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第二章
第32話 僕がフラれた原因
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※蓮視点です※
ところ変わって、学校近くのゲームセンターの前。
僕は、三崎か山田が現れるのを待った。
——晴翔には、何度も何度もメッセージを送った。着信も残した。家にも行った。
けれど、全くもって反応はない。
せっかく念願叶って両想いになったのに。何がいけなかったのか。考えれば考えるほど、分からない。
やはり、海斗の言うように束縛が激し過ぎた?
「そう言えば晴翔、『怖い』とか言ってたかも……」
文化祭が始まった時に、晴翔と三崎と山田がコソコソと話をしていた。あれは、お化け屋敷の話ではなく僕の話? ずっと晴翔は僕に怯えていたのだろうか。晴翔には特別優しくしているつもりだが、感じ方は人それぞれ。
とにかく、三崎と山田にも話を聞いてみよう。そう思ったが、僕は二人の連絡先を知らない。
二人は、休みの日は大抵ゲームセンターで時間を潰していると晴翔に聞いたことがあった。だから、来てみた。
待つこと一時間。
「げ、蓮がいる」
山田が来た。至極嫌そうな顔をされたが、僕だって晴翔なしじゃ会いたくない。
「待ってたんだ」
「え、オレを?」
「うん。聞きたいことがあって、三崎も来るの?」
「さぁ……呼ぼうか? てか、晴翔呼ぼうぜ。晴翔が良いって」
「晴翔が来てくれるなら、それが一番良いかな。連絡してくれる? あ、僕がいるのは内緒にして」
山田は怪訝な顔をしながら、三人のグループチャットに連絡を入れた。
三人のグループチャットがあること自体気に食わないが、今の僕に制限出来る権利はない。いやでも、僕は別れ話に承諾していないから、まだ別れていないのでは? まだ晴翔の恋人なのでは?
都合の良いことを考えながら、怯える山田に聞いた。
「晴翔、僕のこと何て言ってた?」
「え、は、晴翔が蓮のこと? えっと、頭も良くて、運動が出来て、顔も良い。俺とは釣り合わない……とか言ってたかな」
それは昔から言っている。付き合ってからの方が重要だ。
「他には? 最近で。文化祭の時とか」
細かく限定すれば、山田は思い出そうと頭を捻った。
「うーん……分かんねぇ。三崎なら聞いてるかも」
「三崎か……」
「オレは、もう良いか?」
「晴翔が来た時、逃げられちゃ困るから、ここにいて」
「逃げねーだろ。てか、お前ら喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩してたなら、こんなに悩まないよ」
原因が分からないから困っているのだ。初めこそ、海斗を警戒し過ぎて、晴翔が横にいるのによそ見をしたから怒っているのかと思った。しかし、どうやら違ったみたいなのだ。
その後の晴翔は、いつも以上にニコニコと笑って楽しそうに文化祭を堪能した。僕と過ごす時間が楽しいのだと、順調だと思った。幸せだった。それなのに————。
「あ、三崎!」
山田が三崎を捕まえた。
「げ、何で蓮がいんだよ。いるなら先言えよ」
「はは……言ったら、お前来ねーだろ」
「当たり前だろ。ただでさえ、修学旅行で晴翔を押し倒して、目の敵みたいにされてんだぞ」
嫌がる三崎に、山田にした質問と同じ質問をした。
「晴翔、僕のこと何て言ってた?」
「え、は、晴翔が蓮のこと? えっと、頭も良くて、運動が出来て、顔も良い。俺とは釣り合わない……とか言ってたかな」
「デジャヴかな? さっき、それオレが言ったまんま」
「他には? 最近で。文化祭の時とか」
「うーん……山田なら聞いて」
「ないらしい。何か、『怖い』とか言ってたよね?」
三崎の肩を掴んで問い詰めれば、三崎は白状した。
「蓮の束縛具合がヤバいって話してたら、晴翔も感じてたらしくって、蓮の怒る姿が怖いって」
「やっぱ、僕……」
「でも、晴翔はそれが嬉しいって言ってたから、あれは惚気だな」
「確かに。あれは惚気だな」
山田もうんうんと頷いた。
「だったら、何で『別れよう』なんて言ってくるの? 何で僕、嫌われたの?」
「「え、蓮。フラれたの?」」
改めて他人から言われると、心臓を抉られるようにグサリとくる。
そして、この際ヤケだ。
みっともない事を承知で、この二人に相談してみよう。
「僕さ、小さい頃から晴翔一筋なんだ」
「あー、語る感じ?」
「ここじゃ、あれだから。場所移動する? 近くに公園あるけど」
僕らは、公園へと向かった。
◇◇◇◇
晴翔への想いを二人に明かした。
松田先輩は静かに聞いて、何も言わずに応援してくれたけど、この二人は……。
「あー、納得だわ」
「もしかして、晴翔それ知っちゃったんじゃない?」
「え、これ知られたらまずいの?」
「そりゃな、三崎」
「だな」
二人だけ納得したようでムッとする。
「教えてくれないと、今度宿題見せてあげないよ」
「それは困る。三崎、説明してやれ」
「何でオレなんだよ」
「オレより説明上手いだろ」
というわけで、二人を代表して三崎が説明し始めた。
「ズバリ、重過ぎんだろ」
「でも、さっき束縛が嬉しいって……」
「それは適度な束縛。物心ついた頃からだろ? しかも、晴翔をおっかける為に勉強に運動頑張ったなんて、晴翔逃げ場ねーじゃん。怖いって。しかも、晴翔に近付くやつ牽制したりさ、晴翔に友達少ないのお前のせいじゃん」
返す言葉もない。
そして、三崎の攻撃は続く。
「晴翔、あんな可愛い顔してんのにさ、周りから揶揄われたから? そりゃガキ同士だからあるかもだけどさ、絶対どっかで修正する時期があっただろ。それをしなかったのは、単に蓮が独り占めしたかっただけだろ? 俺の人生蓮に握られてんのかぁとか思ったら、普通嫌だろ。なぁ、山田」
「いや、オレはそこまでは思ってなかったかな……」
「何だよ! 人に散々言わせといて酷くね?」
「だって、ほら……」
僕は、もう立ち直れないかもしれない。
「じゃあ、僕はどうすれば良いの……?」
「どうすればって……」
「あー、あれじゃね? 大学は進路別にしてみるとか」
「嫌だ。ずっと一緒が良い」
「じゃあ、家を出るとか。距離が近過ぎんだって」
「無理。晴翔の部屋の電気が消えないと心配で眠れない」
二人に溜め息を吐かれた。
「晴翔に嫌われたくないんじゃなかったのかよ」
「晴翔の気持ち考えねーと、友達にも戻れねーぞ」
「そうだけど……」
ピロン♪
山田と三崎のスマホが同時に鳴った。
「あ、晴翔だ」
「晴翔、来るって?」
「ちょ、蓮」
山田のスマホを奪い取った。
【今、海斗君と一緒だから。行けたら行く】
「僕とは会ってくれないくせに、何でアイツと……」
山田にスマホを奪い返された。
「今の聞いたら、オレでも海斗選ぶよ」
「だよな。どうせ、あっちの方もネチネチしてんだろ」
「あー、分かる。しつこそう」
「って、山田。童貞のお前が分かんのかよ」
「三崎、お前もだろ」
「「良いなぁ、晴翔。オレもモテたい」」
何だかモテない二人が不憫に思えてきた。
「じゃなくて、君らの話は良いよ。相談した相手を間違えた」
やはり、ここは松田先輩に聞いてもらおう。松田先輩なら僕を非難することなく、対策を一緒に考えてくれそうだ。
「じゃ、僕行くね」
「もう良いのか?」
「あー、晴翔とアイツの邪魔しといてくれる?」
「もう、山田が引き止めるから」
「学期末試験の対策ノート貸してあげるから」
山田と三崎は敬礼した。
「「お任せください!」」
ところ変わって、学校近くのゲームセンターの前。
僕は、三崎か山田が現れるのを待った。
——晴翔には、何度も何度もメッセージを送った。着信も残した。家にも行った。
けれど、全くもって反応はない。
せっかく念願叶って両想いになったのに。何がいけなかったのか。考えれば考えるほど、分からない。
やはり、海斗の言うように束縛が激し過ぎた?
