陽葵の笑顔に僕は夢中だ。

そら

文字の大きさ
1 / 84
1章 日常って大事だね。

太陽みたいな君

しおりを挟む
 

 

「はぁ……今日もかわいいよ、陽葵」

僕はいつからだろう。
何故こうなってしまったんだろう。
でも、この幸せを手放すことはできないんだ。
あの頃の僕が見たら、きっと否定するだろうな。


◆◆◆◆◆◆◆


 梅雨も終わりに近づいてるのに、纏わりつく暑さはまだ不快だった。
図書室の開け放たれた窓から生温い風が流れて澱んだ空気を掻き混ぜてくれる。

 静かな空間で聞こえるのは、遠くの校庭から聞こえる部活の掛け声と、近づいてくる軽やかな足音だった。

「おーい、悠真くん(ゆうま)! 栞(しおり)! またこんなところで勉強してるの!?」

 ガラガラと音を立てて扉が開く。そこに立っていたのは、西日に照らされて黄金色に髪が輝いて見えた陽葵(ひまり)だった。

「もう授業終わったよ! ほら、外行こうよ!」

陽葵が部屋に入った瞬間に思わず目を奪われる。

「陽葵、声が大きい。ここは図書室だよ。」

 僕の隣で、栞が広げた分厚い参考書から顔を上げずに言った。その声は穏やかに注意するも、ペン先を何度もノックしていた。

「いいじゃん、もう誰もいないし! ほら、外で健斗くん(けんと)も待ってるよ。コンビニ寄って帰ろう?」

 陽葵が僕の机に身を乗り出すと、シャンプーの香りで僕の体温が少し上がった。

「……わかったよ。あと少しで区切りがいいから、待ってろよ。」

「やった! あ、栞も早く行こう! 悠真くんに勉強教えなくていいからね」

 陽葵は栞の肩にポンと手を置き、弾けるような笑顔で続ける。

「今度は私にも教えてね! 栞が教えてくれたら、私だって絶対いい点取れると思うの!」

 栞は一瞬だけ、眩しそうな、それでいて少しだけ悲しそうな目で陽葵を見上げ、すぐにいつもの柔らかな微笑みを浮かべた。

「ええ、陽葵がちゃんと勉強する気があるならね。今日はもう行きましょう、悠真くん」

 図書室の扉が閉まり、
廊下に、僕らの足音だけが響いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...