40 / 68
Pleasure
6、Pleasure
しおりを挟む
柔らかく時は流れる。
愛おしいという気持ちが、大事なものを育んでいく。
ソファーの上で旦那様の帰りを待ちながら、
新しく訪れる未来を思い浮かべる。
片想いから結ばれた人と、付き合い結婚して
お腹に小さな命を授かった。
それは、当たり前じゃなくて舞い降りた奇跡。
これからが大変だが菫子の気持ちは明るく満たされていた。
携帯電話を確認する。
涼は、残業で遅くなるということだった。
「……毎日、ありがとう」
独りごちて、なぜだか照れる。
ちゃんと直接伝えておくべき言葉だ。
チャイムが鳴り響き、菫子は玄関へ向かう。
扉を開くと、笑顔の旦那様がいた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
菫子が言い終わるのを待たず、涼は彼女を抱きしめた。
慌てる隙を与えず、お姫様抱っこをする。
「……遅くなってごめんな」
「毎日ありがとね……」
ぎゅっ、とスーツの裾を掴む。
恥ずかしいが、今日は身を任せてみようと思った。
涼が菫子の顔を見てほっと表情を緩めたからだ。
(おつかれさま……涼ちゃん)
背中にしがみつく。
キッチンの椅子に下ろされた菫子は、
「ごはん食べる? お風呂を先にする?」
新妻らしく問いかけた。
上目遣いでの問いかけだ。
「無意識やろ……」
「え?」
涼は小さく肩をすくめた。
「風呂にするわ」
「わかった」
「一緒に入る?」
耳元に顔を近づけて言われた菫子は、咳きこみかけた。
(耳元に甘い低音はずるいなあ)
「……う、うん」
まだ入浴は済ませていなかった。
涼の帰りを待っていたのだ。
「自分で歩けるからね!」
横抱きにされて運ばれてもドキドキして心臓に悪い。
そういうのは胎教によろしくない。
妊娠が分かってから触れ合うことは少なくなり、
些細な触れあいでも心拍数があがってしまう。
クスッ、と笑った涼は菫子の頭をなでた。
「先に入ってるから、すぐ来るんやで」
また顔が赤くなった菫子である。
定期健診からの帰り道、手を繋いで歩きながら、
涼と菫子は他愛もないお喋りを交わしていいた。
「何か期待も高まるわ。実感沸いてきたなあ」
しみじみ呟く涼。
「あと二ヶ月やな」
ほわあっと頭の中で鳥が飛んでいるような表情を
浮かべているのは妻、菫子。
彼女は妊娠8ヶ月を迎えておりお腹も大分目立ってきていた。
「男と女のどっちやろな。俺と菫子の子やしどっちでも可愛いんやろなあ」
「涼ちゃん、バカ丸出しよ」
菫子は天然毒吐きさんなのである。
本人は無自覚できつい一言を放つのだ。
「……菫子の一言って一気に現実に引き戻すな」
「あっ……ごめん」
「俺だって負けるつもりないからええんやけどな」
「本気の涼ちゃんには勝てないわよー」
菫子はふふふと笑った。
「水泳教室ってどうなん? 」
「妊婦友達もいるし気分転換にもなるしすっごく楽しいわ」
菫子は路上にも拘らずテンション高く声を弾ませて話す。
涼は楽しげな彼女の様子に目を細める。
「落ち着いたら仕事復帰するつもりだけどね」
「二人目はまだ先ってことで?」
「……一個違いは体力的に無理かな」
頬に落ちたキスにくすぐったくなる。
「俺もお前と過ごせるなら贅沢は言わへんよ」
口調は軽いが、本気で言っているのが菫子には分かった。
「やっぱり涼ちゃんって好きだわ」
「当たり前のこと言うただけ」
菫子はぎゅっと涼の腕にしがみついた。
マンションの扉を開けても未だ手を離さない。
「ケーキ作りよ! 」
「ほーい」
「何その変な返事」
「足手まといにならんよう気ぃつけます! 」
あまりにおかしくてお互い吹き出した。
最近のテンションは前よりずっと妙だ。
菫子のお腹が動くたびに涼は過剰に反応するし、
この夫婦には危機的予感は何も感じられない。
今日は涼の誕生日だ。
朝、定期健診を終えてそのまま帰ってきた二人は、
早速ケーキ作りに取り掛かろうとしていた。
本当は一人で作るべきだが、過剰に心配する涼が一緒に作ると言い出した。
もうすぐ出産する菫子はだいぶんお腹が目立ってきている。
平日だが、涼は有給が溜まっていたので
一日休みを取り、午前中は健診に付き添った。
実は今まで健診にはほとんど菫子一人で行っていて、
涼は心苦しさを感じていたのだ。
仕事があるから仕方がないものの、菫子は不満一つ言わないので
涼が気遣わなければならない。
分かち合うのが夫婦だと彼は思っている。
出産の折には必ず付き添うと心に決めており、
出産予定日に休みを取る届けをすでに出している愛妻家である。
誰かが欠勤したら休めなくなるから、
早めに手を打つのに越したことはないのだ。
「菫子、予熱終わったで」
「入れてくれる」
涼の声に菫子は生地を流した型を涼に渡す。
チョコレートの甘い匂いが辺りに立ちこめていた。
涼は、下ごしらえにはほとんど手を出していない。
スポンジケーキの間に生クリームを挟んだり、
上に飾りつけたりする作業を任されているからだ。
生地がちゃんと焼けてなければ、話にならないのだが、後の作業も中々
プレッシャーがある。ぐちゃぐちゃにクリームが乗っかっているのより
綺麗に盛りつけられたものの方が、見た目にも美味しい。
夫婦になって初めて一緒に取り組んでいるケーキ作り。
涼は未知の世界に触れるようで、わくわくと胸を躍らせていた。
料理は得意だがお菓子作りは不得手な彼は、菫子の指示通りに
動いているが、いきいきと楽しそうだ。
「涼ちゃん、子供みたい」
くすっと笑う菫子に涼はほんの少し頬を赤らめた。
「おもろいんやからしゃあないやろ」
「ふふ。紅茶入れなきゃね」
菫子は電気ケトルをセットして椅子に座った。
テーブルクロスの皺を手で直すとにっこり笑った。
常々憧れていた真っ白なレースのテーブルクロスは汚れ一つない。
何枚も同じ柄のストックを揃えていた。
「ええ感じ」
涼は、一度取り出したケーキを竹ぐしで差して焼け具合を確かめた。
「じゃもう一回オーブンにGO!」
るんるん調子で菫子は号令を出し、
「ラジャ」
冗談っぽく涼が返答した。
続いて涼が、生クリームを泡立て始めた。
泡立ては根気のいる作業なので電動を使う方が楽だが、涼はしゃかしゃかと
リズムを刻み、クリームをあっという間に角が立つ状態にした。
「涼ちゃん、かっこいい。さすが男の人だわ! 」
菫子がぱちぱちと拍手する。
「ざっとこんなもんやな」
とか言いつつ涼はぽりぽりと頭をかいた。
まんざらでもなさそうである。
「ねえ。涼ちゃんこっち向いて」
菫子は笑顔満面だ。
「はい、チーズ」
菫子は手のひらを顔の前に構えてシャッターを切るポーズをする。
涼は不思議そうな顔になった。
「だってすっごくいい顔してたんだもん」
「撮る真似でええの?」
「忘れられるはずないでしょ」
想い出は吐息を零す間にも蓄積されていく。
ちょっとした会話も大切な記憶だ。
オーブンを見るとケーキが完成間近だというのがうかがえた。
菫子はキッチンミトンを涼に手渡す。
涼は喉でくくっと笑った。
「……反則や」
無意識で虜にする菫子。
外見も少しふっくらしてママになる柔らかな雰囲気が漂っていて、
そんな彼女を守らねばと強く感じている涼だった。
菫子は顔を真っ赤にして俯き加減でお腹に触れている。
涼は、オーブンから焼きあがったスポンジを
取り出すと皿の上に引っくり返した。
綺麗に型から抜けて見た目はまずまずの焼き上がりだ。
バターを縫ったクッキングシートを剥がす。
菫子が、ナイフでケーキを半分にスライスし、裏返した皿の上に乗せた。
「ここが腕の見せどころ!」
皿を回してスポンジにクリームを塗るのだ。
「うっわ。無茶や」
早くも弱音を吐いた涼に菫子はにっこり笑う。
