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第二部
発端 ②
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さり気なく廊下側の席に顔を向けたところで、藤原と再び目が合う。小百合は、目の前の田島に気づかれぬようすぐに視線を外す。気のせいか、藤原は笑っていたようにも見えた。
田島との会話を楽しみながらも、つい藤原のことが気になってしまう。小百合のそんな心情に気づくことなく、田島は笑顔で話しかけてくる。
外見は平均をはるかに超え、かつ学業も優秀な田島は、恋人として申し分なかった。その上、常にとても穏やかな物腰で、性格も非の打ちどころがない。だが、根本的な部分で、小百合は物足りなさを感じていた。
交際をはじめてから八か月、田島とは二度の交わりをもった。だが、彼もこれまでの交際相手と同じく、最初のキスから挿入までどれもたどたどしく、まったく満足できなかった。それに、二度とも自分のほうからモーションをかけて行為に及んでおり、それも不満に思っていた。おそらく、今の田島にとっては、セックスという行為は快感よりも緊張の度合いのほうが強く、楽しむ余裕などないのだろう。
彼とのセックスに強い不満を感じていたのは、性への関心が人一倍強かったことも影響していた。とはいえ、友人たちとの会話でそういう話題が持ち上がっても、小百合は積極的に参加したい気持ちを抑え、無関心を装った。周囲が自分に抱いている清楚なイメージを崩したくなかったからだ。
小百合が自慰行為を覚えたのは九歳のときだ。誰から教わったわけでもなく、触ると気持ちのよくなる部位が股の間にあることを知り、就寝前には毎晩のようにいじるのが習慣になっていった。
修学旅行時にも、他の生徒に気づかれぬよう布団の中でモジモジしながら実行した。だが、マスターベーションをした生徒は、自分以外にもいたはずだと信じていた。
性欲の大きな波は、いつも生理前に訪れた。そんなときは一度のオーガズムでは充ち足りず、高まった性欲を鎮めるため、複数回の処理を必要とした。ただし、右手の中指でクリトリスを小刻みに振動させ、腰をうまくくねらせれば、いくらでも早くイクことができた。最初のオーガズムに達するまで五分とかからず、一度イッてしまえば、二度目、三度目は、さらに短い時間で絶頂を迎えることができた。
行為時はクリトリスだけでなく、乳房と乳首にも手指を這わせた。長年行為に及んできた結果、今では乳首も開発されていて、マイルドなオーガズムなら乳首だけでも得ることができた。
自慰という背徳的な行為は、いくらか罪悪感を覚えたが、いつも性欲は理性を簡単に打ち負かした。そして行為の最中に夢想するのは、経験豊富な男性たちに手荒く攻められている場面だ。小百合は想像の世界で自分の殻を破り捨て、男性たちに身を委ねるだけでなく、自ら積極的に絡みついていくのだった。
先ほど、一瞬だけ交わった藤原の視線は、田島との会話中にもかかわらず、下腹部をうずかせた。藤原の大人びた甘いマスクと筋肉質な体つきには以前から強く惹かれていて、とくに、田島とは対照的な好戦的な目つきがメスの部分を強く刺激してきた。藤原との行為を夢想して淫らな行為に耽ったことも何度かあったほどだ。とはいえ、学校内での藤原の立場は微妙なもので、交際相手としては理想的ではなかった。
そんなことを考えていたところで、田島が廊下側の席のほうを目配せしてから言った。
「……話は変わるけどさ。藤原って、ぼくの妹が通ってる女子校の子と付き合ってるみたいなんだ」
「へえ、そうなんだ」
平静を装うが、小百合は嫉妬心で少しだけ胸を痛めた。
「前に、妹と同じ制服の子と手をつないで歩いてるのを見かけたんだ」
「なるほど」
「あと、ガラの悪い連中とつるんでるみたいだね」
「ふーん」
田島が一つため息をついて続ける。
「なんかもったいないよね……。だって、藤原って何か特別な感じがするじゃん? せっかくの才能を無駄にしてるっていうか……。あいつ、がんばればもっといい大学にだって入れただろうし」
確かにその通りだと思った。だが、そう言う田島にも、小百合は特別なものを感じていた。だからこそ、自ら告白をして射止めたのだ。
