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1章 日常って大事だね。
太陽みたいな君
しおりを挟む「はぁ……今日もかわいいよ、陽葵」
僕はいつからだろう。
何故こうなってしまったんだろう。
でも、この幸せを手放すことはできないんだ。
あの頃の僕が見たら、きっと否定するだろうな。
◆◆◆◆◆◆◆
梅雨も終わりに近づいてるのに、纏わりつく暑さはまだ不快だった。
図書室の開け放たれた窓から生温い風が流れて澱んだ空気を掻き混ぜてくれる。
静かな空間で聞こえるのは、遠くの校庭から聞こえる部活の掛け声と、近づいてくる軽やかな足音だった。
「おーい、悠真くん(ゆうま)! 栞(しおり)! またこんなところで勉強してるの!?」
ガラガラと音を立てて扉が開く。そこに立っていたのは、西日に照らされて黄金色に髪が輝いて見えた陽葵(ひまり)だった。
「もう授業終わったよ! ほら、外行こうよ!」
陽葵が部屋に入った瞬間に思わず目を奪われる。
「陽葵、声が大きい。ここは図書室だよ。」
僕の隣で、栞が広げた分厚い参考書から顔を上げずに言った。その声は穏やかに注意するも、ペン先を何度もノックしていた。
「いいじゃん、もう誰もいないし! ほら、外で健斗くん(けんと)も待ってるよ。コンビニ寄って帰ろう?」
陽葵が僕の机に身を乗り出すと、シャンプーの香りで僕の体温が少し上がった。
「……わかったよ。あと少しで区切りがいいから、待ってろよ。」
「やった! あ、栞も早く行こう! 悠真くんに勉強教えなくていいからね」
陽葵は栞の肩にポンと手を置き、弾けるような笑顔で続ける。
「今度は私にも教えてね! 栞が教えてくれたら、私だって絶対いい点取れると思うの!」
栞は一瞬だけ、眩しそうな、それでいて少しだけ悲しそうな目で陽葵を見上げ、すぐにいつもの柔らかな微笑みを浮かべた。
「ええ、陽葵がちゃんと勉強する気があるならね。今日はもう行きましょう、悠真くん」
図書室の扉が閉まり、
廊下に、僕らの足音だけが響いた。
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