「じゃあ回転するやつ今度買ってね」
「ええよ」
涼の即答に菫子は吹き出すのをこらえた。
菫子が切った苺を生地の上に乗せて生クリームを塗り、
半分にスライスした生地を重ね合わせて仕上げにかかった。
普通にヘラで塗るよりも絞り袋で飾る方が難しい。
少し斜めにしながら慎重に絞り出していく。
真剣そのものの表情の涼を見て、菫子は彼の会社での姿が浮かぶ気がした。
「よっしゃあ! こんなもんでどうや?」
「うん、すっごくいい感じ! 後はここに苺を置いてっと」
菫子が苺を等間隔にデコレーションケーキの表面に載せていった。
最後に26本のろうそくを飾って完成だ。
ふと顔を上げた時、涼の顔の一点で視線が止まった。
「あ、涼ちゃん」
菫子は背伸びをして涼の頬に唇を寄せた。
ふいをつかれた涼は、目を見開いて驚いている。
「生クリームついてた」
ぺろっと唇を舐める菫子。
「美味かった? 」
「……首が痛い」
自分でしたことだが相当照れているようだ。
誤魔化すように別のことを言う所なんて照れ隠しそのものだ。
「そりゃあ。すまんかったな」
大人と子供分の身長差があれど、心の距離がある二人ではない。
涼は椅子に座ると菫子の腕を引き自分の膝に座らせた。
「涼ちゃ……」
「これでゼロや」
膝の上にいる菫子と目線を合わせて、にーっと笑う。
「うん」
菫子は嬉しそうに頬を緩めた。
「あーん」
涼は包丁で切ったケーキをフォークで
突き刺すと丸ごと菫子の口に放り込む。
口いっぱいに頬張った姿は、まるでリスが
頬袋に食べ物を溜めている様子にそっくりだ。
「……うぐ」
一生懸命咀嚼する菫子に、口の端を吊り上げる涼。
何だかんだ好きな子をついいじめてしまうタイプなのだ。
愛情たっぷり込めて。
涼が菫子に顔を近づけると彼女はじたばたもがいた。
だが腕で押さえつけて逃がさない。
口を触れ合わせると涼の口の中にもケーキが、運ばれる。
正確にはほとんど形が残っていないケーキの欠片だが。
口の端に着いた生クリームをぺろりと舐めてお互いの顔を見つめあう。
「汚いじゃない。そんなことしなくてもまだあるでしょ」
「菫子の口から食べたかったんやもん」
「涼ちゃんって変態だったのね。知ってたけど」
「菫子の前だと我を失くすんやわ」
「誉められてるの?」
菫子は、真顔で聞いた。
「もちろん」
平然と返す涼に一瞬考え込んだ菫子である。
「菫子は俺の前で変なことしてまうやろ。
そういうこと。心許してる者の側にいるからや」
「それなら分かる……かな」
「せやろ」
涼はよしよしと菫子の頭を撫でた。
「お誕生日、おめでとう。涼ちゃんのお誕生日を祝うのも
これで六回目だわ。それだけ一緒にいるのね」
「来年は、生まれてきた子供も一緒や」
お腹を撫でる手つきはとても優しい。
菫子が25歳の誕生日を迎えた一ヶ月後、涼も26歳の誕生日を迎えていた。
ケーキを食べるのを再開する。
次は自分の番とばかりに今度は菫子が、涼の口にケーキを放り込んでいた。
一口大に切ったものをフォークで刺して。
もぐもぐと頬を動かしている涼を菫子はまじまじと見つめている。
「美味しい?」
「うん」
菫子ははにかんで微笑むと涼にぎゅっとしがみついた。
お腹の膨らみのせいで隙間があるけれど、密着していることは変わりなく。
木にへばりつく蝉のように抱きついている菫子の髪に、涼は顔を埋める。
「もっと甘えてわがまま言えばええ。まだ俺には足りんくらいや」
菫子の頬の熱が涼に伝わる。
椅子がぎしりと音を立てて軋んだ。
「寝よか」
涼が耳元で、小さく囁いた言葉に菫子はこくりと頷いた。
身重の菫子を涼は軽々と抱き上げて寝室に運ぶ。
ベッドに寝かされて、腕枕をされた時になって菫子ははっとした。
「ケーキ、冷蔵庫に入れなきゃ」
「ちょっと位傷まんやろ」
「生ものなんだから」
起き上がろうとした菫子を制すると涼は、もう一度キッチンに戻った。