「そう言えば晴翔、『怖い』とか言ってたかも……」
文化祭が始まった時に、晴翔と三崎と山田がコソコソと話をしていた。あれは、お化け屋敷の話ではなく僕の話? ずっと晴翔は僕に怯えていたのだろうか。晴翔には特別優しくしているつもりだが、感じ方は人それぞれ。
とにかく、三崎と山田にも話を聞いてみよう。そう思ったが、僕は二人の連絡先を知らない。
二人は、休みの日は大抵ゲームセンターで時間を潰していると晴翔に聞いたことがあった。だから、来てみた。
待つこと一時間。
「げ、蓮がいる」
山田が来た。至極嫌そうな顔をされたが、僕だって晴翔なしじゃ会いたくない。
「待ってたんだ」
「え、オレを?」
「うん。聞きたいことがあって、三崎も来るの?」
「さぁ……呼ぼうか? てか、晴翔呼ぼうぜ。晴翔が良いって」
「晴翔が来てくれるなら、それが一番良いかな。連絡してくれる? あ、僕がいるのは内緒にして」
山田は怪訝な顔をしながら、三人のグループチャットに連絡を入れた。
三人のグループチャットがあること自体気に食わないが、今の僕に制限出来る権利はない。いやでも、僕は別れ話に承諾していないから、まだ別れていないのでは? まだ晴翔の恋人なのでは?
都合の良いことを考えながら、怯える山田に聞いた。
「晴翔、僕のこと何て言ってた?」
「え、は、晴翔が蓮のこと? えっと、頭も良くて、運動が出来て、顔も良い。俺とは釣り合わない……とか言ってたかな」
それは昔から言っている。付き合ってからの方が重要だ。
「他には? 最近で。文化祭の時とか」
細かく限定すれば、山田は思い出そうと頭を捻った。
「うーん……分かんねぇ。三崎なら聞いてるかも」
「三崎か……」
「オレは、もう良いか?」
「晴翔が来た時、逃げられちゃ困るから、ここにいて」
「逃げねーだろ。てか、お前ら喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩してたなら、こんなに悩まないよ」
原因が分からないから困っているのだ。初めこそ、海斗を警戒し過ぎて、晴翔が横にいるのによそ見をしたから怒っているのかと思った。しかし、どうやら違ったみたいなのだ。
その後の晴翔は、いつも以上にニコニコと笑って楽しそうに文化祭を堪能した。僕と過ごす時間が楽しいのだと、順調だと思った。幸せだった。それなのに————。
「あ、三崎!」
山田が三崎を捕まえた。
「げ、何で蓮がいんだよ。いるなら先言えよ」
「はは……言ったら、お前来ねーだろ」
「当たり前だろ。ただでさえ、修学旅行で晴翔を押し倒して、目の敵みたいにされてんだぞ」
嫌がる三崎に、山田にした質問と同じ質問をした。
「晴翔、僕のこと何て言ってた?」
「え、は、晴翔が蓮のこと? えっと、頭も良くて、運動が出来て、顔も良い。俺とは釣り合わない……とか言ってたかな」
「デジャヴかな? さっき、それオレが言ったまんま」
「他には? 最近で。文化祭の時とか」
「うーん……山田なら聞いて」
「ないらしい。何か、『怖い』とか言ってたよね?」
三崎の肩を掴んで問い詰めれば、三崎は白状した。
「蓮の束縛具合がヤバいって話してたら、晴翔も感じてたらしくって、蓮の怒る姿が怖いって」
「やっぱ、僕……」
「でも、晴翔はそれが嬉しいって言ってたから、あれは惚気だな」
「確かに。あれは惚気だな」
山田もうんうんと頷いた。
「だったら、何で『別れよう』なんて言ってくるの? 何で僕、嫌われたの?」