小百合は優しく微笑みながら口を開いた。
「田島君はその素敵な才能を、彼みたいに無駄にしないでね」
◈
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田島との会話を楽しみながらも、つい藤原のことが気になってしまう。小百合のそんな心情に気づくことなく、田島は笑顔で話しかけてくる。
外見は平均をはるかに超え、かつ学業も優秀な田島は、恋人として申し分なかった。その上、常にとても穏やかな物腰で、性格も非の打ちどころがない。だが、根本的な部分で、小百合は物足りなさを感じていた。
交際をはじめてから八か月、田島とは二度の交わりをもった。だが、彼もこれまでの交際相手と同じく、最初のキスから挿入までどれもたどたどしく、まったく満足できなかった。それに、二度とも自分のほうからモーションをかけて行為に及んでおり、それも不満に思っていた。おそらく、今の田島にとっては、セックスという行為は快感よりも緊張の度合いのほうが強く、楽しむ余裕などないのだろう。
彼とのセックスに強い不満を感じていたのは、性への関心が人一倍強かったことも影響していた。とはいえ、友人たちとの会話でそういう話題が持ち上がっても、小百合は積極的に参加したい気持ちを抑え、無関心を装った。周囲が自分に抱いている清楚なイメージを崩したくなかったからだ。
小百合が自慰行為を覚えたのは九歳のときだ。誰から教わったわけでもなく、触ると気持ちのよくなる部位が股の間にあることを知り、就寝前には毎晩のようにいじるのが習慣になっていった。
修学旅行時にも、他の生徒に気づかれぬよう布団の中でモジモジしながら実行した。だが、マスターベーションをした生徒は、自分以外にもいたはずだと信じていた。
性欲の大きな波は、いつも生理前に訪れた。そんなときは一度のオーガズムでは充ち足りず、高まった性欲を鎮めるため、複数回の処理を必要とした。ただし、右手の中指でクリトリスを小刻みに振動させ、腰をうまくくねらせれば、いくらでも早くイクことができた。最初のオーガズムに達するまで五分とかからず、一度イッてしまえば、二度目、三度目は、さらに短い時間で絶頂を迎えることができた。
行為時はクリトリスだけでなく、乳房と乳首にも手指を這わせた。長年行為に及んできた結果、今では乳首も開発されていて、マイルドなオーガズムなら乳首だけでも得ることができた。
自慰という背徳的な行為は、いくらか罪悪感を覚えたが、いつも性欲は理性を簡単に打ち負かした。そして行為の最中に夢想するのは、経験豊富な男性たちに手荒く攻められている場面だ。小百合は想像の世界で自分の殻を破り捨て、男性たちに身を委ねるだけでなく、自ら積極的に絡みついていくのだった。
先ほど、一瞬だけ交わった藤原の視線は、田島との会話中にもかかわらず、下腹部をうずかせた。藤原の大人びた甘いマスクと筋肉質な体つきには以前から強く惹かれていて、とくに、田島とは対照的な好戦的な目つきがメスの部分を強く刺激してきた。藤原との行為を夢想して淫らな行為に耽ったことも何度かあったほどだ。とはいえ、学校内での藤原の立場は微妙なもので、交際相手としては理想的ではなかった。
そんなことを考えていたところで、田島が廊下側の席のほうを目配せしてから言った。
「……話は変わるけどさ。藤原って、ぼくの妹が通ってる女子校の子と付き合ってるみたいなんだ」
「へえ、そうなんだ」
平静を装うが、小百合は嫉妬心で少しだけ胸を痛めた。
「前に、妹と同じ制服の子と手をつないで歩いてるのを見かけたんだ」
「なるほど」
「あと、ガラの悪い連中とつるんでるみたいだね」
「ふーん」
田島が一つため息をついて続ける。
「なんかもったいないよね……。だって、藤原って何か特別な感じがするじゃん? せっかくの才能を無駄にしてるっていうか……。あいつ、がんばればもっといい大学にだって入れただろうし」
確かにその通りだと思った。だが、そう言う田島にも、小百合は特別なものを感じていた。だからこそ、自ら告白をして射止めたのだ。
小百合は優しく微笑みながら口を開いた。
「田島君はその素敵な才能を、彼みたいに無駄にしないでね」
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