32 / 50
32話 私はアイリに教えられる
しおりを挟む
騎士学校へアプローチの件は兄様にお任せしてしまった。
馬車が寮に着いた時には私もだいぶ落ち着いていた。
兄様に優しく撫でられていた私は、恥ずかしさのあまり、まともに兄様の顔を見ることが出来きずに馬車を降りた。
顔を赤くしていると思う。
兄様に甘えてしまった。
しかも思いっきり。
兄様はスーパー変態シスコンなのに。
兄様は何事も無かった様に穏やかだった。
いつもの兄様。
きっと兄様は私が何者でも兄様で在ってくれる。
だから私も何があっても兄様の妹だ。
「ただいまアイリ。遅くなってしまってごめんなさい」
「お姉さまお帰りなさい」
私は笑顔で出迎えてくれたアイリを見た瞬間、余りに愛おしくて抱きしめてしまった。
そして自分が思い違いしていたと気付かされた。
いつもは苦しいと訴えるアイリが今日に限り、静かに抱きしめられるままでいてくれる。
感づかれてしまったかしら。
こんなじゃ、お姉ちゃん失格ね。
「アイリありがとう」
「どういたしまして」
ふふふ、アイリに教えられるなんてね。
アイリはやっぱり可愛い。
可愛い可愛い私の妹。
その可愛さは右肩上がりで留まることを知らない。
私が何者かなんて、アイリが可愛いと言う事実に比べればどうということはなかったのだ。
私は私が何者であれ、アイリの夢の実現の為に邁進出来ればそれでいい。
「アイリ!可愛いわ」
私は堪えきれずににまたアイリを抱きしめた。
はぁ、アイリは柔らかくいい匂いだ。とっても落ち着く。
「お姉様。苦しーよ。ギブギブ!」
私はアイリを開放した。
アイリから見ても元の私に戻ったみたいね。
妹分補充完了、お姉ちゃんはもうフルパワーで働けるわ。
「アイリったらそんな言葉どこで覚えたの?」
「フェオレちゃんだよ」
フィオレちゃんはアイリ達のバンドの作詞兼オルガン担当の娘。
「フェオレちゃんは表現が上手ね」
「うん、凄いよね」
そんな会話をしながら、姉妹の時間をとっても濃厚に過ごしたのだった。
その日の夜、私はベッドに入ったものの寝付けずにいたので、兄様がしようとしていた事を整理する事にした。
兄様の口ぶりからすると、あのレストランには王太子殿下もお忍びでよく訪れる、という事よね。
殿下は今年18歳。
兄様達からみれば騎士学校の2学年後輩で、今年騎士学校の最高学年になるのかな。
因みにシャルやアイリは今年13歳で5歳差。
シャルが18歳で学園卒業、成人を持ってからの婚礼とすると、その時殿下は23歳、国王に即位するにちょうど適齢と思う。
兄様は殿下に働き掛け、王家よりの口添えを頂こうとしているに違いない。
殿下としてもシャルと会う機会が持てるのは喜ぶべき事のはずよね。
であれば、ここは私よりも兄様の方が適任かしら。
後でいっぱい妹分の補充を要求されてしまうだろうけど、ふふふ、別に交換条件でなくても兄様の要求くらい応じるのにね。
私は兄様の妹ですから。
この件をトレーニ様に頼まないで済むなら、その方がいいかな。
もし、トレーニ様が私に好意を寄せてくれているとしても、私は直ぐに応える事は出来ない。
私にはアイリの夢の実現するという夢があるもの。
それに、私はトレーニ様の事をどうも異性として意識できていない。
私にとってトレーニ様はあくまで兄様のご友人。
そんな私がトレーニ様のご好意を利用するのは気が引けるという思いもある。
何より、兄様が暴走する様が容易に目に浮かぶ。
きっと、兄様は決闘を申し込むに違いない。
そうなったら私はいつまで経っても結婚出来ないかもしれないわね。
兄様はとってもお強いので。
ふふふ、本当に困った兄様ね。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「今日は皆さんに重要な伝達事項があります」
壁越しに控室にも聞こえる教師の声。
今日は夏季休暇後、最初の登校日である。
私とアイリは長い夏季休暇を久しぶりの実家でゆっくり過ごしたのは言うまでもないけど、私は新学期が始まるのが待ち遠しくて堪らなかった。
私は兄様から、騎士学校の協力を取り付けられたと休暇に入る前に聞かされていたのだ。
厳密には騎士学校の学生さん達がお客さんになっくれるだけで無く、招待客もいるとの事だった。
兄様やトレーニ様も招待されているらしい。
騎士学校の生徒さんがお客さんにとして活動成果を見てくれるなら皆張り切るわよね。
そして、今日遂に学園から生徒に向けて正式に公表された。
お姉ちゃん夏季休暇の間、何度アイリに言ってしまいそうになったことか。
どうも私ったら秘密にするのが苦手みたいね。
それも、本日この時まで。
各学年の教室では学園祭開催についてと、その趣旨や規則等が説明されている。
この学園祭が課外活動の発表の場で在る事、それはつまり聖女に相応しいかの評価に影響を与える事である。
その点を明確に生徒に説明した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「とんでもない事になっちゃったね」
「でも、発表の場所を与えられた事には素直に感謝だわ」
放課後の練習も終わって、学園祭をどうするかを皆と話し合っていた。
もうすっかり練習後のティータイムも定番に。
皆、私の特製クッキーと飴を喜んでくれるのは嬉しい限りである。
因みに私は力を使い、皆の練習時の音は練習場から漏れない様にしている
だから、5人が作った歌の素晴らしさが学園祭当日まで外に漏れることはない。
なんと言っても最初に大きな衝撃を与えることが肝心、感動が薄れない様にしないとね。
この世界には無かった音楽の新しい可能性と言っても過言ではないのだ。
「発表会するならもう何曲か新曲あった方がいいかな?」
「あと2ヶ月では難しいわね。どう?フィオレ」
「2ヶ月では難しいと思う。曲が出来ても練習時間がないもの」
「そーだよ。まだこの曲だって完全とは言えないじゃん」
そう言ったのはベース担当、リースちゃん。
「折角のデビュー曲になるのだ。まずはそれを完璧にした方がいい」
硬派な口調なのはドラム担当、ディジーちゃん。
「そうかーそうだよね。」
「そろそろバンド名も決めないとよね」
ふふふ、お姉ちゃん真剣なアイリが見れて嬉しいわ。
私としてはこうしたらって案はあるけれど、それを言うのはやっぱ無粋だよね。
こんなにも皆一生懸命。
5人だけのチームなのだから5人で全て決めた方がいいわ。
お替りのお茶の準備をしながら、しっかり学生生活を青春している5人の姿を見て、羨ましく、そして懐かしくも思うのだった。
馬車が寮に着いた時には私もだいぶ落ち着いていた。
兄様に優しく撫でられていた私は、恥ずかしさのあまり、まともに兄様の顔を見ることが出来きずに馬車を降りた。
顔を赤くしていると思う。
兄様に甘えてしまった。
しかも思いっきり。
兄様はスーパー変態シスコンなのに。
兄様は何事も無かった様に穏やかだった。
いつもの兄様。
きっと兄様は私が何者でも兄様で在ってくれる。
だから私も何があっても兄様の妹だ。
「ただいまアイリ。遅くなってしまってごめんなさい」
「お姉さまお帰りなさい」
私は笑顔で出迎えてくれたアイリを見た瞬間、余りに愛おしくて抱きしめてしまった。
そして自分が思い違いしていたと気付かされた。
いつもは苦しいと訴えるアイリが今日に限り、静かに抱きしめられるままでいてくれる。
感づかれてしまったかしら。
こんなじゃ、お姉ちゃん失格ね。
「アイリありがとう」
「どういたしまして」
ふふふ、アイリに教えられるなんてね。
アイリはやっぱり可愛い。
可愛い可愛い私の妹。
その可愛さは右肩上がりで留まることを知らない。
私が何者かなんて、アイリが可愛いと言う事実に比べればどうということはなかったのだ。
私は私が何者であれ、アイリの夢の実現の為に邁進出来ればそれでいい。
「アイリ!可愛いわ」
私は堪えきれずににまたアイリを抱きしめた。
はぁ、アイリは柔らかくいい匂いだ。とっても落ち着く。
「お姉様。苦しーよ。ギブギブ!」
私はアイリを開放した。
アイリから見ても元の私に戻ったみたいね。
妹分補充完了、お姉ちゃんはもうフルパワーで働けるわ。
「アイリったらそんな言葉どこで覚えたの?」
「フェオレちゃんだよ」
フィオレちゃんはアイリ達のバンドの作詞兼オルガン担当の娘。
「フェオレちゃんは表現が上手ね」
「うん、凄いよね」
そんな会話をしながら、姉妹の時間をとっても濃厚に過ごしたのだった。
その日の夜、私はベッドに入ったものの寝付けずにいたので、兄様がしようとしていた事を整理する事にした。
兄様の口ぶりからすると、あのレストランには王太子殿下もお忍びでよく訪れる、という事よね。
殿下は今年18歳。
兄様達からみれば騎士学校の2学年後輩で、今年騎士学校の最高学年になるのかな。
因みにシャルやアイリは今年13歳で5歳差。
シャルが18歳で学園卒業、成人を持ってからの婚礼とすると、その時殿下は23歳、国王に即位するにちょうど適齢と思う。
兄様は殿下に働き掛け、王家よりの口添えを頂こうとしているに違いない。
殿下としてもシャルと会う機会が持てるのは喜ぶべき事のはずよね。
であれば、ここは私よりも兄様の方が適任かしら。
後でいっぱい妹分の補充を要求されてしまうだろうけど、ふふふ、別に交換条件でなくても兄様の要求くらい応じるのにね。
私は兄様の妹ですから。
この件をトレーニ様に頼まないで済むなら、その方がいいかな。
もし、トレーニ様が私に好意を寄せてくれているとしても、私は直ぐに応える事は出来ない。
私にはアイリの夢の実現するという夢があるもの。
それに、私はトレーニ様の事をどうも異性として意識できていない。
私にとってトレーニ様はあくまで兄様のご友人。
そんな私がトレーニ様のご好意を利用するのは気が引けるという思いもある。
何より、兄様が暴走する様が容易に目に浮かぶ。
きっと、兄様は決闘を申し込むに違いない。
そうなったら私はいつまで経っても結婚出来ないかもしれないわね。
兄様はとってもお強いので。
ふふふ、本当に困った兄様ね。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「今日は皆さんに重要な伝達事項があります」
壁越しに控室にも聞こえる教師の声。
今日は夏季休暇後、最初の登校日である。
私とアイリは長い夏季休暇を久しぶりの実家でゆっくり過ごしたのは言うまでもないけど、私は新学期が始まるのが待ち遠しくて堪らなかった。
私は兄様から、騎士学校の協力を取り付けられたと休暇に入る前に聞かされていたのだ。
厳密には騎士学校の学生さん達がお客さんになっくれるだけで無く、招待客もいるとの事だった。
兄様やトレーニ様も招待されているらしい。
騎士学校の生徒さんがお客さんにとして活動成果を見てくれるなら皆張り切るわよね。
そして、今日遂に学園から生徒に向けて正式に公表された。
お姉ちゃん夏季休暇の間、何度アイリに言ってしまいそうになったことか。
どうも私ったら秘密にするのが苦手みたいね。
それも、本日この時まで。
各学年の教室では学園祭開催についてと、その趣旨や規則等が説明されている。
この学園祭が課外活動の発表の場で在る事、それはつまり聖女に相応しいかの評価に影響を与える事である。
その点を明確に生徒に説明した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「とんでもない事になっちゃったね」
「でも、発表の場所を与えられた事には素直に感謝だわ」
放課後の練習も終わって、学園祭をどうするかを皆と話し合っていた。
もうすっかり練習後のティータイムも定番に。
皆、私の特製クッキーと飴を喜んでくれるのは嬉しい限りである。
因みに私は力を使い、皆の練習時の音は練習場から漏れない様にしている
だから、5人が作った歌の素晴らしさが学園祭当日まで外に漏れることはない。
なんと言っても最初に大きな衝撃を与えることが肝心、感動が薄れない様にしないとね。
この世界には無かった音楽の新しい可能性と言っても過言ではないのだ。
「発表会するならもう何曲か新曲あった方がいいかな?」
「あと2ヶ月では難しいわね。どう?フィオレ」
「2ヶ月では難しいと思う。曲が出来ても練習時間がないもの」
「そーだよ。まだこの曲だって完全とは言えないじゃん」
そう言ったのはベース担当、リースちゃん。
「折角のデビュー曲になるのだ。まずはそれを完璧にした方がいい」
硬派な口調なのはドラム担当、ディジーちゃん。
「そうかーそうだよね。」
「そろそろバンド名も決めないとよね」
ふふふ、お姉ちゃん真剣なアイリが見れて嬉しいわ。
私としてはこうしたらって案はあるけれど、それを言うのはやっぱ無粋だよね。
こんなにも皆一生懸命。
5人だけのチームなのだから5人で全て決めた方がいいわ。
お替りのお茶の準備をしながら、しっかり学生生活を青春している5人の姿を見て、羨ましく、そして懐かしくも思うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
神託を聞けた姉が聖女に選ばれました。私、女神様自体を見ることが出来るんですけど… (21話完結 作成済み)
京月
恋愛
両親がいない私達姉妹。
生きていくために身を粉にして働く妹マリン。
家事を全て妹の私に押し付けて、村の男の子たちと遊ぶ姉シーナ。
ある日、ゼラス教の大司祭様が我が家を訪ねてきて神託が聞けるかと質問してきた。
姉「あ、私聞けた!これから雨が降るって!!」
司祭「雨が降ってきた……!間違いない!彼女こそが聖女だ!!」
妹「…(このふわふわ浮いている女性誰だろう?)」
※本日を持ちまして完結とさせていただきます。
更新が出来ない日があったり、時間が不定期など様々なご迷惑をおかけいたしましたが、この作品を読んでくださった皆様には感謝しかございません。
ありがとうございました。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる