レインの店へようこそ!

泡沫 呉羽

文字の大きさ
18 / 26

17話 仕組まれた罠

しおりを挟む
「おい、もういいのか?気持ち悪かなくなったか?」

 暫く声をかけながらレインの背中を優しく擦ってたフェルトラは急に立ち上がったレインに声をかけた。

「うん。もう大丈夫。だけど……血が入ったワインは見たくないかなぁ」
「まぁ、分かってて飲みたくないもんでもあるしな。おい、そこのやつワイン入れ替えろ。あ?全部だ」

 フェルトラは近くを歩いていた給仕に入れ替えるよう指示をだしすべてを先程とは違い、白ワインに変えた。
 レインはほっと息を吐き、白ワインを飲んだ。
 
「フェルトラ、ダンス踊るかい?」
「踊る相手なんていねぇよ。一度踊るとマジ集ってきやがるし」
「ナーガなんてどうだい?それとも例の女性?」

 その言葉にフェルトラはワインを落としかけた。

「あ?俺は嫌だぞ主。こんな男と踊りたいとは思わんからな」
「……同じく。そもそも同性だろが」
「ナーガを女性にしてあげようか?短時間ならできるよ?」
「げっ…俺女にされるのか…それはそれで楽しそうだな。女の方が男は油断しやすいし、魂の味見し放題じゃねぇか」
「流石、人生楽しみたいナーガ君!俺と一緒に薬飲んでみる?」
「二人して飲むのかよ!?」
「安全性は大丈夫さ。俺がちゃんと試しておいたから」
「あー、主の女版すげーやばかったよなぁ」

 そう言いながらナーガが最初に薬を含み姿が少し変わる。

「うおっ?!飲んだのは初めてだが、なんか普段と全然違うな。胸が重いんだが………」
「「わー……ナーガ、マジかぁ」」

 一言で言うなら男装をした若干ツリ目の麗しい女性姿だ。
 その姿にいつものナーガの口調がマッチしており、更に、凛とした声音で男性も女性もナーガを見つめている。

「なぁ、俺だけ注目集めるの嫌なんだけど。お前らも飲め!」

 暫くホールが静かになり国王も王妃もみんな見ており、それに耐えきれなくなったナーガはフェルトラの口に飲み薬を突っ込んだ。
 1度口に入れたものを吐き出せるわけもなくそのまま女性化をフェルトラはした。
 レインに至っては自分で薬を口に入れ女体化を果たした。

「お揃いだね」
「おい、俺もかよ。今度は女性同士で踊ることになるんじゃね?」
「なら、この俺が踊ろうか?フェルトラよ」

 国王がしげしげと自身の息子を眺めながらダンスを誘った。
 ナーガを女性騎士のような凛々しい女性とするならフェルトラは気の強いどこかの男装令嬢だろう。
 レインは元々この中の誰よりも綺麗で整ってる顔つきのため、言うまでもない。
 フェルトラでさえ、今まさに目を離せずにいる。

「なぁ?レインだよ…な?」
「そう。一応言っとくけど薬の配合は平等だからね?」
「なっ?主はやべー」
「薬30分ぐらいしかもたないから楽しもう!」

「ねぇ?よければ踊ってくれないかな?」

 暫く雑談をしたあとレインが大胆に他の人にダンスを誘う。

「なぁ、ナーガ。あいつなんで誘い行ったんだ?」
「あー、後で戻ったときに同性だったことを思い出し鳥肌立ててゾワッとする様子を見たいんだとさ」
「貴族が同性で踊るなんて前代未聞もいいとこだしな、頭が硬いからそうなるか……あいつ、いい趣味してんな」
「うわー、2組目じゃん…主と踊るなんて可愛そ」
「店の美麗の薬を使った女、切れてんぞいいのかレイン」
「あははー、睨まれたね。そろそろ効果切れそうだしやめとくよ」

 2分ぐらいあとに効果が切れ3人とも無事にもとに戻りレインと踊った人たちは予想通り鳥肌がたったらしく腕を抑えていた。

「きゃーーーー!!」

 その時1つ照明が上から落ちてきたらしく女性が腕を大きく負傷をした。

「…………レイン?…また体調が良くないのか…?大丈夫か」

 女性に駆け寄ろうとしたフェルトラはレインを見て、驚いたように声をかけた。
 レインはうずくまっており時々肩が震えている。
 相当良くないのかとフェルトラは女性は他の人が手当をしてるのを見て、レインの横にしゃがみ背中をなでた。

「主……悪魔の力の流れが落ちた照明から見えた……俺以外の悪魔がいる!」
「このタイミングでか!?くそ……レイン無理すんなよ」

 その時、フェルトラの腕をいつものレインじゃ考えられないほどの力でレインは掴んだのだった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...