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第二章 冒険の始まり
サキュバス退治④ 終結
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「たく、もう少しでリアムにファーストキスを奪われるところだった」
俺は独りごちながら、ベラと戦っている仲間の元へと急いだ。
——リアムには申し訳ないが気絶してもらった。あのままではキスどころか貞操を奪われかねない。しかも他の仲間が戦闘中に。不謹慎にも程がある。
しかし相手がリアムで良かった。これがエドワードなら確実に腕力で負けていたし、ジェラルドなら氷で張り付けにされて無理矢理なんてことも……考えるだけでゾッとする。
「それより何でこんなモヤモヤしてるんだろ」
友達が苦しんでいるのに何も出来なかったから? キスを拒んだ罪悪感? それとも、友達を傷つけたこと? 分からないがモヤモヤする。
俺はこのモヤモヤを解消させるように立ち止まって上空に手を翳した。
これでもかという程に、俺は思い切り魔力を放出した。上空に向かって一筋の光の道が出来、一瞬辺りが明るくなった。
「よし、少しだけ発散できた」
早くベラを捕まえて俺の魔界行きを取り消さなければ。そう思って先を急いだ。
◇
「ごめん。もしかして俺遅かった?」
「丁度さっき仕留めた所だよ」
俺が到着した時、ベラはエドワードによって縄で縛られている所だった。
「ジェラルドもエドワードもやり過ぎなんじゃない? なんか凄いのびてるよ。しかもアデルまで巻き込んじゃったの?」
ベラもアデルも脱力感が半端ない。自力では立てないくらいヘナヘナだ。
「僕らじゃないよ」
「え? 他にも戦ってた人がいたんだ。まぁ、村の一大事だもんね。依頼くらいあるよね」
一人納得していると、ジェラルドが呆れたように言った。
「お前だよ」
「何が?」
「この二人やったの」
「は? 俺今来たんだけど。まさか俺に変装した誰かが……?」
辺りを見渡すが、俺達以外に人はいないようだ。
「さっきお前、光魔法放ってただろ。しかも物凄い大きいの」
「あー、なんとなくね」
モヤモヤしてたから。
リアムのことは言わない方が良いだろう。本人が正気に戻った時に、さっきの出来事は黒歴史でしかないはず。
「でもあれ、別に誰かに向けたやつじゃないけど」
「この二人には効果抜群だったみたいだぞ。まぁそのおかげでアデルに先越されなかったけどな」
——村に戻りながら戦いの全容を聞いた。
ベラとアデルが上空で戦っており、ベラがやや押している状態だった。そこへジェラルドとエドワードが到着。
上空の敵なので、ジェラルドが氷魔法をぶっ放し、一発目は不意打ちだったので命中。
下に落ちてきたベラとエドワードが取っ組み合いを始めたが、ベラは怪力だったよう。エドワードでも敵わなかった。原因はベラの怪力だけではないようだが……。
ベラはほぼ下着姿。女性の素肌に剣や拳を入れることなど優しいエドワードには出来なかった。
上空に戻ったベラに再びジェラルドが魔法で攻撃するが、次は不意打ちではない為、当たらなかった。
それでも何度も二人で魔法を放てば、体勢を崩したベラはアデルによって地上へ叩き落とされた。そのままアデルはベラを捕らえようとしたのだが、そんな時、俺の光魔法が発動。
俺からしたらただの光なのだが、悪魔の二人には効果抜群だったようだ。二人してその場に倒れた。
——これがざっと戦いの流れ。
つまり、俺が光魔法を出さなければ、アデルがベラを捕まえて俺は魔界行き決定だったのか。
「リアムに感謝だな」
「何か言ったか?」
「ううん。明日から村の人達の精気を戻す日々が始まるなと思って」
被害者はざっと五十人はいるようだ。一日では無理だろう。
「以前のように聖水で治らないでしょうか?」
「うーん、やってみないと分からないけど、この村には湖がないよ」
理屈は分からないが以前は湖で聖水が出来た。きっと同じ条件なら聖水も作れる気がするが……。
「それでしたら良い案がありますわよ」
◇
ギルドは緊急時のみ対応してくれる夜間臨時窓口がある。
『依頼中の遺跡を調査していたら、たまたま村を騒がせている原因のサキュバスに遭遇。たまたま捕まえることが出来たので連れてきた』
そう説明すれば、ギルドを通して村長、領主へと報告。処分が決まるまでは、ベラは魔力封じの特殊な地下牢に入ることになった。
ちなみに、依頼外なので報酬は遺跡の調査分のみ。故にサキュバスを倒してもランクは上がらなかった——。
そしてギルドを後にした俺は聖水作りをしている。
「これ本当に出来たのかな?」
二度目だが、やはり見た目はただの水。効力は分からない。
そして肝心の作った場所なのだが、村の中心に位置する噴水だ。湖のように自然界の物でもなければ、さして綺麗な水とも言えない。
しかし、ノエルは得意げに言うのだ。
