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5章 日月
親戚の叔父さん
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警察官は「あまり良くないことなんだがな……」とぼやくように言いながら、僕から少し離れた場所で電話をかけ始めた。
誰と電話をしているのかは分からない。けれど、漏れ聞こえてくる警察官の声からは、彼が僕のために何かを熱心に「お願い」してくれていることが伝わってきた。やがて、彼は僕の方を振り返ると、無愛想にスマホを差し出してきた。
「ほら、代われ」
「えっ……」
僕は恐る恐るスマホを受け取り、耳に当てた。
『……もしもし。君が、あの家にどうしても欲しいものがあるっていう子かな?』
電話の向こうから聞こえてきたのは、落ち着いた、年配の男性の声だった。
『今、陽葵さんの家は私のような遠い親戚が管理していてね。警察の方から話は聞いたよ』
「……陽葵の、ぬいぐるみをください。お願いします」
僕は視界が涙で滲むのをそのままに、震える声で訴えた。
「陽葵にとって……、あの子にとって本当に、本当に大事なぬいぐるみなんです。返してあげたいんです……っ」
親戚を名乗る男性は、陽葵と面識すらないようだった。彼は静かに、けれど慎重に問いかけてきた。
『……君は、陽葵さんとどんな関係だったんだい?』
僕は自分の左手に目を落とした。そこにある、けれど僕たちにとっては本物の銀の指輪。それを見つめながら、僕ははっきりと答えた。
「……将来、結婚しようと誓い合っていた関係です」
電話の向こうで一瞬、沈黙が流れた。親戚の男性は、僕のその真っ直ぐな言葉に何かを感じ取ってくれたようだった。
『そうか……。警察の方に代わってくれるかな』
僕は促されるまま、警察官にスマホを返した。彼は再び少し離れた場所へ移動し、しばらく小声で話し込んでいた。やがて通話が終わると、警察官は僕に歩み寄り、スマホをポケットにしまい込んだ。
「許可が降りたぞ。……ただし、俺が付き添って中に入る。あくまで、俺が立ち会って物品を回収するっていう形だ。いいな?」
「……っ! ありがとうございます、ありがとうございます!」
僕は何度も頭を下げた。警察官は「泣くな、みっともねえ。行くぞ」とぶっきらぼうに促すと、僕を連れて陽葵の家の玄関へと向かった。
誰と電話をしているのかは分からない。けれど、漏れ聞こえてくる警察官の声からは、彼が僕のために何かを熱心に「お願い」してくれていることが伝わってきた。やがて、彼は僕の方を振り返ると、無愛想にスマホを差し出してきた。
「ほら、代われ」
「えっ……」
僕は恐る恐るスマホを受け取り、耳に当てた。
『……もしもし。君が、あの家にどうしても欲しいものがあるっていう子かな?』
電話の向こうから聞こえてきたのは、落ち着いた、年配の男性の声だった。
『今、陽葵さんの家は私のような遠い親戚が管理していてね。警察の方から話は聞いたよ』
「……陽葵の、ぬいぐるみをください。お願いします」
僕は視界が涙で滲むのをそのままに、震える声で訴えた。
「陽葵にとって……、あの子にとって本当に、本当に大事なぬいぐるみなんです。返してあげたいんです……っ」
親戚を名乗る男性は、陽葵と面識すらないようだった。彼は静かに、けれど慎重に問いかけてきた。
『……君は、陽葵さんとどんな関係だったんだい?』
僕は自分の左手に目を落とした。そこにある、けれど僕たちにとっては本物の銀の指輪。それを見つめながら、僕ははっきりと答えた。
「……将来、結婚しようと誓い合っていた関係です」
電話の向こうで一瞬、沈黙が流れた。親戚の男性は、僕のその真っ直ぐな言葉に何かを感じ取ってくれたようだった。
『そうか……。警察の方に代わってくれるかな』
僕は促されるまま、警察官にスマホを返した。彼は再び少し離れた場所へ移動し、しばらく小声で話し込んでいた。やがて通話が終わると、警察官は僕に歩み寄り、スマホをポケットにしまい込んだ。
「許可が降りたぞ。……ただし、俺が付き添って中に入る。あくまで、俺が立ち会って物品を回収するっていう形だ。いいな?」
「……っ! ありがとうございます、ありがとうございます!」
僕は何度も頭を下げた。警察官は「泣くな、みっともねえ。行くぞ」とぶっきらぼうに促すと、僕を連れて陽葵の家の玄関へと向かった。
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