4 / 59
第一章 心霊現象
躊躇
しおりを挟む
「奈央、だいじょうぶ!?」
真由美がこちらの顔を見るなり声を上げた。
よほどひどい顔をしていたのだろう。霊能者から最後に告げられた言葉が、だいぶこたえていたのだ。
「うん、だいじょうぶ……」
奈央は無理に笑みを浮かべて答えた。
「それより、待たせてごめんね」
「ううん。で、どうだった?」
「よくわかんないけど、タダにしてくれた」
「え、なんで!?」
奈央は霊能者とのやりとりを話して聞かせた。
「ふーん、そういうことかぁ。でもタダにしてくれるなんて、ずいぶんと良心的だね」
「確かに」
すると、真由美が怪訝な表情を浮かべた。
「でもさ、ファミレスで会った人と、言ってること違うよね」
「そうなんだよ。でも、今の人は、部屋に悪いものはないって断言してた」
「だけど、おかしなことは起こってるわけだよね?」
「うん。そう言ったら、霊能者の人も不思議がってたよ」
霊能者から最後に告げられた話は、真由美にはあえて伝えなかった。なるべく現実から目を背けていたかったからだ。また、帰り際のやりとりも口にしなかった。
玄関まで見送りに出てくれた霊能者の女は、奈央の背後を見て一瞬怯えた表情を浮かべた。その瞬間、奈央は思わず振り返ったが、薄暗い廊下には何もいなかった。直後にドアがバタンと勢いよく閉められ、廊下に一人取り残された奈央は言い知れぬ恐怖に襲われた。
真由美が困り果てた様子で口を開いた。
「……いったい、何なんだろうね」
「ほんと、何なんだろう……」
会話が途切れ、しばし沈黙が続いた。
やがて、奈央はため息交じりに口を開く。
「でもほんと、最近ついてないんだよね……」
「他にも何かあるの?」
「実はさ、彼氏とうまくいってなくて」
「そうなんだ?」
「忙しいって言われて、なかなか会ってくれないんだよね……」
「そっかぁ、それは辛いね……。彼って、確か地元の高校の同級生だったよね?」
「そう。わたしからアタックして、二度目の告白でやっとオーケーをもらったの」
「フラれた相手にもう一度告れるなんて、すごいよね」
「だって、それだけ好きだったんだもん」
「そっかぁ。あたしもそんな熱い恋、してみたいなぁ」
真由美は遠くを見るような目をして言った。
奈央が苦笑する中、真由美は続けた。
「でもさ、奈央は彼氏がいるだけまだマシだよ。あたしなんか、そんな悩みを抱える彼氏すらいないんだよ。奈央がほんとうらやましいよ。ああ、あたしもそんな贅沢な悩み、抱えてみたいわぁ」
奈央は友人の言葉にさらに苦笑した。
すると、真由美が急に明るい声を上げた。
「じゃあさ、この際一つだけでも問題を解決しちゃおうよ」
「一つって?」
「決まってるじゃん。心霊現象のことだよ。今から例のバーテンダーに、ダメ元で連絡してみない?」
「うーん……」
奈央は悩んでしまう。時計を見ると、もう五時を過ぎていた。ファミレスで声をかけてきた男は誠実そうに見えたが、完全には信用できなかった。それに、今日はもう疲れていた。
「ねえ、どうする?」
「うーん、やっぱ今日はやめとく。時間も遅いし、それに何だか疲れちゃって」
「ああ、そっか。今日はいろいろあったもんね」
「ごめんね、せっかく気にかけてくれてるのに」
「ううん、気にしないで。でも、もし会う気になったら、あたしもいっしょに行くから、そのときは遠慮なく言って」
「ありがとう。そのときはお願いね」
◈
ポチッと♡、お願いします(^ ^)v
真由美がこちらの顔を見るなり声を上げた。
よほどひどい顔をしていたのだろう。霊能者から最後に告げられた言葉が、だいぶこたえていたのだ。
「うん、だいじょうぶ……」
奈央は無理に笑みを浮かべて答えた。
「それより、待たせてごめんね」
「ううん。で、どうだった?」
「よくわかんないけど、タダにしてくれた」
「え、なんで!?」
奈央は霊能者とのやりとりを話して聞かせた。
「ふーん、そういうことかぁ。でもタダにしてくれるなんて、ずいぶんと良心的だね」
「確かに」
すると、真由美が怪訝な表情を浮かべた。
「でもさ、ファミレスで会った人と、言ってること違うよね」
「そうなんだよ。でも、今の人は、部屋に悪いものはないって断言してた」
「だけど、おかしなことは起こってるわけだよね?」
「うん。そう言ったら、霊能者の人も不思議がってたよ」
霊能者から最後に告げられた話は、真由美にはあえて伝えなかった。なるべく現実から目を背けていたかったからだ。また、帰り際のやりとりも口にしなかった。
玄関まで見送りに出てくれた霊能者の女は、奈央の背後を見て一瞬怯えた表情を浮かべた。その瞬間、奈央は思わず振り返ったが、薄暗い廊下には何もいなかった。直後にドアがバタンと勢いよく閉められ、廊下に一人取り残された奈央は言い知れぬ恐怖に襲われた。
真由美が困り果てた様子で口を開いた。
「……いったい、何なんだろうね」
「ほんと、何なんだろう……」
会話が途切れ、しばし沈黙が続いた。
やがて、奈央はため息交じりに口を開く。
「でもほんと、最近ついてないんだよね……」
「他にも何かあるの?」
「実はさ、彼氏とうまくいってなくて」
「そうなんだ?」
「忙しいって言われて、なかなか会ってくれないんだよね……」
「そっかぁ、それは辛いね……。彼って、確か地元の高校の同級生だったよね?」
「そう。わたしからアタックして、二度目の告白でやっとオーケーをもらったの」
「フラれた相手にもう一度告れるなんて、すごいよね」
「だって、それだけ好きだったんだもん」
「そっかぁ。あたしもそんな熱い恋、してみたいなぁ」
真由美は遠くを見るような目をして言った。
奈央が苦笑する中、真由美は続けた。
「でもさ、奈央は彼氏がいるだけまだマシだよ。あたしなんか、そんな悩みを抱える彼氏すらいないんだよ。奈央がほんとうらやましいよ。ああ、あたしもそんな贅沢な悩み、抱えてみたいわぁ」
奈央は友人の言葉にさらに苦笑した。
すると、真由美が急に明るい声を上げた。
「じゃあさ、この際一つだけでも問題を解決しちゃおうよ」
「一つって?」
「決まってるじゃん。心霊現象のことだよ。今から例のバーテンダーに、ダメ元で連絡してみない?」
「うーん……」
奈央は悩んでしまう。時計を見ると、もう五時を過ぎていた。ファミレスで声をかけてきた男は誠実そうに見えたが、完全には信用できなかった。それに、今日はもう疲れていた。
「ねえ、どうする?」
「うーん、やっぱ今日はやめとく。時間も遅いし、それに何だか疲れちゃって」
「ああ、そっか。今日はいろいろあったもんね」
「ごめんね、せっかく気にかけてくれてるのに」
「ううん、気にしないで。でも、もし会う気になったら、あたしもいっしょに行くから、そのときは遠慮なく言って」
「ありがとう。そのときはお願いね」
◈
ポチッと♡、お願いします(^ ^)v
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる