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5章 日月
空白
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アルバムを見終わって後ろを振り返ると、いつの間にか父さんが立っていた。
僕は勝手に部屋に入ったことと、アルバムを見てしまったことを慌てて謝った。すると、父さんは「恥ずかしいものを見られたな」と力なく笑いながら部屋に入ってきて、僕の隣でアルバムを眺めた。
「まだ未練がましく、母さんを思い出すことがあるよ。高校の頃から付き合って、ずっと愛していたからな」
「……そうなんだ」
僕は複雑な思いでそう答えた。そんな僕に、父さんは「アルバムの空白が気になっただろ」と問いかけてきた。聞いちゃいけないことだと思っていた僕は、驚きながらも小さく頷いた。
「母さんと逃げたのは、ずっと昔からの親友だったんだ。逃げられた時、どうしても我慢ができなくて……その男が写っている写真は全部剥いで捨ててしまったよ」
父さんは絞り出すように、悲しそうに話した。僕はかける言葉が見つからず、黙って立ち尽くすしかなかった。
「……少し、寝てもいいか。疲れたんだ」
父さんにそう言われ、僕は「おやすみ」と慌てて伝えて部屋を出た。
一人リビングに戻った僕の後ろで、父さんは、僕が出ていった扉の向こうをしばらくの間、じっと見続けていた。
部屋を出た僕は自分の部屋に戻り、ベッドに寝転びながら父さんの話を思い出していた。
「父さんは、親友に母さんを取られたのか……」
ぽつりと悲しげな呟きが漏れた。きっと、今の僕たちみたいに、何でも話し合えるような仲の良い友達だったんだろう。それなのに、一番信じていた人に裏切られた父さんの絶望は、想像を絶するものだったに違いない。
「……このことは、誰にも言えないな」
栞にも、ましてや陽葵にも話せるような内容ではない気がした。重い沈黙が部屋に満ちていく。掃除をして、父さんと話し、精神的な疲れがどっと押し寄せてきた。
僕はそのまま、吸い込まれるように再び眠りに落ちてしまった。
僕は勝手に部屋に入ったことと、アルバムを見てしまったことを慌てて謝った。すると、父さんは「恥ずかしいものを見られたな」と力なく笑いながら部屋に入ってきて、僕の隣でアルバムを眺めた。
「まだ未練がましく、母さんを思い出すことがあるよ。高校の頃から付き合って、ずっと愛していたからな」
「……そうなんだ」
僕は複雑な思いでそう答えた。そんな僕に、父さんは「アルバムの空白が気になっただろ」と問いかけてきた。聞いちゃいけないことだと思っていた僕は、驚きながらも小さく頷いた。
「母さんと逃げたのは、ずっと昔からの親友だったんだ。逃げられた時、どうしても我慢ができなくて……その男が写っている写真は全部剥いで捨ててしまったよ」
父さんは絞り出すように、悲しそうに話した。僕はかける言葉が見つからず、黙って立ち尽くすしかなかった。
「……少し、寝てもいいか。疲れたんだ」
父さんにそう言われ、僕は「おやすみ」と慌てて伝えて部屋を出た。
一人リビングに戻った僕の後ろで、父さんは、僕が出ていった扉の向こうをしばらくの間、じっと見続けていた。
部屋を出た僕は自分の部屋に戻り、ベッドに寝転びながら父さんの話を思い出していた。
「父さんは、親友に母さんを取られたのか……」
ぽつりと悲しげな呟きが漏れた。きっと、今の僕たちみたいに、何でも話し合えるような仲の良い友達だったんだろう。それなのに、一番信じていた人に裏切られた父さんの絶望は、想像を絶するものだったに違いない。
「……このことは、誰にも言えないな」
栞にも、ましてや陽葵にも話せるような内容ではない気がした。重い沈黙が部屋に満ちていく。掃除をして、父さんと話し、精神的な疲れがどっと押し寄せてきた。
僕はそのまま、吸い込まれるように再び眠りに落ちてしまった。
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