『噴水とは、此れ即ち恋する二人が出会い別れを繰り返す場所ですわ。恋とは神聖なもの。きっと大丈夫ですわ!』
さっぱり意味が分からない。
「とりあえず、夜が明けたら誰かに飲ませに行こう」
俺は独りごちながら、ベラと戦っている仲間の元へと急いだ。
——リアムには申し訳ないが気絶してもらった。あのままではキスどころか貞操を奪われかねない。しかも他の仲間が戦闘中に。不謹慎にも程がある。
しかし相手がリアムで良かった。これがエドワードなら確実に腕力で負けていたし、ジェラルドなら氷で張り付けにされて無理矢理なんてことも……考えるだけでゾッとする。
「それより何でこんなモヤモヤしてるんだろ」
友達が苦しんでいるのに何も出来なかったから? キスを拒んだ罪悪感? それとも、友達を傷つけたこと? 分からないがモヤモヤする。
俺はこのモヤモヤを解消させるように立ち止まって上空に手を翳した。
これでもかという程に、俺は思い切り魔力を放出した。上空に向かって一筋の光の道が出来、一瞬辺りが明るくなった。
「よし、少しだけ発散できた」
早くベラを捕まえて俺の魔界行きを取り消さなければ。そう思って先を急いだ。
◇
「ごめん。もしかして俺遅かった?」
「丁度さっき仕留めた所だよ」
俺が到着した時、ベラはエドワードによって縄で縛られている所だった。
「ジェラルドもエドワードもやり過ぎなんじゃない? なんか凄いのびてるよ。しかもアデルまで巻き込んじゃったの?」
ベラもアデルも脱力感が半端ない。自力では立てないくらいヘナヘナだ。
「僕らじゃないよ」
「え? 他にも戦ってた人がいたんだ。まぁ、村の一大事だもんね。依頼くらいあるよね」
一人納得していると、ジェラルドが呆れたように言った。
「お前だよ」
「何が?」
「この二人やったの」
「は? 俺今来たんだけど。まさか俺に変装した誰かが……?」
辺りを見渡すが、俺達以外に人はいないようだ。
「さっきお前、光魔法放ってただろ。しかも物凄い大きいの」
「あー、なんとなくね」
モヤモヤしてたから。
リアムのことは言わない方が良いだろう。本人が正気に戻った時に、さっきの出来事は黒歴史でしかないはず。
「でもあれ、別に誰かに向けたやつじゃないけど」
「この二人には効果抜群だったみたいだぞ。まぁそのおかげでアデルに先越されなかったけどな」
——村に戻りながら戦いの全容を聞いた。
ベラとアデルが上空で戦っており、ベラがやや押している状態だった。そこへジェラルドとエドワードが到着。
上空の敵なので、ジェラルドが氷魔法をぶっ放し、一発目は不意打ちだったので命中。
下に落ちてきたベラとエドワードが取っ組み合いを始めたが、ベラは怪力だったよう。エドワードでも敵わなかった。原因はベラの怪力だけではないようだが……。
ベラはほぼ下着姿。女性の素肌に剣や拳を入れることなど優しいエドワードには出来なかった。
上空に戻ったベラに再びジェラルドが魔法で攻撃するが、次は不意打ちではない為、当たらなかった。
それでも何度も二人で魔法を放てば、体勢を崩したベラはアデルによって地上へ叩き落とされた。そのままアデルはベラを捕らえようとしたのだが、そんな時、俺の光魔法が発動。
俺からしたらただの光なのだが、悪魔の二人には効果抜群だったようだ。二人してその場に倒れた。
——これがざっと戦いの流れ。
つまり、俺が光魔法を出さなければ、アデルがベラを捕まえて俺は魔界行き決定だったのか。
「リアムに感謝だな」
「何か言ったか?」
「ううん。明日から村の人達の精気を戻す日々が始まるなと思って」
被害者はざっと五十人はいるようだ。一日では無理だろう。
「以前のように聖水で治らないでしょうか?」
「うーん、やってみないと分からないけど、この村には湖がないよ」
理屈は分からないが以前は湖で聖水が出来た。きっと同じ条件なら聖水も作れる気がするが……。
「それでしたら良い案がありますわよ」
◇
ギルドは緊急時のみ対応してくれる夜間臨時窓口がある。
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そう説明すれば、ギルドを通して村長、領主へと報告。処分が決まるまでは、ベラは魔力封じの特殊な地下牢に入ることになった。
ちなみに、依頼外なので報酬は遺跡の調査分のみ。故にサキュバスを倒してもランクは上がらなかった——。
そしてギルドを後にした俺は聖水作りをしている。
「これ本当に出来たのかな?」
二度目だが、やはり見た目はただの水。効力は分からない。
そして肝心の作った場所なのだが、村の中心に位置する噴水だ。湖のように自然界の物でもなければ、さして綺麗な水とも言えない。
しかし、ノエルは得意げに言うのだ。
『噴水とは、此れ即ち恋する二人が出会い別れを繰り返す場所ですわ。恋とは神聖なもの。きっと大丈夫ですわ!』
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