食卓の話題がアークの彼女になったら、飯が3倍美味くなるだろうな!」


「あなた...それはどういう意味かしら......??」


「...っあー、いや、特に意味は無いぞ?!いつもめっちゃ美味いからな?!だからその右手に持ってるレイピアを下ろしt──」

「ハアァッッ!!」
母さんの突きが眉間にクリーンヒットした父は、書斎の壁に穴を開けてぶっ飛んでいく。
「あー、ありゃ相当飛ばされたな…」

僕は、父さんが飛ばされた方に手を合わせて、自業自得だしょうがない、と、祈っておいた。
母がレイピアを鞘に収める所に、この騒ぎを察して妹が走ってくる。

「こらこらー、廊下は走っちゃダメでしょ?ルルシャ。」

「何言ってるの母さん!さっき父さんが飛ばされて逝ったところを......って母さんっ??!何で書斎がこんなになってるの?」

「ルルシャ、父さんのいつものだ。こればっかりは......」

「いやそうは言っても...」

困り果てた顔をして、穴の空いた壁を見るルルシャ。

「そうそう!アークがね、ついに学院への入学を決意したのよー!」
父さんのことなぞ知らぬいと言わんばかりにいってのける母さん。

「え、兄さん本当?!確かあそこは超難関だったはずじゃ...」

「大丈夫よー。だってアークだものー♪」

いや、母さんそれは全く信頼性がないよ…

「そうだよね…兄さんだもんね!」

「ルルシャもかい...」

ルルシャは母さんに似たんだろう。適当すぎる。

「それじゃあ、今日はお母さん、張り切ってお料理しちゃうんだから~!」

そう言い笑顔で台所へと消える母さん。

「私も手伝いする~」

結局母さんの手伝いをしに行った妹。


「結局僕がこの部屋治すんだよなぁ…」
そう嘆く僕だったが、誰もいなくなった書斎に響くだけだった。
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