ケーキにラップをかけて冷蔵庫にしまうと寝室に戻る。
菫子は体を横に向けていた。
「ありがと」
「いえいえ」
涼は再び隣に横たわると静かに菫子の体を引き寄せた。
暖房なんて必要ないくらい温かかった。
優しい温度を保っている菫子に、涼は温められている。
菫子の髪に触れたままで瞳を閉じて。
菫子はいつの間にやらすうすうと寝息を立て始めていた。
平日に昼寝するのは休日よりずっと贅沢だなと涼はしみじみ感じていた。
新緑の風が薫る五月。
いつか夢見ていた二人の愛の結晶が、この世界に誕生した。
元気な男の子である。
「どっちに似てるかな? 」
菫子は屈託ない笑顔を夫の涼に向けた。
涼は出産予定日きっちりに生まれてきた我が子をいとおしげに見つめている。
その顔は、すっかり父親だった。
菫子のお腹の中で育つ子供と一緒に
涼の中の父性も成長していったのだ。
目尻に浮かんだ涙をごしごしと腕で擦っている。
「このおっきな目は菫子で、下唇が厚いのは俺?……
まだ生まれたばかりで分からんわ!」
涼は声を荒らげた。だが頬は緩めたまま。
「そうね。猿みたい」
クスクスと声を立てて菫子は笑う。
「手なんて、ぷにぷにや」
指先で触れてみると余計に温かさが伝わってくる。
赤ちゃんは体温が高い。
いつまで見ていても飽きないといった感じの涼。
菫子は、壊れ物の扱うように我が子を抱く夫の姿を微笑ましく見つめた。
「考えてた名前、覚えてるよね」
菫子の合図に一緒に息を吸い込んで声を紡ぐ。
「「奏」」
読み方は「かなで」だ。
涼の名前とあわせると涼を奏でる。
男の子と女の子のどっちが生まれてもこの名前にしようと決めていた。
「音楽関係の習い事させたいなあ」
「今から言うのは早すぎ。目ぇ開けてもないのに」
現実的な涼に菫子は、あははとから笑いした。
気ばかり急いてしまう。
この小さな姿に夢が広がる。
「そうね。これからまだたっぷり時間はあるもの」
「それが分かったらもう寝る」
涼は有無を言わさず布団をかけた。
産後間もない体に無理は禁物だ。
生まれてから、一晩経ってはいるが、まだ安静にしていなければならない。
「うん」
「おやすみ」
「おやすみ、涼ちゃん。起きたらまたいるかなあ」
「会社帰りに寄るから」
菫子は微笑むと、瞳を閉じた。
涼は名残惜しいながらもベビーベッドの中に、
我が子を寝かせて病室を後にした。
「かわいい」
涼との間に生まれた我が子を見つめて微笑む。
10ヶ月と10日の間、お腹にいた子が
産声をあげて涼と菫子のもとにやってきた。
医師に妊娠を告げられる前にも、彼女自身気づく瞬間が
あったのだが、涼には言っていない。
待ち望んでいた我が子に会えて嬉しくてたまらない。
生まれた瞬間、父親の涼がくれた言葉が胸を離れない。
「ありがとう。よう頑張ったな」
笑顔に大粒の涙を浮かべた菫子は、
更に涙を流したのだった。
三人で手を繋いで歩んでいこう。
辛いことも皆が一緒なら、喜びに変えていけるから。
宝物を見つけた二人の明日はきっと輝いている。
終らない未来へ。
愛おしいという気持ちが、大事なものを育んでいく。
ソファーの上で旦那様の帰りを待ちながら、
新しく訪れる未来を思い浮かべる。
片想いから結ばれた人と、付き合い結婚して
お腹に小さな命を授かった。
それは、当たり前じゃなくて舞い降りた奇跡。
これからが大変だが菫子の気持ちは明るく満たされていた。
携帯電話を確認する。
涼は、残業で遅くなるということだった。
「……毎日、ありがとう」
独りごちて、なぜだか照れる。
ちゃんと直接伝えておくべき言葉だ。
チャイムが鳴り響き、菫子は玄関へ向かう。
扉を開くと、笑顔の旦那様がいた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
菫子が言い終わるのを待たず、涼は彼女を抱きしめた。
