妹が可愛すぎるので絶対聖女にならせて見せます。

丁太郎。

文字の大きさ
16 / 50

16話 私とアイリの初登校

しおりを挟む
 聖女養成学校、通称 聖女学園の新年度が始まった。
 今日はその第1日目。
 この1日でアイリの学園内の立場が決まってしまうだろう。

 アイリは自分からグイグイ出ていくタイプではない。
 だからアイリを対等に扱い、周りに強く出れる友人が必要だ。
 私は学園生活自体送った事はない。
 しかし、前世の王宮仕えの聖女生活での経験や事前の情報収集(主に読書による知識)より集団の中での立ち位置は重要なことを知っていた。
 そして、アイリの友人候補には事前に今年の新入生名簿に目を通し目星をつけていた。
 ちなみに騎士養成学校の名簿も頭に叩き込んである。

 朝早く、日の出前に私は起きる。
 身支度をし、寮の厨房に向かった。
 学園には食堂があり、お弁当を作る必要はない。
 また朝食、夕食も寮で出るので私が作る必要はない。
 しかし私は寮に入ったその日の内に厨房の使用許可を貰っていた。
 全てはアイリの為である。
 アイリの食事に下手に口出しすると周囲の反感を買うだろう。
 だから、厨房を借りる理由は別のことだ。

 私は厨房での用事を済ますとアイリの部屋に入った。
 アイリはスヤスヤ寝ている。
 私はアイリを起こさない様に力を使い、一応この部屋から音を消した。
 少しだけカーテンから光が差し込む様にする。
 アイリが心地良い朝を迎える事ができる様にしてあげたい。
 果たして、アイリは徐々に目が覚めて行く。
 私は窓の側にいてアイリの目覚めを見守る。
 やがて自然にアイリの目が開く。
 私はもう少しだけ光が差し込む様かといって眩しくない様にカーテンを調整し少しだけ窓を開ける。
 力を使い、いい香りのする風をアイリに向かって吹かせる。
 徐々に覚醒していくアイリ。
 私はアイリの側に行くとアイリの頭を優しく撫でる。
 アイリは背伸びをしてから半身を起こす。
 アイリは少しボーッとして、やがて私の胸に抱きつき、私の胸に顔を埋めてくる。
 私はアイリを撫でながらアイリに静かに優しく挨拶する。

「お早うアイリ」

 まだ少し寝ぼけているアイリは私に頬ずりしながら

「お姉様~」

 と、猫なで声で甘えてくる。

<アイリ!いつも可愛いけど今日も最上級に可愛いわ!! お姉ちゃん幸せ過ぎ!!>

 やがてアイリは完全に目が覚める。
 そして恥ずかしそうに言うのだ。

「お姉様、お早う」

<ぐふふ! アイリ、ギガかわゆす!>

 実家の時と同じ朝を過ごせる事に私は幸せを感じていた。

「朝食までもう少し時間あるから お着替えとお支度すませましょう?それとも直前まで寝ている?」

「起きるからお支度手伝って~」

 アイリは甘えてくる。

「勿論よ。アイリ。 お姉ちゃんアイリのお世話をするの大好きよ。お姉ちゃんはその為についてきたんですもの。今日は大事な日。完璧に仕上げましょう」


ーーーーーーーーーーーーーーー


 校舎に入ると多くの入学生がいる。
 そんな中でもアイリは人目を引いている。
 なんというかオーラが違う。
 お姉ちゃん鼻が高いわ。
 尚、教室にメイドが入ることは許されず、
 隣の控え室で待機しなければならない。
 人見知りのアイリが進んで人の輪に入れるかは私の腕にかかっている。

 今年の入学生で中心になるだろう人物は分かっている。
 控え室にわざと最後に入り、入り口で力を使った。
 すると控え室に集まったメイド達の頭上に
 彼女たちの名前が表示される。
 私は聖女学園生徒名簿でメイド達の名前も覚えた。
 彼女たちは貴重な情報源であり、(利害はあるだうが)場合によっては支援者になってくれる。
 さて、お目当ての人物は………

 いた!

 私は真っ先にそのメイドさんに近づく。

「失礼致します。 恐れ入りますがラーゼフォン公爵家ご令嬢シャーロット様お付きのエマ様ございますね。 私はユニスリー辺境伯家令嬢アイリス様のお付きでリリーと申します」

私はそう言って深々とお辞儀をした。

「これはご丁寧に。ユニスリー家と言うとひょっとして?」

「はい、アイリス様のお兄様はダンベルハワー様でございます」

「やはり!」

 騒つく周囲のメイド達。
 兄様の人気を利用するのは気が進まなかったが、これでメイドたちはアイリと敵対しないように各令嬢に働きかけるだろう。

「そ、それで何かご用でしょうか?」

「はい、シャーロット様におかれましては王太子様とのご婚約おめでとうございます。アイリス様が直接お話ししたいと申されたのですが教室でお話しかけるのは失礼にあたるのではと心配しておりましたので、僭越ながら私の方からお願いに上がりました。エマ様のお口添えを頂ければと思いまして」

 再び深々とお辞儀をする。

「お丁寧にありがとうございます。一番にご挨拶に来られるとは、アイリス様は見る目がございます。シャーロット様には私の方からも口添え致します」

 私の態度に気を良くしたエマは口利きを約束してくれた。

「ありがとう御座います。シャーロット様は将来の国母になられるお方。一番にご挨拶申し上げるのは当然で御座います。エマ様のご厚情、アイリ様、ダンベル様にもお伝え致します」

 その言葉にゴクリと喉を鳴らすエマ嬢。
 残念ながら貴族令嬢が多いこの学園。
 権力と派閥の論理が働くのは致し方がない事。
 アイリを守る為、お姉ちゃんは利用できるものは利用するわ。
 二人が友人関係になれればアイリの立場は安泰。
 重要なのは対等の友人であることだ。

「それで、ダン様のついて宜しかったら教えていただけませんか?」

 私はニッコリ微笑み、エマとの友好を深めるために兄の幼少期の話を始めたのだった。

 さて、吉と出るか凶と出るか。
 神のみぞ知る。である。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

神託を聞けた姉が聖女に選ばれました。私、女神様自体を見ることが出来るんですけど… (21話完結 作成済み)

京月
恋愛
両親がいない私達姉妹。 生きていくために身を粉にして働く妹マリン。 家事を全て妹の私に押し付けて、村の男の子たちと遊ぶ姉シーナ。 ある日、ゼラス教の大司祭様が我が家を訪ねてきて神託が聞けるかと質問してきた。 姉「あ、私聞けた!これから雨が降るって!!」  司祭「雨が降ってきた……!間違いない!彼女こそが聖女だ!!」 妹「…(このふわふわ浮いている女性誰だろう?)」 ※本日を持ちまして完結とさせていただきます。  更新が出来ない日があったり、時間が不定期など様々なご迷惑をおかけいたしましたが、この作品を読んでくださった皆様には感謝しかございません。  ありがとうございました。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります

cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。 聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。 そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。 村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。 かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。 そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。 やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき—— リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。 理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、 「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、 自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。

処理中です...