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教会で
しおりを挟むマリ様に提供してもらった指輪は複数の宝石店で査定してもらってから銀貨五百枚で売った。
一般的な宿屋が一泊二食付きで銀貨一枚らしいから、相当価値があった事が分かる。
金を手に入れた俺達は宝石店の店員に近くの教会を教えてもらい、犯罪歴を消す為に移動を開始した。
教会へ向かって歩いている途中でマリ様が俺の頭の上にいる師匠に気付いた。
「サカタの頭の上に緑の芋虫がいるわ。」
「モジャというモジャ。マリはサカタから聞いていた通り美人モジャ。」
マリ様は目を見開いて喋る芋虫を見ている。
普通そうなるよな。
「マリ様、こちらの方は自称『虫の王』モジャ様です。私の師匠であり、マリ様救出の際に多いに助けてくれた方です。」
自称を付けて軽くディスったけど、師匠は天然だから多分気付かない。
むしろ、虫の王に反応して照れている筈だ。
「まぁ、可愛らしい虫の王様ですわ。モジャちゃん助けてくれてありがとうございます。」
「モジャは只の芋虫モジャ。お礼ならサカタに言って欲しいモジャ。」
流石師匠。
ちゃんと話しを俺に振ってくれた。
師匠をディスって遊ぶのは暫く控えます。
「もちろんサカタにも感謝しています。椿家に誓って必ずこの恩には報います。ボロボロになってまで助けに来てくれて有難う。」
そう言ってマリ様は頭を深々と下げた。
あぁ、マリ様は頭を下げる必要なんて無いんですよ。
何か言いたかったが言葉に出来ず、黙ったままマリ様よりも深々と頭を下げた。
コロリッ、、、パラパラパラ
俺の頭の上にいた師匠が転げ落ち、それに続いて糞が沢山落ちてきた。
今度から師匠を紹介する時『糞の王』と言おう。
そうこうしている間に目的の教会に到着した。
しかし、想像していた教会とは異なるボロボロの木造平屋が建っていた。
建て付けが悪い引き戸を何とか開くと、昭和の駄菓子屋の様な光景が広がっていた。
教会グッズらしき物が乱雑にに置かれており、汚い字で書かれた手書きのプライスカードが何とも言えない味を醸し出している。
極め付けに十人ほどの子供達が室内で遊び回っているから満点だ。
その中の最年長らしき少女が俺達に気付き近寄って来た。
「シスターモリスは外出してます。借りたお金の今月分は来月払うと言っていました。」
十歳くらいと思われる金髪のオカッパ頭の少女は不安げにそう話した。
「俺達は借金取りじゃないよ。シスターにお仕事頼みたくて来たんだけど、不在ならまた出直すよ。」
俺がそう言った途端、室内は静まりかえった。
「モリス姉ちゃん、借金取りじゃ無かったよ。仕事頼みたいんだって。今夜は久し振りにシチュー食べられるね。」
少女は部屋の奥に向かって、先程とは違う元気な声を上げていた。
室内で激しいシチューコールが行われる中、銀髪の可愛らしいシスターモリスが現れた。
借金取りから身を隠していた手前、モリスは恥ずかしそうにしているが俺達の方がもっと恥ずかしい事を晒すから問題ない。
「お見苦しい所をお見せしました。この教会でシスターをしているモリスと申します。私に頼みたい仕事とは何でしょうか。」
ロングの銀髪に青い瞳のモリスはマリ様程ではないが美しく、思わず息を飲んでしまった。
「実はマリ様に犯罪歴があるので罰金を払いに来ました。」
マリ様は俺の犯罪歴を知らないから、俺の分は後でこっそり消してもらおう。
「分かりました。まずステータスボードを拝見させて下さいね。料金はその後にお伝えします。」
マリ様は恥ずかしがり屋さんだから、モリスと二人きりにしてあげた。
その間、この世界の常識を知るために子供達とお喋りしていた。
話の流れで孤児の子供達をモリスが一人で面倒見ているという事が分かり、しんみりした空気になったから裏庭で遊ぶ事にした。
『ドキドキ、茂みにいるモジャ師匠を探せ』
参加資格 孤児の子供達
景品 甘いお菓子を後日お届け
制限時間 雰囲気を見て終了
ゲームを開始してから一時間が経過した。
糞の王には俺の意図が読めなかった様で、マジで見つけられない。
子供達の数人はお菓子食べたかったよと言って泣き出す始末。
仕方ないから師匠では無い緑の芋虫を持ってきた子供におめでとうと言って、その芋虫を自分の頭の上に乗せた。
茂みからモジャモジャ鳴き声が聞こえたから、子供達に見つからない様に後で迎えに来ると伝えた。
室内に戻るとマリ様がモリスと楽しそうに教会グッズを見ていた。
「あっ、サカタ。あれ消えたわよ。」
マリ様は顔を真っ赤にしながらこちらを見ている。
その後ろでモリスまで顔を真っ赤にしている。
「良かったですね。では宿を探しに行きましょう。」
ここは気にして無かった風を装おうのが優しさだろう。
引き戸を開けると目の前にガラが悪い男が二人立っていた。
「おうモリス、今月分の銀貨五枚もらいに来たぜ。」
こいつらが借金取りか。
小汚い格好をしているが腕っ節は二人とも強そうだ。
モリスは銀貨五枚を支払ったが借金取りはニヤニヤした表情で帰る気配は無い。
「さっきのはここまで来てやった手間賃だ。もう銀貨五枚払え。」
見た目通りの悪党か。
何とかしてやりたいが俺のステータスでは敵わないだろうし、マリ様を巻き込む訳にもいかない。
代わりにお金を払うという手段もあるが、この手輩にその方法は悪手だろう。
「そんなぁ。もうお金はありません。」
モリスは涙目になり、子供達も怯えている。
「いい加減にしなさい。衛兵を呼ぶわよ。」
マリ様は毅然とした態度で借金取りに言った。
あぁ、マリ様お優しい。
でも金貸しは権力者とツーカーの仲であるのがテンプレですよ。
「ガッハッハッハ、いい加減にしなちゃい。衛兵を呼ぶでちゅよ。」
お腹を抱えて借金取り達は笑っているから予想通りなのだろう。
小汚い借金取りAがマリ様の胸ぐらを掴んだ。
「ザンバル一家に盾突くとは良い根性してるじゃねぇか。死ぬまで娼館で働いて償え。」
もうやるしか無いな。
借金取りABが現れた。
サカタはパンチを行った、借金取りAは回避した。
借金取りAは軽く蹴りを放った、サカタは壁際まで飛ばされた。
借金取りBは踏み付けを行った、サカタは内臓を痛めた。
サカタは師匠を呼んだ、しかし何も起きなかった。
モリスは癒しの光をサカタに放った、サカタは少しだけ痛みが和らいだ。
借金取りAはモリスに強烈な蹴りを行った、マリが庇いダメージを肩代わりした。
借金取りBはナイフを取り出しサカタへ突撃した、サカタは腹部に致命的なダメージを受けた。
サカタは師匠を呼んだ、虫の王モジャが現れた。
借金取りAは笑って動けない。
借金取りBは笑って動けない。
虫の王モジャは良く切れる糸を口から放った、借金取りAはバラバラになった。
虫の王モジャは続けて口から光線を放った、借金取りBは炭化した。
サカタ達は戦闘に勝利した。
銀貨千枚を手に入れた。
「は、はは、流石師匠。マリ様の事宜しくお願いします。」
マリ様の為に死ぬんだから怖くは無い。
腹が熱いだけで痛みも無い。
心残りがあるとすれば死んだ後にステータスをマリ様に見られたら恥ずかしいという事だけだ。
眠くなってきたから、少しだけ眠ろう。
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