陽葵の笑顔に僕は夢中だ。

そら

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5章 日月

ごめんなさい

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 夜の冷たい静寂の中、僕は震える手で佐藤さんの番号を呼び出した。数回のコール音の後、佐藤さんの低く落ち着いた声が響く。

「はい、佐藤だ」

「……佐藤さん、悠真です。先日はぬいぐるみをありがとうございました。大切にしてます」
 僕の声は、自分でも驚くほど淡々としていた。受話器の向こうで、佐藤さんが少し面食らったような気配がした。

「……悠真か。先日はぬいぐるみをありがとうございました、だなんて。改まってどうした? 何かあったのか?」

「陽葵を殺した犯人が、わかりました」

「……はぁ? お前、急に何を言ってるんだ!」
佐藤さんの困惑した声が響く。僕は構わず続けた。

「驚きますよね? 僕も驚きました。犯人は……父さんです」

「お前の父親も、確かに容疑者の一人ではある。だが、証拠はあるのか?」

「父さんの車の中から、陽葵の指輪が見つかりました。それに……佐藤さんは信じられないと思いますが、僕には陽葵が見えるんです。嘘みたいな話ですよね。今まで、彼女は何も覚えていませんでした。でも、指輪を見て思い出したんです。あの日、何があったのか。……あいつが、陽葵に何をしたのか」

 僕は溢れそうになる感情を押し殺して、言葉を継いだ。

「僕は佐藤さんに謝らなきゃいけませんね。あんなによくしてくれたのに、ごめんなさい」

「おい! 待て、悠真! 俺が今から行くから、勝手な真似はするな! 今どこにいるんだ!」

 佐藤さんの必死に引き止める声を背中で聞きながら、僕は「ごめんなさい」と最後にもう一度だけ添えて、通話を切った。

……これで、もう後戻りはできない。
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