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第一部
避暑地へ ⑥
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「最長の十年プランですと、一名につき、こちらの金額になります」
パソコンのディスプレイに表示された金額を見て、田島は目がくらみそうになった。おおよその金額は徳間から聞いてあったとはいえ、いざ支払いとなると、どうしても怖じ気づいてしまう。
四人を最長プランにすれば、その総額は途方もなかった。個人資産だけで四人を十年プランにするのは不可能だ。会社の金を当てにすればどうにかなるが、それではあとあと面倒なことになりかねない。とはいえ、先ほどの光景を思えば、たとえそれが一週間であったとしても、彼らにとっては想像を絶する地獄であることは間違いなかった。
「この他に、保証金として二千万円が必要になります」
これも徳間から聞いていた。手の込んだ復讐は、やたら金がかかる。
「年四回までの訪問は通常料金に含まれておりますが、それ以上の訪問や追加のご要望につきましては別途料金が発生いたします。とはいえ、その都度お支払いいただくのはご負担かと思いますので、追加料金は保証金より差し引かせていただきます。たびたび大きな金額をお支払いいただくのも、ご不便かと存じますので」
確かにその通りだと思った。
「こちらの保証金につきましては、契約満了後に残金を返金させていただきますのでご安心を。では続きまして、肝心の拷問方法ですが——」
一通りの説明を聞いたあと、しばし熟考したのちに、藤原を最長の十年プラン、他の三人を三年プランにすることにした。拷問方法は、「おまかせコース」にした。
アサミはキーボードをカタカタ言わせ、ぱっとディスプレイをこちらに向けて言った。
「こちらが費用の総額になります」
三人を三年にしてもなお、その金額は途方もなかった。しかし田島は、表情を変えることなく冷静にその金額を受け入れた。自分はこの日のためにがんばってきたのだ。金は使ってこそ価値がある。蓄えはだいぶ減ってしまうが、またがんばって稼げばいいだけの話だ。全員を最長プランにできなかったことは悔やまれたが、そうでなくても彼らが想像を絶する地獄を味わうのは確実だ。彼らの苦しむ様を想像し、感激で胸が押しつぶされそうになる。藤原の苦悶に歪んだ顔を想像しながら心の中で叫ぶ。
十年間、地獄を味わってから死んでいけ!
アサミが補足の説明をはじめた。
「もしも対象者が、ご希望の年数に達するまでに何らかの原因で死亡した場合ですが、その際の料金は、死亡した日までの金額になりますので、いただいた金額の差額を後日返金させていただきます。また今後、年数の増減を希望された場合ですが、延長される場合は差額分のみのお支払いになりますが、短縮に関しては、差額から十パーセントの手数料を差し引かせていただきますので、あらかじめご了承ください」
田島は今の説明に黙ってうなずいて見せたが、内心では反論していた。
年数の短縮? そんなことするわけないじゃないか。むしろ、彼らには永遠の苦しみを与えてやりたいくらいなのだから——。
アサミの説明は続く。
「中学時代の同級生が同じ時期に失踪しては目を引きます。つきましては、一人ひとりの身柄の回収には、適度な間隔を空けたいかと」
「適度、とは?」
「そうですね。安全を期すためにも、半年から一年くらいは」
「そんなに……」
田島は大きく落胆した。明日にでも彼らの苦しむ姿を見たかっただけに、アサミの言葉に絶望的な気持ちにさえなった。
アサミが優しい声色で言葉を継いだ。
「ご理解いただきたいのですが、わたくしどもが提供しているサービスは極めて特殊なものですから、できる限りリスクを抑えていく必要があります。これは、われわれのみならず、田島様をはじめとしたクライアント様全員をお守りするためでもあります。確かに、これ以上待たされる田島様のお気持ちは充分お察しします。ですが、四人の命運はすでに尽きていることをご理解くださいませ。これまでは怒りを発散できずに溜め込むだけの毎日だったでしょうが、今日からは、近い将来必ず訪れる確定事項として、彼らが苦痛を味わう日を心待ちにすることができるのです。それは、日曜日の次には必ず月曜日が訪れるくらい確実なことなのです。ですから、準備が整うまで少しお時間をいただくことにはなりますが、必ずご満足いただける結果となりますことをここでお約束いたしますので、その日が来るまで、今しばらくの間、ご辛抱いただければと思います——」
◈
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パソコンのディスプレイに表示された金額を見て、田島は目がくらみそうになった。おおよその金額は徳間から聞いてあったとはいえ、いざ支払いとなると、どうしても怖じ気づいてしまう。
四人を最長プランにすれば、その総額は途方もなかった。個人資産だけで四人を十年プランにするのは不可能だ。会社の金を当てにすればどうにかなるが、それではあとあと面倒なことになりかねない。とはいえ、先ほどの光景を思えば、たとえそれが一週間であったとしても、彼らにとっては想像を絶する地獄であることは間違いなかった。
「この他に、保証金として二千万円が必要になります」
これも徳間から聞いていた。手の込んだ復讐は、やたら金がかかる。
「年四回までの訪問は通常料金に含まれておりますが、それ以上の訪問や追加のご要望につきましては別途料金が発生いたします。とはいえ、その都度お支払いいただくのはご負担かと思いますので、追加料金は保証金より差し引かせていただきます。たびたび大きな金額をお支払いいただくのも、ご不便かと存じますので」
確かにその通りだと思った。
「こちらの保証金につきましては、契約満了後に残金を返金させていただきますのでご安心を。では続きまして、肝心の拷問方法ですが——」
一通りの説明を聞いたあと、しばし熟考したのちに、藤原を最長の十年プラン、他の三人を三年プランにすることにした。拷問方法は、「おまかせコース」にした。
アサミはキーボードをカタカタ言わせ、ぱっとディスプレイをこちらに向けて言った。
「こちらが費用の総額になります」
三人を三年にしてもなお、その金額は途方もなかった。しかし田島は、表情を変えることなく冷静にその金額を受け入れた。自分はこの日のためにがんばってきたのだ。金は使ってこそ価値がある。蓄えはだいぶ減ってしまうが、またがんばって稼げばいいだけの話だ。全員を最長プランにできなかったことは悔やまれたが、そうでなくても彼らが想像を絶する地獄を味わうのは確実だ。彼らの苦しむ様を想像し、感激で胸が押しつぶされそうになる。藤原の苦悶に歪んだ顔を想像しながら心の中で叫ぶ。
十年間、地獄を味わってから死んでいけ!
アサミが補足の説明をはじめた。
「もしも対象者が、ご希望の年数に達するまでに何らかの原因で死亡した場合ですが、その際の料金は、死亡した日までの金額になりますので、いただいた金額の差額を後日返金させていただきます。また今後、年数の増減を希望された場合ですが、延長される場合は差額分のみのお支払いになりますが、短縮に関しては、差額から十パーセントの手数料を差し引かせていただきますので、あらかじめご了承ください」
田島は今の説明に黙ってうなずいて見せたが、内心では反論していた。
年数の短縮? そんなことするわけないじゃないか。むしろ、彼らには永遠の苦しみを与えてやりたいくらいなのだから——。
アサミの説明は続く。
「中学時代の同級生が同じ時期に失踪しては目を引きます。つきましては、一人ひとりの身柄の回収には、適度な間隔を空けたいかと」
「適度、とは?」
「そうですね。安全を期すためにも、半年から一年くらいは」
「そんなに……」
田島は大きく落胆した。明日にでも彼らの苦しむ姿を見たかっただけに、アサミの言葉に絶望的な気持ちにさえなった。
アサミが優しい声色で言葉を継いだ。
「ご理解いただきたいのですが、わたくしどもが提供しているサービスは極めて特殊なものですから、できる限りリスクを抑えていく必要があります。これは、われわれのみならず、田島様をはじめとしたクライアント様全員をお守りするためでもあります。確かに、これ以上待たされる田島様のお気持ちは充分お察しします。ですが、四人の命運はすでに尽きていることをご理解くださいませ。これまでは怒りを発散できずに溜め込むだけの毎日だったでしょうが、今日からは、近い将来必ず訪れる確定事項として、彼らが苦痛を味わう日を心待ちにすることができるのです。それは、日曜日の次には必ず月曜日が訪れるくらい確実なことなのです。ですから、準備が整うまで少しお時間をいただくことにはなりますが、必ずご満足いただける結果となりますことをここでお約束いたしますので、その日が来るまで、今しばらくの間、ご辛抱いただければと思います——」
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