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6 win−winな関係
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なだれ込むように、ホテルの部屋に入ると、キスをしたまま真白は響夜に抱き上げられ、ベッドへと連れて行かれた。
セフレなんて不健全だ。
そんな風に思っていた頭は、もうどこにもない。
ただ、己の服と相手の服を剥ぎ取って、隙間なく溶け合いたい。
そんな気持ちが勝っていた。
ベッドに辿り着くと、寝かされると思っていた真白の予想を裏切り、響夜はベッドに腰掛けた。
自然と、いわゆる対面座位の形になり、響夜の手は真白の服に伸びてきた。こんな形になったことはなく、心臓の音は煩いくらいに鳴っている。
どうしたらいいのか分からない気持ちをごまかすために、間近に迫る端正な顔立ちに見とれていると、彼の視線が下がり、長い睫毛が頬に影を作った。
高い鼻梁、厚くも薄すぎもしない唇。
なぜ、この男は自分に構うのだろう。
そんな疑問が浮かぶ中、流れるように上着を脱がされ、床に落ちる音に気が付く間にシャツのボタンに指が掛かったが、その手は急に止まる。
ぱっと上がった視線と間近で目が合う。
「どうする? 俺が脱がす? それとも……自分で脱ぐ?」
「じ、じぶんで?」
気まずさの中で聞こえてきた言葉は、究極の選択だった。
自分の意思で素肌を晒すのと、脱がされて肌を晒すのでは、恥ずかしさがだいぶ違う。
頭が上手く働かなくて、選ぶべきものが分からない。
「どっちでも」
自分で選ぶなんてことは出来なかった。
曖昧な返事を返せば、響夜は喉で笑うと真白の両手を取って、自分のTシャツの裾を掴ませる。
「俺はさ、積極的に脱いでアピールしてくる女よりも、脱がせる方が好きなんだよね。だから、俺の服は真白が脱がせて?」
誘う言葉に誘導されるまま、真白は響夜の服を引き上げて剥ぎ取った。
されるがままに脱がされた彼の鎖骨の間の太陽のタトゥーが目に入り、それを撫でたい衝動に駆られる。
真白の気なんて知らない響夜は、彼女のシャツのボタンを外し、開かせると手を肌に添えて撫でるようにして脱がせた。
協力するように、腕から力を抜いて、だらりっとさせているとシャツが滑り落ちていく。
パサッという床に落ちる音なんて大したことがないはずなのに、やけに大きく聞こえる。
まだ二度目の触れ合いということに圧倒されているのに、慣れているであろう響夜は真白のズボンのボタンを外した。
そのまま、ジッパーが下ろされショーツの中に手が滑り込んでくる。
割れ目を撫で、濡れることを促すように何度も行き来し、真白がたまらず自身を押し付けるようになるまで続いた。
真白自身が気がつくほど響夜の指の滑りが良くなると、蜜壺に指が滑り込んできた。
「ちょっ!」
早すぎる展開に口を挟もうとすれば、空いた手で頭を引き寄せられてキスで塞がれた。
すぐに離れていった唇は、真白の自信のない胸へと降りていく。
これまで小さいことを気にしたことは、一度もない。
なんなら、ボーイズ系の服を好む真白にとっては、邪魔にならなくていいくらいにしか思っていなかった。
なのに、前回触れられたことによって、こんな小さな胸を触ったところで、何も面白くないんじゃないかと気になり始めた。
機能的なブラの上部に、申し訳程度にある膨らみに軽くリップ音を立ててキスをしながらも、中を刺激する指の動きは止まらない。
突然、指の腹で中の上部を刺激され、体がビクビクと震えた。
「あうっ」
背中を仰け反らしたせいで後ろに倒れそうになったが、腰に回された腕に引き寄せられた。
同時に、指が抜けていき、甘い刺激を引き留めようと締め付ける。
息をつく間もなく、Tシャツを脱がせるようにブラを脱がされた。
軽く揺れるなんてほどすらない胸を片手で隠す。
「なんで隠すの?」
隠す腕にキスをされ、言いたくはないが追及され続けるのも面倒だ。
「胸が小さいから……わっ」
小さな声で言えば、背中と腰を支えられ、くるりっと反転されてベッドに押し付けられた。
胸の上部、間、下部、鳩尾、へそと響夜の唇がリップ音を立てながら下りていく。
「大きさなんて、どうでもよくない?」
ズボンとショーツを一遍に脱がされ、真白はハッとした。
「まって、まずシャワーを」
「前回、受け入れたくせに何いってんの」
太ももをがっちりと掴まれ、足の間に顔を埋められた。
吐息が触れ、焦った真白は響夜の頭を掴んで止めた。
「あの日は、ちゃんと考えられなくなってたの! シラフの時には本気で無理だから!」
傍から見たら間抜けな格好だろう。
けれど、今の真白はそんなことよりも、シャワーも浴びていないのに、その場所を舐められることに抵抗があった。
こんな風に拒絶したら、呆れて帰ってしまうかもしれない。
心のどこかでは、そう思っていたけど羞恥に耐えられなかった。
「……わかったよ。もっとドロドロにしたかったのにな。でも、真白の嫌がることはしないよ」
真白の足を放し、体を起こして膝立ちになると響夜は自身のズボンのボタンに手をかけた。
「目を瞑ってて」
「どうして?」
「初めてでしょ? ゴムを着けるから……見たら怖くなるかもよ」
ファスナーを下ろす手と音によって、この先に気がついた真白は、言われたとおりに顔を背けて目を閉じた。
心臓がうるさい。
視界を無くしたせいで音に敏感になり、何かのパッケージを破る音が聞こえる。
彼の動きに合わせて、ベッドがわずかに揺れた。
「あっ、んん」
割れ目に固く丸い感触のモノがあてがわれ、ヌルヌルと何度も行き来し、お腹の奥が本能的に疼く。
「優しくはする……でも、絶対に痛くしないとは言えない」
「へ、へいき」
「力抜いて。気休めになるなら、いくらでも引っ掻いていいから」
ぐっ、と先端が押し当てられ、押し開くようにゆっくりと入ってくる。
濡れて、何度も解されていたはずなのに、無理やり押し広げられていると感じるほど、きつく違和感があった。
無理だ。そんな大きなモノが入るわけがない。
ぎゅっと、真白は枕を掴んで、顔は背けたままにする。
怖い。
なのに、心のどこかでは、中に入ってきたらどんな感触なんだろうかという好奇心もある。
「ひゃっ」
突然、感じたことのない感覚が、繋がりとは別の部分から伝わってきて体が跳ねた。
その拍子に、足の間の異物感が増す。
「な、なに?」
「はっ……痛くない?」
「うん……だいじょうぶ。苦しさはあるけど」
「なら、よかった。はあー、すっげぇ狭い。平気そうなら、動くよ」
ゆっくりと、響夜は腰を動かし始めた。
先端のせいで、入ってくる時よりも、抜けていく時に内壁を刺激されて、力が抜ける。
「あ……っあ!」
抜けていく寂しさと、入ってくることによってもたらされる満足感。
なんとも言えない感情に、真白はもっとと強請るように自然と腰が動いてしまう。
さっきまでの恐怖心は、どこにいったのか。
そんな様子を見ていた響夜は、次第に腰の動きを速くしだした。
「真白の中……熱くて、すごく濡れてる。なのに、狭くて、くっ!」
余裕なさそうに表情を歪めた響夜は、真白の腰を掴むと力強く腰を打ち付け始めた。
彼が離れていこうとする度に、中は離すまいと締め付ける。
「あっ!」
時々、真白がぴくりと反応する場所を、わざと的確に刺激され、むず痒いような感覚が弾けた。
小刻みに中が震え、熱い息を吐いた響夜がゴムの中に熱を吐き出し、奥を何度か揺すりあげて腰を引いた。
まだ疼きが続いているのに、引いていかれる感覚に、言いようのない良さで震えた。
「んっ……」
立てようと思っていた足は、力が入らなくて思ったようには動いてくれない。
肌はしっとりと汗をかき、暴れる心臓を鎮めようと呼吸を整えていると、パッケージを破る音が聞こえてきた。
「嘘でしょ……」
力の抜けた足の間に、腰を割り込ませた響夜は、キスを下から順に降らせながら、ぬかるみに先端を忍び込ませた。
一度味わったその場所は、彼の熱棒をすんなりと受け入れる。
「嘘じゃないし、俺はまだ満足とは程遠い」
自分よりも大きな体に押しつぶされるように交わる二回目は、どれだけ彼が手加減していたかを感じさせるものだった。
腰のダルさと、忍び寄る眠気。
シーツを掛けられ、後ろから労るように肩にキスをされた。
「ほら、ストレス発散にいいだろ? こんなことするよりも」
腕を撫でられ、響夜が言っているのが自分でつけた爪痕であることに気がついたが、リラックスしすぎてどうでもよかった。
「私にとってメリットかもしれないけど……あなたにどんなメリットがあるの?」
「んー? いろいろかな」
意味深に言葉を濁され、彼に会ってから気がついたことが口から零れ出た。
「だいぶ前から……うちの会社を見てるのは、あなたでしょ?」
どれもこれも、偶然の出会いではなかったはずだ。
じゃなきゃ、自分みたいに平凡な女に、こんな男が声をかけるはずがない。
気まずいはずの沈黙は、ただ真白の眠気を促すだけだった。
☆☆☆☆☆
「まさか、気づかれてるとはな」
すっ、と眠ってしまった女に、響夜は驚きの目を向けていた。
たしかに、高月百貨店の本社を観察していた。
なにかいいネタはないかと、女性社員を誘うのは容易い。
大抵の女は、響夜の見た目に蝶が花の蜜に引き寄せられるように惹かれる。
抗うことなんてできやしない。
響夜は、そういう存在だから仕方がないのだ。
彼は、人外者である。
それも、淫魔なのだ。
性的魅力に溢れ、独特なフェロモンも持っている。
人間は人外者の存在など信じていないだろうが、普通に生を受けて存在しているのが事実だ。
真白に、最初から興味があった訳じゃない。
観察している時に、ふと目に入った。
生き生きとする人間の中で、彼女は疲れた顔をしていた。
目の下にクマはあるし、平凡な髪型と化粧。
疲れた人間の精気などうまくもないし、平凡すぎてセックスをする気にもならなかった。
二度と気にもとめないだろう。。
そんな風に思っていたのに、あの夜バーに入った瞬間に、まったく印象の違う真白を目にして驚いた。
姿が違えども、人外者としての嗅覚をごまかすことはできない。
すぐに響夜は気がついた。
そして興味が湧いたのだ。
あんなに禁欲的に見えた平凡な彼女が、こんなに見た目が変わるのなら、ベッドの中ではどんな姿を見せるのかと。
別の日に、適当な女を抱いているときに、真白が来たのは予想外だった。
すぐに逃げ出すだろう彼女が、性的興奮の香りを出し始めたことに驚きつつ、その香りは麻薬のように響夜を夢中にさせた。
香りだけで、上物といった感じなら、実際に味わったらどんな感じなのだろうか。
適当な女を抱きながら、頭の中では真白を抱いていた。
その蜜を、唾液を、体液を舐め取りたい。
こんな感情は、響夜にとって初めてだった。
生きるために必要だから、セックスをして美味い精気を奪っていたが、真白のことはとにかく隅々まで味わいたいという思いが強かった。
酔った真白に声をかけ、彼女が吸うタバコを奪って吸った時、あまりにも美味い精気の味にそれだけでぶっ飛びそうな感覚を味わったのだ。
セックスをせず、体が満足感を得たことはない。
その瞬間、ただの興味という感情から、欲しいという欲求に変わった。
酔った女を手に入れるほど、簡単なことはない。
予想外だったのは、彼女が処女だったことだ。
自分が淫魔だと知ってからの七年間、処女だけは避けてきた。
面倒だからとかそういうわけじゃない。
ただ自分の気持ち的に、良くないと思うからだ。
動画で証拠は残したが、真白が起きるまでは我慢した。
不思議と寝ている彼女が目を覚ますのを楽しみにしていた自分に驚いたものだ。
普段なら、家に届けるだけ届けて、さっさと帰っていただろう。
本当は帰るつもりだった。
けれど、眠る真白を見ていたい。
帰ろうとするたびに、感じたことのない引力に引き寄せられて、寝顔を眺めていた。
部屋の中はシンプルで片付いていて、男のいる気配は一つもない。
これまでのセフレ相手に、気にしたこともないことが気になる。
処女ではあるが、恋人ぐらいはいたはずだ。
どこまで許したのか。
キスはしたか。
この部屋に招いたことがあるのか。
朝日が登り始めても、冷めない熱を体に感じて勝手にシャワーを浴びて戻れば、真白がごそごそと動いていて、自分だけが心を乱されているようで癇に障った。
だから意地悪な物言いもしたし、動画を見せた時の慌てっぷりには、ぞくぞくとする喜びを見出した。
そのせいで、するはずのなかった行為をすれば、最高の蜜の味に痛いほどに熱が下半身に集中していた。
普段ならありえないことだ。
あんな口淫だけで、下半身が反応しきるなんてことは経験がない。
初めての経験に、眠ってしまった真白を置いてもう一度戻った浴室で、水を浴びて熱を冷まして部屋を出た。
名残惜しさよりも、寝ている真白に許可なく襲いかかりそうで怖かった。
精気で体は満たされたが、荒れ狂う性的欲求を抱えたまま街を歩いていれば、セフレからの誘いが一本入った。
ちょうどいいという思いで会い、すぐさまホテルで服を剥いで事を始めたが、下半身は冷え切っていた。
相手の豊かな胸や、細い腰つき、張りのある尻を見ても、ピクリともしない。
それなのに、数時間前のましろの乱れた様子を思い浮かべただけで、熱が集まり舌に感じた甘さを思い出す。
セフレの女を組み伏せながら、次に会った時のことを思い浮かべた。
彼女が手を出すべきではないと誓った処女だということは、もうどうでもいい。
とにかく誰にも触れられたことのない真白を味わうのは、自分だけだ。
初めてだというなら、これまでの相手への適当さで抱くわけにはいかない。
繊細に抱いて、次も自分とセックスがしたいと思ってもらえるような体験にしなければならない。
当初は、響夜もそう考えていた。
それが、どうだろうか。
真白と繋がった瞬間、中の具合の良さに理性が溶けかけた。
熱さ、狭さ、動き、その全てが今までのセックスが単なる愛撫程度のものに思えた。
落とすはずが、落とされたのは響夜のほうだった。
体調も、これまで一番良く、いつもなら毎日必要だった精気の摂取も、あと二日は必要なさそうだ。
「お前は……一体なんなんだ?」
響夜の呟きを聞いているものは、誰もいなかった。
セフレなんて不健全だ。
そんな風に思っていた頭は、もうどこにもない。
ただ、己の服と相手の服を剥ぎ取って、隙間なく溶け合いたい。
そんな気持ちが勝っていた。
ベッドに辿り着くと、寝かされると思っていた真白の予想を裏切り、響夜はベッドに腰掛けた。
自然と、いわゆる対面座位の形になり、響夜の手は真白の服に伸びてきた。こんな形になったことはなく、心臓の音は煩いくらいに鳴っている。
どうしたらいいのか分からない気持ちをごまかすために、間近に迫る端正な顔立ちに見とれていると、彼の視線が下がり、長い睫毛が頬に影を作った。
高い鼻梁、厚くも薄すぎもしない唇。
なぜ、この男は自分に構うのだろう。
そんな疑問が浮かぶ中、流れるように上着を脱がされ、床に落ちる音に気が付く間にシャツのボタンに指が掛かったが、その手は急に止まる。
ぱっと上がった視線と間近で目が合う。
「どうする? 俺が脱がす? それとも……自分で脱ぐ?」
「じ、じぶんで?」
気まずさの中で聞こえてきた言葉は、究極の選択だった。
自分の意思で素肌を晒すのと、脱がされて肌を晒すのでは、恥ずかしさがだいぶ違う。
頭が上手く働かなくて、選ぶべきものが分からない。
「どっちでも」
自分で選ぶなんてことは出来なかった。
曖昧な返事を返せば、響夜は喉で笑うと真白の両手を取って、自分のTシャツの裾を掴ませる。
「俺はさ、積極的に脱いでアピールしてくる女よりも、脱がせる方が好きなんだよね。だから、俺の服は真白が脱がせて?」
誘う言葉に誘導されるまま、真白は響夜の服を引き上げて剥ぎ取った。
されるがままに脱がされた彼の鎖骨の間の太陽のタトゥーが目に入り、それを撫でたい衝動に駆られる。
真白の気なんて知らない響夜は、彼女のシャツのボタンを外し、開かせると手を肌に添えて撫でるようにして脱がせた。
協力するように、腕から力を抜いて、だらりっとさせているとシャツが滑り落ちていく。
パサッという床に落ちる音なんて大したことがないはずなのに、やけに大きく聞こえる。
まだ二度目の触れ合いということに圧倒されているのに、慣れているであろう響夜は真白のズボンのボタンを外した。
そのまま、ジッパーが下ろされショーツの中に手が滑り込んでくる。
割れ目を撫で、濡れることを促すように何度も行き来し、真白がたまらず自身を押し付けるようになるまで続いた。
真白自身が気がつくほど響夜の指の滑りが良くなると、蜜壺に指が滑り込んできた。
「ちょっ!」
早すぎる展開に口を挟もうとすれば、空いた手で頭を引き寄せられてキスで塞がれた。
すぐに離れていった唇は、真白の自信のない胸へと降りていく。
これまで小さいことを気にしたことは、一度もない。
なんなら、ボーイズ系の服を好む真白にとっては、邪魔にならなくていいくらいにしか思っていなかった。
なのに、前回触れられたことによって、こんな小さな胸を触ったところで、何も面白くないんじゃないかと気になり始めた。
機能的なブラの上部に、申し訳程度にある膨らみに軽くリップ音を立ててキスをしながらも、中を刺激する指の動きは止まらない。
突然、指の腹で中の上部を刺激され、体がビクビクと震えた。
「あうっ」
背中を仰け反らしたせいで後ろに倒れそうになったが、腰に回された腕に引き寄せられた。
同時に、指が抜けていき、甘い刺激を引き留めようと締め付ける。
息をつく間もなく、Tシャツを脱がせるようにブラを脱がされた。
軽く揺れるなんてほどすらない胸を片手で隠す。
「なんで隠すの?」
隠す腕にキスをされ、言いたくはないが追及され続けるのも面倒だ。
「胸が小さいから……わっ」
小さな声で言えば、背中と腰を支えられ、くるりっと反転されてベッドに押し付けられた。
胸の上部、間、下部、鳩尾、へそと響夜の唇がリップ音を立てながら下りていく。
「大きさなんて、どうでもよくない?」
ズボンとショーツを一遍に脱がされ、真白はハッとした。
「まって、まずシャワーを」
「前回、受け入れたくせに何いってんの」
太ももをがっちりと掴まれ、足の間に顔を埋められた。
吐息が触れ、焦った真白は響夜の頭を掴んで止めた。
「あの日は、ちゃんと考えられなくなってたの! シラフの時には本気で無理だから!」
傍から見たら間抜けな格好だろう。
けれど、今の真白はそんなことよりも、シャワーも浴びていないのに、その場所を舐められることに抵抗があった。
こんな風に拒絶したら、呆れて帰ってしまうかもしれない。
心のどこかでは、そう思っていたけど羞恥に耐えられなかった。
「……わかったよ。もっとドロドロにしたかったのにな。でも、真白の嫌がることはしないよ」
真白の足を放し、体を起こして膝立ちになると響夜は自身のズボンのボタンに手をかけた。
「目を瞑ってて」
「どうして?」
「初めてでしょ? ゴムを着けるから……見たら怖くなるかもよ」
ファスナーを下ろす手と音によって、この先に気がついた真白は、言われたとおりに顔を背けて目を閉じた。
心臓がうるさい。
視界を無くしたせいで音に敏感になり、何かのパッケージを破る音が聞こえる。
彼の動きに合わせて、ベッドがわずかに揺れた。
「あっ、んん」
割れ目に固く丸い感触のモノがあてがわれ、ヌルヌルと何度も行き来し、お腹の奥が本能的に疼く。
「優しくはする……でも、絶対に痛くしないとは言えない」
「へ、へいき」
「力抜いて。気休めになるなら、いくらでも引っ掻いていいから」
ぐっ、と先端が押し当てられ、押し開くようにゆっくりと入ってくる。
濡れて、何度も解されていたはずなのに、無理やり押し広げられていると感じるほど、きつく違和感があった。
無理だ。そんな大きなモノが入るわけがない。
ぎゅっと、真白は枕を掴んで、顔は背けたままにする。
怖い。
なのに、心のどこかでは、中に入ってきたらどんな感触なんだろうかという好奇心もある。
「ひゃっ」
突然、感じたことのない感覚が、繋がりとは別の部分から伝わってきて体が跳ねた。
その拍子に、足の間の異物感が増す。
「な、なに?」
「はっ……痛くない?」
「うん……だいじょうぶ。苦しさはあるけど」
「なら、よかった。はあー、すっげぇ狭い。平気そうなら、動くよ」
ゆっくりと、響夜は腰を動かし始めた。
先端のせいで、入ってくる時よりも、抜けていく時に内壁を刺激されて、力が抜ける。
「あ……っあ!」
抜けていく寂しさと、入ってくることによってもたらされる満足感。
なんとも言えない感情に、真白はもっとと強請るように自然と腰が動いてしまう。
さっきまでの恐怖心は、どこにいったのか。
そんな様子を見ていた響夜は、次第に腰の動きを速くしだした。
「真白の中……熱くて、すごく濡れてる。なのに、狭くて、くっ!」
余裕なさそうに表情を歪めた響夜は、真白の腰を掴むと力強く腰を打ち付け始めた。
彼が離れていこうとする度に、中は離すまいと締め付ける。
「あっ!」
時々、真白がぴくりと反応する場所を、わざと的確に刺激され、むず痒いような感覚が弾けた。
小刻みに中が震え、熱い息を吐いた響夜がゴムの中に熱を吐き出し、奥を何度か揺すりあげて腰を引いた。
まだ疼きが続いているのに、引いていかれる感覚に、言いようのない良さで震えた。
「んっ……」
立てようと思っていた足は、力が入らなくて思ったようには動いてくれない。
肌はしっとりと汗をかき、暴れる心臓を鎮めようと呼吸を整えていると、パッケージを破る音が聞こえてきた。
「嘘でしょ……」
力の抜けた足の間に、腰を割り込ませた響夜は、キスを下から順に降らせながら、ぬかるみに先端を忍び込ませた。
一度味わったその場所は、彼の熱棒をすんなりと受け入れる。
「嘘じゃないし、俺はまだ満足とは程遠い」
自分よりも大きな体に押しつぶされるように交わる二回目は、どれだけ彼が手加減していたかを感じさせるものだった。
腰のダルさと、忍び寄る眠気。
シーツを掛けられ、後ろから労るように肩にキスをされた。
「ほら、ストレス発散にいいだろ? こんなことするよりも」
腕を撫でられ、響夜が言っているのが自分でつけた爪痕であることに気がついたが、リラックスしすぎてどうでもよかった。
「私にとってメリットかもしれないけど……あなたにどんなメリットがあるの?」
「んー? いろいろかな」
意味深に言葉を濁され、彼に会ってから気がついたことが口から零れ出た。
「だいぶ前から……うちの会社を見てるのは、あなたでしょ?」
どれもこれも、偶然の出会いではなかったはずだ。
じゃなきゃ、自分みたいに平凡な女に、こんな男が声をかけるはずがない。
気まずいはずの沈黙は、ただ真白の眠気を促すだけだった。
☆☆☆☆☆
「まさか、気づかれてるとはな」
すっ、と眠ってしまった女に、響夜は驚きの目を向けていた。
たしかに、高月百貨店の本社を観察していた。
なにかいいネタはないかと、女性社員を誘うのは容易い。
大抵の女は、響夜の見た目に蝶が花の蜜に引き寄せられるように惹かれる。
抗うことなんてできやしない。
響夜は、そういう存在だから仕方がないのだ。
彼は、人外者である。
それも、淫魔なのだ。
性的魅力に溢れ、独特なフェロモンも持っている。
人間は人外者の存在など信じていないだろうが、普通に生を受けて存在しているのが事実だ。
真白に、最初から興味があった訳じゃない。
観察している時に、ふと目に入った。
生き生きとする人間の中で、彼女は疲れた顔をしていた。
目の下にクマはあるし、平凡な髪型と化粧。
疲れた人間の精気などうまくもないし、平凡すぎてセックスをする気にもならなかった。
二度と気にもとめないだろう。。
そんな風に思っていたのに、あの夜バーに入った瞬間に、まったく印象の違う真白を目にして驚いた。
姿が違えども、人外者としての嗅覚をごまかすことはできない。
すぐに響夜は気がついた。
そして興味が湧いたのだ。
あんなに禁欲的に見えた平凡な彼女が、こんなに見た目が変わるのなら、ベッドの中ではどんな姿を見せるのかと。
別の日に、適当な女を抱いているときに、真白が来たのは予想外だった。
すぐに逃げ出すだろう彼女が、性的興奮の香りを出し始めたことに驚きつつ、その香りは麻薬のように響夜を夢中にさせた。
香りだけで、上物といった感じなら、実際に味わったらどんな感じなのだろうか。
適当な女を抱きながら、頭の中では真白を抱いていた。
その蜜を、唾液を、体液を舐め取りたい。
こんな感情は、響夜にとって初めてだった。
生きるために必要だから、セックスをして美味い精気を奪っていたが、真白のことはとにかく隅々まで味わいたいという思いが強かった。
酔った真白に声をかけ、彼女が吸うタバコを奪って吸った時、あまりにも美味い精気の味にそれだけでぶっ飛びそうな感覚を味わったのだ。
セックスをせず、体が満足感を得たことはない。
その瞬間、ただの興味という感情から、欲しいという欲求に変わった。
酔った女を手に入れるほど、簡単なことはない。
予想外だったのは、彼女が処女だったことだ。
自分が淫魔だと知ってからの七年間、処女だけは避けてきた。
面倒だからとかそういうわけじゃない。
ただ自分の気持ち的に、良くないと思うからだ。
動画で証拠は残したが、真白が起きるまでは我慢した。
不思議と寝ている彼女が目を覚ますのを楽しみにしていた自分に驚いたものだ。
普段なら、家に届けるだけ届けて、さっさと帰っていただろう。
本当は帰るつもりだった。
けれど、眠る真白を見ていたい。
帰ろうとするたびに、感じたことのない引力に引き寄せられて、寝顔を眺めていた。
部屋の中はシンプルで片付いていて、男のいる気配は一つもない。
これまでのセフレ相手に、気にしたこともないことが気になる。
処女ではあるが、恋人ぐらいはいたはずだ。
どこまで許したのか。
キスはしたか。
この部屋に招いたことがあるのか。
朝日が登り始めても、冷めない熱を体に感じて勝手にシャワーを浴びて戻れば、真白がごそごそと動いていて、自分だけが心を乱されているようで癇に障った。
だから意地悪な物言いもしたし、動画を見せた時の慌てっぷりには、ぞくぞくとする喜びを見出した。
そのせいで、するはずのなかった行為をすれば、最高の蜜の味に痛いほどに熱が下半身に集中していた。
普段ならありえないことだ。
あんな口淫だけで、下半身が反応しきるなんてことは経験がない。
初めての経験に、眠ってしまった真白を置いてもう一度戻った浴室で、水を浴びて熱を冷まして部屋を出た。
名残惜しさよりも、寝ている真白に許可なく襲いかかりそうで怖かった。
精気で体は満たされたが、荒れ狂う性的欲求を抱えたまま街を歩いていれば、セフレからの誘いが一本入った。
ちょうどいいという思いで会い、すぐさまホテルで服を剥いで事を始めたが、下半身は冷え切っていた。
相手の豊かな胸や、細い腰つき、張りのある尻を見ても、ピクリともしない。
それなのに、数時間前のましろの乱れた様子を思い浮かべただけで、熱が集まり舌に感じた甘さを思い出す。
セフレの女を組み伏せながら、次に会った時のことを思い浮かべた。
彼女が手を出すべきではないと誓った処女だということは、もうどうでもいい。
とにかく誰にも触れられたことのない真白を味わうのは、自分だけだ。
初めてだというなら、これまでの相手への適当さで抱くわけにはいかない。
繊細に抱いて、次も自分とセックスがしたいと思ってもらえるような体験にしなければならない。
当初は、響夜もそう考えていた。
それが、どうだろうか。
真白と繋がった瞬間、中の具合の良さに理性が溶けかけた。
熱さ、狭さ、動き、その全てが今までのセックスが単なる愛撫程度のものに思えた。
落とすはずが、落とされたのは響夜のほうだった。
体調も、これまで一番良く、いつもなら毎日必要だった精気の摂取も、あと二日は必要なさそうだ。
「お前は……一体なんなんだ?」
響夜の呟きを聞いているものは、誰もいなかった。
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でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
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