4 / 43
一章
4.活動内容? 俺も良く解らない
しおりを挟む
俺のプライベートが完全に無くなってしまってから数分後──。
その事についてはもう諦めた。諦めて、なるべくそれを考えないようにしようと思う。どうせ知られて困ることなんて······いや、あるけどさ。あるけど、そこまで気を張り続けるとかそんなの無理だって。武術の達人じゃないんだから。
俺はすっかり意気消沈して、先輩の話に生返事しか返すことが出来なくなっていた。
「ところで彼女はどうしたのよ」
「へ?」
いかん、聞き慣れていない単語についおかしな反応をしてしまった。彼女?
「歩香ちゃんよ。今日は遅いみたいだけど、何かあったのかしら?」
そういえばそうだ。いつもなら俺にくっついて部室まで来るのに、なぜか今日に限って居ない。
「呼んだ?」
「うぇっ?」
背後から声がした。振り向くといつの間にか歩香が立っていた。
いや、怖すぎんだろ!急に出てくんなよ!
「ずっと祐希の影に隠れてた。ずっと話聞いてた。美夜子先輩も祐希のトイレに興味あるって言ってた」
歩香がブスーと頬を膨らませて神流先輩を睨んでいる。
「いや、言ってねぇだろ!」
むしろ興味ないって言ってたよ! 話聞けてねぇじゃねぇか!
「というか、お前何でまた潜ってんだよ!」
「朝じゃなければ良いって言ったもん」
「言ってねぇよ! 朝じゃなくてもダメだって言ったよ! お前もちゃんとそれに返事してたよ!」
「む~」
何でこいつはこうも人の話を聞かないのか。これって昔からだったかな。
俺が昔のことを思い出す前に、
「部長はどうしたのかしら?」
神流先輩に引き留められた。
「あぁ、風邪をひいたらしいですよ。先輩こそ、予知できたでしょう。何で歩香が俺の所に来たのだけ見てるんですか」
「そ、そうね······」
なぜか神流先輩が俯いてプルプルし始めた。謎だ。
「ねぇ、祐希~見てみて~、壁にも入れるようになった~」
「おま、何でそんなとこに······」
気付いたら、歩香の体の半分が、壁に映った影に埋まっていた。
「これで祐希の能力で弾かれることも無くなるよ~」
「いや、それはホントに止めてくれ。頼むから」
歩香は日に日に潜る場所が増えている。このままいったら、そのうち影の中で一日過ごすんじゃなかろうか。
あぁ、またプライベートが無くなった音が聞こえたぞ······。
「んんっ·····今日は部長が居ないけど、どうするの?」
あ、神流先輩が復活した。
「どうしますか? 健が居ても居なくても結局することは変わりませんが、居ないのなら解散ですかね?」
基本的に健が全てやっているので、俺達がやることなどほとんど無いのだ。
「そうね、今日は解散でも良いかもしれないわね」
「そうですね」
「帰ろ~。ねぇねぇ祐希! 運んで!」
既に体が半分影に入ってんじゃねぇか。
「あら、じゃあ私は隣を貰おうかしら」
神流先輩が腕を絡めてきた。ちょ、胸が······。
「神流先輩、む、胸が当たってるんですけど······」
「あら、良いじゃない」
「良くないですよ! 離してくださいって!」
「もう、仕方ないわね」
良かった、離してくれた。
「私無視されてる~」
あ、また歩香がむくれた。
ところで、お気付きだろうが、この三人、なんと家の方向が一緒なのだ。おかげで道中暇にならないですむ。うむ、ありがたい。
「さて、帰りますか。歩香は影から出ろよ? また弾き出すぞ?」
「えぇ~······」
「はい、ごー、よーん、さーん──」
「わかった、わかったって」
スルリと影から抜け出て今度は腕を絡めてくる歩香。もういいや。どうせほとんど胸無いし。
「む~、神流先輩と反応が違う~」
それはそうだろう。
「さて、今度こそ帰りましょう」
俺達は昇降口へ歩いて行く。
ちなみに道中で何度も歩香を影から弾き出した。
その事についてはもう諦めた。諦めて、なるべくそれを考えないようにしようと思う。どうせ知られて困ることなんて······いや、あるけどさ。あるけど、そこまで気を張り続けるとかそんなの無理だって。武術の達人じゃないんだから。
俺はすっかり意気消沈して、先輩の話に生返事しか返すことが出来なくなっていた。
「ところで彼女はどうしたのよ」
「へ?」
いかん、聞き慣れていない単語についおかしな反応をしてしまった。彼女?
