大聖女様 世を謀る!

丁太郎。

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62話 大賢者である私のサプライズプレゼント

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 私がウノユに来て6日目。
 未だダンジョンは静かなまま。
 しかし、リリー先輩達が中級デビルから〝お祭り〟について聞いているので疑う者はいない。

 私もポーション作りを手伝ったり、昼寝したり、サファたんが回復班を編成するのを眺めたり、教会で祈るふりしてサボったり、セバっちゃんと追いかけっこしたりと、オトプレちゃんが呆れる位に中々忙しい日々を過ごしていた。

 実は昨日オトプレちゃんをダンジョンに派遣した。
 とうとう2層もモンスターで溢れかえっている、
 とのことだった。
 Xデーは明日だろうと予測。
 その事はセバっちゃんに伝えたので今日は特に皆慌ただしい。
 私も慌ただしい一員なのだ。

「ミルファたん、サファたん。忙しいのに呼び出してごめんねー」

 私は2人を教会に呼び出していた。
 ここを選んだのは雰囲気作りの為だ。

「いえ、謝る必要はありませんよ」

「ミリー様がお呼びになったのは私達だけですか?」

「そうそう、呼んだのは2人だけだよー」

「ミリーのことだから私達だけというのも理由があっての事でしょう?」

「うん、まあね。2人に極意を伝えておこうと思って」

「極意……ですか」

 ゴクリと二人はつばを飲んだ。
 流石姉妹、タイミングも合っている。
 極意の意味するところも判っているようだ。

「聖王国、王家の血を引く2人だけにね」

 2人はかつての私の姉の子孫。
 だから現在の私の体に流れる血と彼女たちには繋がりは無いとは思うけど、心情的には二人は姪っ子なのだ。
 ということで、この度の危機に際し、姉の技の極意を伝授しておこうと思う。

「聖王国王家の血に関係があるということですか?」

「うん、極意とは魔王を討った勇者パーティーのヒーラー、王女ミラ様の回復の奇跡についてだからね」

 そう言って2人にそれぞれ魔法陣の描かれたカードを渡す。
 ポケットに入る大きさなので持っていて不便は無いだろう。

 前にも触れたけど、あの恐ろしい姉の回復の奇跡は正に瞬時発動だった。
 致命傷や即死であろうダメージすら生が失われる前に発動し、
 無かったことにしてしまう異常な速度だ。

 私の魔法はその域を目指し、魔法による至高の奇跡の再現に成功した。
 だからこそ解ってしまった真実が在る。

 この世に神はいない

 ヒーラー達が使う奇跡もまた魔法なのだ。
 術式が魔道士と異なるだけ。
 呪文の代わりに祈りを用いて魔力を消費し、超常なる効果を発揮する。
 魔道士的に言うならば『生命魔法』というジャンルになるのだろう。
 姉はその『生命魔法』の天才だった。
 そして、私が解析した姉の『生命魔法』の真髄をまとめたものがこの魔法陣だ。

 カードに書かれているからといって、簡単に考えてもらっては困る。
 現代のペンで書いたとしたらこの町がすっぽり入る広さの紙が必要になるだろう。
 見える超極細線と見えない線で書かれた魔法陣は複雑奇っ怪なのだ。
 オトプレちゃんがいなければ、私もこんなカード作ってないし。
 というかオトプレちゃんしかこんな小さいカードに魔法陣書くなんて無理だ。
 なにげにスゴイぜオトプレちゃん。

 ちなみにこのカードは500年前に作ったものね。
 オトプレちゃんでもカード1枚作るのに一週間かかりきりになるからね。
 このカードはあともう3枚持っている。
 更に補足すれば、状態保存魔法『永遠の美しさを貴女に』が
 掛かっているので魔法陣がかすれる事はない。
 ただし燃えるので火気厳禁でもある。
 真に永遠不滅は好きじゃないので弱点を作る。
 それが私流なのだ。

「この聖紋の意味はわかりません。ですが、このカードの凄さは判ります」

 二人のカードを持つ手は振るえている。
 カードの貴重さを判って貰えて嬉しい限りだ。
 この時代の魔法技術のLVなら、このカードは人類の至宝、神器クラスのアイテムだ。
 レア度SSSでは済まない。
 価格だって天文学的数値になる筈。

「これはオトプレちゃんを通じて授かったもの。ミラ様からのプレゼント兼試練だと思って」

「試練……」

「うん、カードを持っているだけでも二人の回復の奇跡は格段に早くなる。それこそ戦闘中に回復できる程に。でも真にカードの中身の意味を理解したなら瞬時に発動出来るよ。致命傷を無かった事に出来るくらいにね」

 そういって私はナイフを持って自分の手首を切りつけた。
 私の手首から血が流れる。
 ぱっくり裂けた傷を回復魔法で瞬時に癒やす。

「これが普通、極めればこうよ」

 もう一回ゆっくり手首を切る。
 斬られてる側から回復し、血も出ない。
 ナイフを滑らせ終わった時、手首は何事も起こってない。

「凄い!」

「ミリー貴女、今迄でも手加減を!」

「うん、してた。フェルたんを癒した時リリーに見られたけどね」

「あの時のリリーの態度も頷けます」

「うん、ともかくそのカードはミラ様の極意そのもの。だから王家の血を引くあなた達に託すね。頑張って極めて」

 そう言って私はミルファたんの背中を叩いてこの場を去る。
 今日はあと、リリー先輩、クーン、カリスにも会わねばならない。
 とっても忙しいのだ。

 ====================

「ミリーだ!」

 そう言ったのはムッツ。
 リッキー達ビフテの星もまた本日ウノユに到着した。
 先程ギルドでウノユ防衛の参加手続きを済ませたところだ。
 Dランクである彼らは防衛人員にはなれず、都市内の警備や巡回、避難誘導の任務が割当られた。

 プレゼは元Aランクだけあって、現在もB以上相当と判断された。
 前線部隊に割り当てられてしまい、リッキー達と別れたのだった。

「リッキー、追わないのですか?」

 レトリーがリッキーに問いかける。

「いいんだ。ミリーはもう抜けた。僕達がここに来たのはミリーを引き戻すためじゃない」

「そうだけどよ」

「ミリーはきっと前しか見てないから。僕らは僕らで出来ることをして、せめてものサポートをするんだ」

「そうだな」、「そうですね」

 リッキーの言葉に二人も納得した。

<ミリー!僕たちはもっともっと強くなるよ>

 リッキーはミリーの後姿にそう誓うのだった。
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