慌てる隙を与えず、お姫様抱っこをする。
「……遅くなってごめんな」
「毎日ありがとね……」
ぎゅっ、とスーツの裾を掴む。
恥ずかしいが、今日は身を任せてみようと思った。
涼が菫子の顔を見てほっと表情を緩めたからだ。
(おつかれさま……涼ちゃん)
背中にしがみつく。
キッチンの椅子に下ろされた菫子は、
「ごはん食べる? お風呂を先にする?」
新妻らしく問いかけた。
上目遣いでの問いかけだ。
「無意識やろ……」
「え?」
涼は小さく肩をすくめた。
「風呂にするわ」
「わかった」
「一緒に入る?」
耳元に顔を近づけて言われた菫子は、咳きこみかけた。
(耳元に甘い低音はずるいなあ)
「……う、うん」
まだ入浴は済ませていなかった。
涼の帰りを待っていたのだ。
「自分で歩けるからね!」
横抱きにされて運ばれてもドキドキして心臓に悪い。
そういうのは胎教によろしくない。
妊娠が分かってから触れ合うことは少なくなり、
些細な触れあいでも心拍数があがってしまう。
クスッ、と笑った涼は菫子の頭をなでた。
「先に入ってるから、すぐ来るんやで」
また顔が赤くなった菫子である。
定期健診からの帰り道、手を繋いで歩きながら、
涼と菫子は他愛もないお喋りを交わしていいた。
「何か期待も高まるわ。実感沸いてきたなあ」
しみじみ呟く涼。
「あと二ヶ月やな」
ほわあっと頭の中で鳥が飛んでいるような表情を
浮かべているのは妻、菫子。
彼女は妊娠8ヶ月を迎えておりお腹も大分目立ってきていた。
「男と女のどっちやろな。俺と菫子の子やしどっちでも可愛いんやろなあ」
「涼ちゃん、バカ丸出しよ」
菫子は天然毒吐きさんなのである。
本人は無自覚できつい一言を放つのだ。
「……菫子の一言って一気に現実に引き戻すな」
「あっ……ごめん」
「俺だって負けるつもりないからええんやけどな」
「本気の涼ちゃんには勝てないわよー」
菫子はふふふと笑った。
「水泳教室ってどうなん? 」
「妊婦友達もいるし気分転換にもなるしすっごく楽しいわ」
菫子は路上にも拘らずテンション高く声を弾ませて話す。
涼は楽しげな彼女の様子に目を細める。
「落ち着いたら仕事復帰するつもりだけどね」
「二人目はまだ先ってことで?」
「……一個違いは体力的に無理かな」
頬に落ちたキスにくすぐったくなる。
「俺もお前と過ごせるなら贅沢は言わへんよ」
口調は軽いが、本気で言っているのが菫子には分かった。
「やっぱり涼ちゃんって好きだわ」
「当たり前のこと言うただけ」
菫子はぎゅっと涼の腕にしがみついた。
マンションの扉を開けても未だ手を離さない。
「ケーキ作りよ! 」
「ほーい」
「何その変な返事」
「足手まといにならんよう気ぃつけます! 」
あまりにおかしくてお互い吹き出した。
最近のテンションは前よりずっと妙だ。
菫子のお腹が動くたびに涼は過剰に反応するし、
この夫婦には危機的予感は何も感じられない。
今日は涼の誕生日だ。
朝、定期健診を終えてそのまま帰ってきた二人は、
早速ケーキ作りに取り掛かろうとしていた。
本当は一人で作るべきだが、過剰に心配する涼が一緒に作ると言い出した。
もうすぐ出産する菫子はだいぶんお腹が目立ってきている。
平日だが、涼は有給が溜まっていたので
一日休みを取り、午前中は健診に付き添った。
実は今まで健診にはほとんど菫子一人で行っていて、
涼は心苦しさを感じていたのだ。
仕事があるから仕方がないものの、菫子は不満一つ言わないので
涼が気遣わなければならない。
分かち合うのが夫婦だと彼は思っている。
出産の折には必ず付き添うと心に決めており、
出産予定日に休みを取る届けをすでに出している愛妻家である。
誰かが欠勤したら休めなくなるから、
早めに手を打つのに越したことはないのだ。
「菫子、予熱終わったで」
「入れてくれる」
涼の声に菫子は生地を流した型を涼に渡す。
チョコレートの甘い匂いが辺りに立ちこめていた。
涼は、下ごしらえにはほとんど手を出していない。
スポンジケーキの間に生クリームを挟んだり、
上に飾りつけたりする作業を任されているからだ。
生地がちゃんと焼けてなければ、話にならないのだが、後の作業も中々
プレッシャーがある。ぐちゃぐちゃにクリームが乗っかっているのより
綺麗に盛りつけられたものの方が、見た目にも美味しい。
夫婦になって初めて一緒に取り組んでいるケーキ作り。
涼は未知の世界に触れるようで、わくわくと胸を躍らせていた。
料理は得意だがお菓子作りは不得手な彼は、菫子の指示通りに
動いているが、いきいきと楽しそうだ。
「涼ちゃん、子供みたい」
くすっと笑う菫子に涼はほんの少し頬を赤らめた。
「おもろいんやからしゃあないやろ」
「ふふ。紅茶入れなきゃね」
菫子は電気ケトルをセットして椅子に座った。
テーブルクロスの皺を手で直すとにっこり笑った。
常々憧れていた真っ白なレースのテーブルクロスは汚れ一つない。
何枚も同じ柄のストックを揃えていた。
「ええ感じ」
涼は、一度取り出したケーキを竹ぐしで差して焼け具合を確かめた。
「じゃもう一回オーブンにGO!」
るんるん調子で菫子は号令を出し、
「ラジャ」
冗談っぽく涼が返答した。
続いて涼が、生クリームを泡立て始めた。
泡立ては根気のいる作業なので電動を使う方が楽だが、涼はしゃかしゃかと
リズムを刻み、クリームをあっという間に角が立つ状態にした。
「涼ちゃん、かっこいい。さすが男の人だわ! 」
菫子がぱちぱちと拍手する。
「ざっとこんなもんやな」
とか言いつつ涼はぽりぽりと頭をかいた。
まんざらでもなさそうである。
「ねえ。涼ちゃんこっち向いて」
菫子は笑顔満面だ。
「はい、チーズ」
菫子は手のひらを顔の前に構えてシャッターを切るポーズをする。
涼は不思議そうな顔になった。
「だってすっごくいい顔してたんだもん」
「撮る真似でええの?」
「忘れられるはずないでしょ」
想い出は吐息を零す間にも蓄積されていく。
ちょっとした会話も大切な記憶だ。
オーブンを見るとケーキが完成間近だというのがうかがえた。
菫子はキッチンミトンを涼に手渡す。
涼は喉でくくっと笑った。
「……反則や」
無意識で虜にする菫子。
外見も少しふっくらしてママになる柔らかな雰囲気が漂っていて、
そんな彼女を守らねばと強く感じている涼だった。
菫子は顔を真っ赤にして俯き加減でお腹に触れている。
涼は、オーブンから焼きあがったスポンジを
取り出すと皿の上に引っくり返した。
綺麗に型から抜けて見た目はまずまずの焼き上がりだ。
バターを縫ったクッキングシートを剥がす。
菫子が、ナイフでケーキを半分にスライスし、裏返した皿の上に乗せた。
「ここが腕の見せどころ!」
皿を回してスポンジにクリームを塗るのだ。
「うっわ。無茶や」
早くも弱音を吐いた涼に菫子はにっこり笑う。
「じゃあ回転するやつ今度買ってね」
「ええよ」
涼の即答に菫子は吹き出すのをこらえた。
菫子が切った苺を生地の上に乗せて生クリームを塗り、
半分にスライスした生地を重ね合わせて仕上げにかかった。
普通にヘラで塗るよりも絞り袋で飾る方が難しい。
少し斜めにしながら慎重に絞り出していく。
真剣そのものの表情の涼を見て、菫子は彼の会社での姿が浮かぶ気がした。
「よっしゃあ! こんなもんでどうや?」
「うん、すっごくいい感じ! 後はここに苺を置いてっと」
菫子が苺を等間隔にデコレーションケーキの表面に載せていった。
最後に26本のろうそくを飾って完成だ。
ふと顔を上げた時、涼の顔の一点で視線が止まった。
「あ、涼ちゃん」
菫子は背伸びをして涼の頬に唇を寄せた。
ふいをつかれた涼は、目を見開いて驚いている。
「生クリームついてた」
ぺろっと唇を舐める菫子。
「美味かった? 」
「……首が痛い」
自分でしたことだが相当照れているようだ。
誤魔化すように別のことを言う所なんて照れ隠しそのものだ。
「そりゃあ。すまんかったな」
大人と子供分の身長差があれど、心の距離がある二人ではない。
涼は椅子に座ると菫子の腕を引き自分の膝に座らせた。
「涼ちゃ……」
「これでゼロや」
膝の上にいる菫子と目線を合わせて、にーっと笑う。
「うん」
菫子は嬉しそうに頬を緩めた。
「あーん」
涼は包丁で切ったケーキをフォークで
突き刺すと丸ごと菫子の口に放り込む。
口いっぱいに頬張った姿は、まるでリスが
頬袋に食べ物を溜めている様子にそっくりだ。
「……うぐ」
一生懸命咀嚼する菫子に、口の端を吊り上げる涼。
何だかんだ好きな子をついいじめてしまうタイプなのだ。
愛情たっぷり込めて。
涼が菫子に顔を近づけると彼女はじたばたもがいた。
だが腕で押さえつけて逃がさない。
口を触れ合わせると涼の口の中にもケーキが、運ばれる。
正確にはほとんど形が残っていないケーキの欠片だが。
口の端に着いた生クリームをぺろりと舐めてお互いの顔を見つめあう。
「汚いじゃない。そんなことしなくてもまだあるでしょ」
「菫子の口から食べたかったんやもん」
「涼ちゃんって変態だったのね。知ってたけど」
「菫子の前だと我を失くすんやわ」
「誉められてるの?」
菫子は、真顔で聞いた。
「もちろん」
平然と返す涼に一瞬考え込んだ菫子である。
「菫子は俺の前で変なことしてまうやろ。
そういうこと。心許してる者の側にいるからや」
「それなら分かる……かな」
「せやろ」
涼はよしよしと菫子の頭を撫でた。
「お誕生日、おめでとう。涼ちゃんのお誕生日を祝うのも
これで六回目だわ。それだけ一緒にいるのね」
「来年は、生まれてきた子供も一緒や」
お腹を撫でる手つきはとても優しい。
菫子が25歳の誕生日を迎えた一ヶ月後、涼も26歳の誕生日を迎えていた。
ケーキを食べるのを再開する。
次は自分の番とばかりに今度は菫子が、涼の口にケーキを放り込んでいた。
一口大に切ったものをフォークで刺して。
もぐもぐと頬を動かしている涼を菫子はまじまじと見つめている。
「美味しい?」
「うん」
菫子ははにかんで微笑むと涼にぎゅっとしがみついた。
お腹の膨らみのせいで隙間があるけれど、密着していることは変わりなく。
木にへばりつく蝉のように抱きついている菫子の髪に、涼は顔を埋める。
「もっと甘えてわがまま言えばええ。まだ俺には足りんくらいや」
菫子の頬の熱が涼に伝わる。
椅子がぎしりと音を立てて軋んだ。
「寝よか」
涼が耳元で、小さく囁いた言葉に菫子はこくりと頷いた。
身重の菫子を涼は軽々と抱き上げて寝室に運ぶ。
ベッドに寝かされて、腕枕をされた時になって菫子ははっとした。
「ケーキ、冷蔵庫に入れなきゃ」
「ちょっと位傷まんやろ」
「生ものなんだから」
起き上がろうとした菫子を制すると涼は、もう一度キッチンに戻った。
ケーキにラップをかけて冷蔵庫にしまうと寝室に戻る。
菫子は体を横に向けていた。
「ありがと」
「いえいえ」
涼は再び隣に横たわると静かに菫子の体を引き寄せた。
暖房なんて必要ないくらい温かかった。
優しい温度を保っている菫子に、涼は温められている。
菫子の髪に触れたままで瞳を閉じて。
菫子はいつの間にやらすうすうと寝息を立て始めていた。
平日に昼寝するのは休日よりずっと贅沢だなと涼はしみじみ感じていた。
新緑の風が薫る五月。
いつか夢見ていた二人の愛の結晶が、この世界に誕生した。
元気な男の子である。
「どっちに似てるかな? 」
菫子は屈託ない笑顔を夫の涼に向けた。
涼は出産予定日きっちりに生まれてきた我が子をいとおしげに見つめている。
その顔は、すっかり父親だった。
菫子のお腹の中で育つ子供と一緒に
涼の中の父性も成長していったのだ。
目尻に浮かんだ涙をごしごしと腕で擦っている。
「このおっきな目は菫子で、下唇が厚いのは俺?……
まだ生まれたばかりで分からんわ!」
涼は声を荒らげた。だが頬は緩めたまま。
「そうね。猿みたい」
クスクスと声を立てて菫子は笑う。
「手なんて、ぷにぷにや」
指先で触れてみると余計に温かさが伝わってくる。
赤ちゃんは体温が高い。
いつまで見ていても飽きないといった感じの涼。
菫子は、壊れ物の扱うように我が子を抱く夫の姿を微笑ましく見つめた。
「考えてた名前、覚えてるよね」
菫子の合図に一緒に息を吸い込んで声を紡ぐ。
「「奏」」
読み方は「かなで」だ。
涼の名前とあわせると涼を奏でる。
男の子と女の子のどっちが生まれてもこの名前にしようと決めていた。
「音楽関係の習い事させたいなあ」
「今から言うのは早すぎ。目ぇ開けてもないのに」
現実的な涼に菫子は、あははとから笑いした。
気ばかり急いてしまう。
この小さな姿に夢が広がる。
「そうね。これからまだたっぷり時間はあるもの」
「それが分かったらもう寝る」
涼は有無を言わさず布団をかけた。
産後間もない体に無理は禁物だ。
生まれてから、一晩経ってはいるが、まだ安静にしていなければならない。
「うん」
「おやすみ」
「おやすみ、涼ちゃん。起きたらまたいるかなあ」
「会社帰りに寄るから」
菫子は微笑むと、瞳を閉じた。
涼は名残惜しいながらもベビーベッドの中に、
我が子を寝かせて病室を後にした。
「かわいい」
涼との間に生まれた我が子を見つめて微笑む。
10ヶ月と10日の間、お腹にいた子が
産声をあげて涼と菫子のもとにやってきた。
医師に妊娠を告げられる前にも、彼女自身気づく瞬間が
あったのだが、涼には言っていない。
待ち望んでいた我が子に会えて嬉しくてたまらない。
生まれた瞬間、父親の涼がくれた言葉が胸を離れない。
「ありがとう。よう頑張ったな」
笑顔に大粒の涙を浮かべた菫子は、
更に涙を流したのだった。
三人で手を繋いで歩んでいこう。
辛いことも皆が一緒なら、喜びに変えていけるから。
宝物を見つけた二人の明日はきっと輝いている。
終らない未来へ。
0
あなたにおすすめの小説
親愛なる後輩くん
さとう涼
恋愛
「神崎部長は、僕と結城さんがつき合っているのを知りながら彼女に手を出したんですよ」
雨宮一紗(33歳)。離婚して3年。
同じ会社に勤める元夫・神崎敦朗と復縁したくて、ある日食事に誘ったら、神崎から恋人がいると知らされる。相手は20代の部下・結城史奈だという。
さらに神崎のもうひとりの部下である蓮見閑《しずか》から、彼女(結城)を神崎に略奪されたと聞かされてしまい、大きなショックを受ける……。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
年下研修医の極甘蜜愛
虹色すかい
恋愛
医局秘書として市内の病院に勤務する廣崎彩27歳。普段はスマートに仕事をこなすクールな彼女だが、定期的にやって来る「眠れない夜」に苦しんでいる。
そんな彩に、5年越しの思いを寄せる3歳年下の藤崎仁寿。人当たりがよくて優しくて。仔犬のように人懐っこい笑顔がかわいい彼は、柔和な見た目とは裏腹に超ポジティブで鋼のような心を持つ臨床研修医だ。
病気や過去の経験から恋愛に積極的になれないワケありOLとユーモラスで心優しい研修医の、あたたかくてちょっと笑えるラブストーリー。
仁寿の包み込むような優しさが、傷ついた彩の心を癒していく――。
シリアスがシリアスにならないのは、多分、朗らかで元気な藤崎先生のおかげ♡
*****************************
※他サイトでも同タイトルで公開しています。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる