陽葵の笑顔に僕は夢中だ。

そら

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3章 太陽の輝き…

誕生日おめでとう

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 陽葵の誕生日当日。祝日で学校が休みの僕たちは栞の家で、最高に贅沢なお誕生日会を開くことになった。
 
 栞の両親が事前に家政婦さんに話を通してくれたおかげで、厳しい外出禁止令の中でもこの日だけは特別な時間が許された。

「陽葵さん。お誕生日おめでとうございます」
 
 家政婦さんが腕によりをかけて作った、高級レストランのようなメニューがテーブルを彩っている。色鮮やかなオードブルに、香ばしく焼かれたメインディッシュ。

「すごい……! こんな豪華なご飯、初めて見た!」
 
 陽葵が目を輝かせて歓声を上げる。僕もあまりのクオリティに圧倒され、二人のテンションは最高潮に達した。それを見た栞が、少しだけ得意げに、けれど優しく微笑む。

「ふふ、そんなに喜んでもらえるなら、監視役の家政婦さんがいることも、少しはいいことがあったって思えるわね」
 
 食事の間、陽葵と栞はまるで幼い子供のようにイチャイチャしながら、楽しそうに笑い合っていた。あの日、別荘で感じた重苦しい影はどこにもなく、そこにはただの、幸せな女子高生たちの姿があった。
 
 楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰り際。栞が玄関で小さな包みを陽葵に手渡した。

「陽葵、お誕生日おめでとう。これ、私とお揃いなの」
 
 陽葵がその場で包みを開け、華奢なネックレスを手に取る。自分と栞が色違いだと知ると、彼女は「ありがとう!」と叫んで栞に思い切り抱きついた。栞も少し照れくさそうに、けれど幸せそうに陽葵の背中に手を回していた。

 「また明日な!」と僕が別れを切り出すと栞は表情を一瞬強張ったように見えたが、「また…明日ね」と手を振って別れた。
 
 陽葵を家まで送り届ける帰り道、街灯が優しく照らす夜道を二人で歩く。

「……陽葵。あの、別荘での話、覚えてる?」
 
 僕が切り出すと、陽葵は歩みを止め、僕を真っ直ぐに見つめた。

「結婚しよう、って言ったことでしょ? 忘れるわけないよ。……悠真くん、これからも私を守ってくれるんでしょ?」
 
 屈託のない笑顔。その信頼に胸が熱くなった。僕はポケットから小さな箱を取り出し、陽葵に差し出した。

「これ……ペアリング。サイズが分からなかったから、どこかの指に合えばいいんだけど」
 
 僕が慌てて言い訳をするのをよそに、陽葵はそっと右手を差し出した。けれど、が右のどの指にも合わなかった。悠真は思い切って左手の薬指に指輪を滑らせてみた…。

 
……驚くほど、ぴったりだった。

「あ……」
 
 二人の顔が瞬時に真っ赤になる。

「ごめん、栞の指を参考にしたんだ。……大人になったら、もっと立派なのを買うから」
 
 僕が絞り出すように伝えると、陽葵は自分の左薬指を愛おしそうに見つめてから、僕の首に腕を回した。

「うん。待ってるね、悠真くん」
 
 二度目のキスは、あの日よりもずっと甘く、そして僕たちの絆を確かなものにする誓いのように感じられた。

「今夜はお母さんと二人でお祝いするんだ。お母さん、ケーキ買って待ってるから早く帰ってきてねって!」
 
 家の前で、陽葵は嬉しそうに語り、何度も手を振って玄関へと消えていった。
 
 僕は一人、舞い上がりながら家に向かって歩き出すした。
 
 …すべてが上手くいっている。そう信じて疑わなかった。
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