「「え、蓮。フラれたの?」」
改めて他人から言われると、心臓を抉られるようにグサリとくる。
そして、この際ヤケだ。
みっともない事を承知で、この二人に相談してみよう。
「僕さ、小さい頃から晴翔一筋なんだ」
「あー、語る感じ?」
「ここじゃ、あれだから。場所移動する? 近くに公園あるけど」
僕らは、公園へと向かった。
◇◇◇◇
晴翔への想いを二人に明かした。
松田先輩は静かに聞いて、何も言わずに応援してくれたけど、この二人は……。
「あー、納得だわ」
「もしかして、晴翔それ知っちゃったんじゃない?」
「え、これ知られたらまずいの?」
「そりゃな、三崎」
「だな」
二人だけ納得したようでムッとする。
「教えてくれないと、今度宿題見せてあげないよ」
「それは困る。三崎、説明してやれ」
「何でオレなんだよ」
「オレより説明上手いだろ」
というわけで、二人を代表して三崎が説明し始めた。
「ズバリ、重過ぎんだろ」
「でも、さっき束縛が嬉しいって……」
「それは適度な束縛。物心ついた頃からだろ? しかも、晴翔をおっかける為に勉強に運動頑張ったなんて、晴翔逃げ場ねーじゃん。怖いって。しかも、晴翔に近付くやつ牽制したりさ、晴翔に友達少ないのお前のせいじゃん」
返す言葉もない。
そして、三崎の攻撃は続く。
「晴翔、あんな可愛い顔してんのにさ、周りから揶揄われたから? そりゃガキ同士だからあるかもだけどさ、絶対どっかで修正する時期があっただろ。それをしなかったのは、単に蓮が独り占めしたかっただけだろ? 俺の人生蓮に握られてんのかぁとか思ったら、普通嫌だろ。なぁ、山田」
「いや、オレはそこまでは思ってなかったかな……」
「何だよ! 人に散々言わせといて酷くね?」
「だって、ほら……」
僕は、もう立ち直れないかもしれない。
「じゃあ、僕はどうすれば良いの……?」
「どうすればって……」
「あー、あれじゃね? 大学は進路別にしてみるとか」
「嫌だ。ずっと一緒が良い」
「じゃあ、家を出るとか。距離が近過ぎんだって」
「無理。晴翔の部屋の電気が消えないと心配で眠れない」
二人に溜め息を吐かれた。
「晴翔に嫌われたくないんじゃなかったのかよ」
「晴翔の気持ち考えねーと、友達にも戻れねーぞ」
「そうだけど……」
ピロン♪
山田と三崎のスマホが同時に鳴った。
「あ、晴翔だ」
「晴翔、来るって?」
「ちょ、蓮」
山田のスマホを奪い取った。
【今、海斗君と一緒だから。行けたら行く】
「僕とは会ってくれないくせに、何でアイツと……」
山田にスマホを奪い返された。
「今の聞いたら、オレでも海斗選ぶよ」
「だよな。どうせ、あっちの方もネチネチしてんだろ」
「あー、分かる。しつこそう」
「って、山田。童貞のお前が分かんのかよ」
「三崎、お前もだろ」
「「良いなぁ、晴翔。オレもモテたい」」
何だかモテない二人が不憫に思えてきた。
「じゃなくて、君らの話は良いよ。相談した相手を間違えた」
やはり、ここは松田先輩に聞いてもらおう。松田先輩なら僕を非難することなく、対策を一緒に考えてくれそうだ。
「じゃ、僕行くね」
「もう良いのか?」
「あー、晴翔とアイツの邪魔しといてくれる?」
「もう、山田が引き止めるから」
「学期末試験の対策ノート貸してあげるから」
山田と三崎は敬礼した。
「「お任せください!」」
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