「歩香ちゃんよ。今日は遅いみたいだけど、何かあったのかしら?」
そういえばそうだ。いつもなら俺にくっついて部室まで来るのに、なぜか今日に限って居ない。
「呼んだ?」
「うぇっ?」
背後から声がした。振り向くといつの間にか歩香が立っていた。
いや、怖すぎんだろ!急に出てくんなよ!
「ずっと祐希の影に隠れてた。ずっと話聞いてた。美夜子先輩も祐希のトイレに興味あるって言ってた」
歩香がブスーと頬を膨らませて神流先輩を睨んでいる。
「いや、言ってねぇだろ!」
むしろ興味ないって言ってたよ! 話聞けてねぇじゃねぇか!
「というか、お前何でまた潜ってんだよ!」
「朝じゃなければ良いって言ったもん」
「言ってねぇよ! 朝じゃなくてもダメだって言ったよ! お前もちゃんとそれに返事してたよ!」
「む~」
何でこいつはこうも人の話を聞かないのか。これって昔からだったかな。
俺が昔のことを思い出す前に、
「部長はどうしたのかしら?」
神流先輩に引き留められた。
「あぁ、風邪をひいたらしいですよ。先輩こそ、予知できたでしょう。何で歩香が俺の所に来たのだけ見てるんですか」
「そ、そうね······」
なぜか神流先輩が俯いてプルプルし始めた。謎だ。
「ねぇ、祐希~見てみて~、壁にも入れるようになった~」
「おま、何でそんなとこに······」
気付いたら、歩香の体の半分が、壁に映った影に埋まっていた。
「これで祐希の能力で弾かれることも無くなるよ~」
「いや、それはホントに止めてくれ。頼むから」
歩香は日に日に潜る場所が増えている。このままいったら、そのうち影の中で一日過ごすんじゃなかろうか。
あぁ、またプライベートが無くなった音が聞こえたぞ······。
「んんっ·····今日は部長が居ないけど、どうするの?」
あ、神流先輩が復活した。
「どうしますか? 健が居ても居なくても結局することは変わりませんが、居ないのなら解散ですかね?」
基本的に健が全てやっているので、俺達がやることなどほとんど無いのだ。
「そうね、今日は解散でも良いかもしれないわね」
「そうですね」
「帰ろ~。ねぇねぇ祐希! 運んで!」
既に体が半分影に入ってんじゃねぇか。
「あら、じゃあ私は隣を貰おうかしら」
神流先輩が腕を絡めてきた。ちょ、胸が······。
「神流先輩、む、胸が当たってるんですけど······」
「あら、良いじゃない」
「良くないですよ! 離してくださいって!」
「もう、仕方ないわね」
良かった、離してくれた。
「私無視されてる~」
あ、また歩香がむくれた。
ところで、お気付きだろうが、この三人、なんと家の方向が一緒なのだ。おかげで道中暇にならないですむ。うむ、ありがたい。
「さて、帰りますか。歩香は影から出ろよ? また弾き出すぞ?」
「えぇ~······」
「はい、ごー、よーん、さーん──」
「わかった、わかったって」
スルリと影から抜け出て今度は腕を絡めてくる歩香。もういいや。どうせほとんど胸無いし。
「む~、神流先輩と反応が違う~」
それはそうだろう。
「さて、今度こそ帰りましょう」
俺達は昇降口へ歩いて行く。
ちなみに道中で何度も歩香を影から弾き出した。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる