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3章 太陽の輝き…
プレゼントを選びたい
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放課後の図書室。
僕と栞は身を寄せ合ってスマートフォンの画面を覗き込んでいた。
「……結局、一緒に買いに行くのは許されなかったわ」
栞が申し訳なさそうに、けれど諦めたような笑みを浮かべる。
「家政婦さんの監視は解けないし、外出は塾と学校だけ。ネットで買うならって条件で、なんとか許可をもらったの。……本当は、悠真くんと一緒に探しに行きたかったんだけどな」
少しだけ潤んだ瞳で、彼女は悲しそうに微笑んだ。あの日からずっと、栞は僕以上に「自由」を奪われている。
「いいよ、気にしないで。ここで一緒にネットで探そう。それなら誰にも文句は言われないだろ?」
僕が努めて心苦しさを隠すように明るく振る舞うと、栞の顔にパッと灯りがともった。
「そうね、そうしましょう!」
久しぶりに二人きりで過ごす時間。栞は少しだけテンションを上げ、画面をスワイプする指先もどこか軽やかだった。
「陽葵へのプレゼント……何か形に残るものがいいわね。あ、これなんてどう? お揃いのネックレス」
彼女が見せてくれたのは、シンプルで華奢なデザインのネックレスだった。
「私と陽葵で色違い。これならずっと身につけていられるでしょ?」
そう言って栞は購入ボタンを押した。
次は、僕の番だ。
僕は画面を見つめながら、あの夜の別荘を思い出していた。暗闇の中、陽葵に伝えた「結婚しよう」という、あまりに子供っぽい、けれど真実だった告白。
僕は、ペアリングを探し始めた。
「……指輪にするの?」
栞の声が少しだけ震えた。僕は頷き、サイズをどうするか悩む。陽葵の正確なサイズなんて分からない。
「ねえ、栞。ちょっと指を貸してくれないか? 栞の指を参考にしてサイズを決めたいんだ」
僕が言うと、栞は一瞬、目が大きく広がった。それからゆっくりと右手を差し出す。彼女の指先は冷たく、わずかに震えていた。
「……陽葵よりは、私のほうが少し細いかもしれないけれど…。」
栞の薬指に合わせて、僕は一つのペアリングを選んだ。購入完了の文字が表示される。僕の頭の中にあるのは、これを受け取った時の陽葵の、あの太陽のような笑顔だけだった。きっと喜んでくれる。今度は「本当の家族」になった彼女に、改めてこの約束を届けたい。
そんな僕の横で、栞が自分の右手の薬指を左手でぎゅっと握りしめていることにも、僕は気づいていなかった。
(……もし、その指輪を贈られるのが、私だったらよかったのに)
栞は言葉を飲み込み、顔を伏せた。
悠真が陽葵の幸せを願えば願うほど、栞の胸の奥には絶対に隠さなきゃいけない思いが溢れそうだった…。
僕は満足げに画面を閉じ、窓の外に広がるオレンジ色の空を見上げ陽葵の顔を思い浮かべていた。
僕と栞は身を寄せ合ってスマートフォンの画面を覗き込んでいた。
「……結局、一緒に買いに行くのは許されなかったわ」
栞が申し訳なさそうに、けれど諦めたような笑みを浮かべる。
「家政婦さんの監視は解けないし、外出は塾と学校だけ。ネットで買うならって条件で、なんとか許可をもらったの。……本当は、悠真くんと一緒に探しに行きたかったんだけどな」
少しだけ潤んだ瞳で、彼女は悲しそうに微笑んだ。あの日からずっと、栞は僕以上に「自由」を奪われている。
「いいよ、気にしないで。ここで一緒にネットで探そう。それなら誰にも文句は言われないだろ?」
僕が努めて心苦しさを隠すように明るく振る舞うと、栞の顔にパッと灯りがともった。
「そうね、そうしましょう!」
久しぶりに二人きりで過ごす時間。栞は少しだけテンションを上げ、画面をスワイプする指先もどこか軽やかだった。
「陽葵へのプレゼント……何か形に残るものがいいわね。あ、これなんてどう? お揃いのネックレス」
彼女が見せてくれたのは、シンプルで華奢なデザインのネックレスだった。
「私と陽葵で色違い。これならずっと身につけていられるでしょ?」
そう言って栞は購入ボタンを押した。
次は、僕の番だ。
僕は画面を見つめながら、あの夜の別荘を思い出していた。暗闇の中、陽葵に伝えた「結婚しよう」という、あまりに子供っぽい、けれど真実だった告白。
僕は、ペアリングを探し始めた。
「……指輪にするの?」
栞の声が少しだけ震えた。僕は頷き、サイズをどうするか悩む。陽葵の正確なサイズなんて分からない。
「ねえ、栞。ちょっと指を貸してくれないか? 栞の指を参考にしてサイズを決めたいんだ」
僕が言うと、栞は一瞬、目が大きく広がった。それからゆっくりと右手を差し出す。彼女の指先は冷たく、わずかに震えていた。
「……陽葵よりは、私のほうが少し細いかもしれないけれど…。」
栞の薬指に合わせて、僕は一つのペアリングを選んだ。購入完了の文字が表示される。僕の頭の中にあるのは、これを受け取った時の陽葵の、あの太陽のような笑顔だけだった。きっと喜んでくれる。今度は「本当の家族」になった彼女に、改めてこの約束を届けたい。
そんな僕の横で、栞が自分の右手の薬指を左手でぎゅっと握りしめていることにも、僕は気づいていなかった。
(……もし、その指輪を贈られるのが、私だったらよかったのに)
栞は言葉を飲み込み、顔を伏せた。
悠真が陽葵の幸せを願えば願うほど、栞の胸の奥には絶対に隠さなきゃいけない思いが溢れそうだった…。
僕は満足げに画面を閉じ、窓の外に広がるオレンジ色の空を見上げ陽葵の顔を思い浮かべていた。
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