本当に私でいいんですか?

泡沫 呉羽

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生きる意味

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 シェリアは棺の男をみ、こてんと首を傾げた。

「もう、かれこれ20年もずっとこの状態なんです。命を繋いでるだけでこれ以上は機能をしていないので。」

 セルフィーのこの男の入った棺の端をなぞりながら寂しそうに話しだした。

「私はずっと後悔してました。彼をこの状態にしたのは自体を招いた私のせいなので。彼ならきっと笑って『このぐらい気にするなよ』と言うでしょうがね。」

「なんでこの話を私にするんですか?隠し部屋にもなってましたし隠したかったんじゃ……」

「だからこそですよ。最愛のシェリアには言っておきたかった。ただそれだけです」

 シェリアはなんと声をかければいいか迷っている。

 不用意な言葉でセルフィーをこれ以上傷つけたくはなかった。
 
 シェリアはこの状態を知っている。
 
 溜め込んで溜め込んで、更に溜め込み最後は理性がぶっ飛んでしまうのだ。

 シェリアはなんだか同類、いやそれ以上の存在と出会えた気がした。

 お互いに心に傷を持ち誰にも言えずに苦しむような。

「あまり無理すると駄目ですよ?」

「やはりシェリアは優しいですね。我慢が出来なくなったらあなたに会いに行ってもいいですか?シェリアといると落ち着きます。」

「仕方ないですね、来るなら連絡でもしてから来てください。今度は誘拐なんてしないでくださいね。」

「お嫌ですか?ではお約束しますね」

(誘拐が嫌じゃない人は世界に何人いるんでしょうか?)

 シェリアは心のなかでそう思っていた。

「デートの約束をしてるみたいで素敵ですね。あ、この場合公認の家デートですかね!?」

「いえ、デートなんてしませんよ?第1に恋人じゃないんですから」

 2人の調子はいつものに戻り、少しだけシェリアは彼に興味を持ったのだった。

 
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