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相棒のことは詳しく知っておかないと後で泣きを見る

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エルミスさんに礼のレストランに連れてこられてきた私は、昨日ルミナールさん達と食事をした席ではなく、その奥にあるVIPルームと言うにふさわしい豪華な部屋に、相棒のヘル・ウルフと一緒に案内された。

豪華なイスに座って待っていると、エルミスさんと転生者であるレストランの店主が入ってきた。店主は私のことを覚えていたのか、私の顔を見るなり目を丸くして

「ああ、あなたは昨日ルミナークさんと一緒にいた・・・」

そう言って何種類かのケーキと紅茶を用意してくれた。

「今回は私の妻のためにヘル・ウルフの体毛を分けてくださりありがとうございます。」

い、いえいえ。お礼なら私って言うよりこの子の方に・・・ってあれ?君なんでそんな上等なお肉食べてるの?

「ああ、私があげました。この子に助けられましたから。」

あ、エルミスさんがくれたのね。美味しい?

「ウォン!」

それはよかった。ん?いやいや取らないから。ゆっくり食べな。

・・・

店主さんを交え、エルミスさんと和やかに談笑をしていたらいつの間にか私の相棒、ヘル・ウルフの話題に。

「あなたすごいわね。そんなに若いのにヘル・ウルフと使い魔の契約をするなんて。」

ま、まあ成り行きで契約したと言いますか・・・

「それでもすごいわよ。ヘル・ウルフなんて並の人間じゃ使い魔にできないもの」

え?

ど、どういうことですか?

「え?あなた知らないの?」

え、ええ・・・本当にこの子の事知らないまま使い魔にしちゃいましたから。

「そうだったのね。じゃあ教えてあげる。ヘル・ウルフはね・・・」

エルミスさんの話は衝撃の連続だった。

ヘル・ウルフという種族は好戦的ではないものの、戦闘力は一級品。並の冒険者では相手にすらならないらしい。その上、1日で大陸全土を駆け回れるほどの脚力を持っているらしい。だから並の人間じゃ使い魔にするどころか捕まえることさえ出来ないらしい。

ただ、温厚な種族であることから、使い魔となっているヘル・ウルフは安全だと見なされ、街中を歩いても大丈夫なんだそうだ。

それを聞いてだんだんと不安になってきた。なんでかって?だって私この子と契約らしい儀式とかしてないんだもん。おっさん(妖精)が「うん、使い魔になったな」としか言ってないし・・・

「え?そ、そうなんですか?普通使い魔は血の契約によって成立するものなのですが・・・ちょっと失礼」

エルミスさんが私の頭に手をかざすと不思議そうな顔で首をかしげた。

「おかしいわね・・・ちゃんと契約できているわ。」

え?

血の契約とか一切していないのに?

「ええ、不思議な話だけど。それにかなり強固な契約になっているわ。一体どうやって契約したの?」

・・・・・・

・・・

つい2時間ぐらい話し込んでしまった。そろそろお暇しますか。
・・・っととその前に

「髪の毛一本くれませんか?」

私がここに来たのはこの人の髪の毛を手に入れるためだ。下手な言い訳したってエルミスさんにバレて面倒臭いことになりそうだから(それに他の奥さん型にもバレたら面倒・・・)、ここは素直に目的だけを告げてみる。案の定エルミスさんがもの凄い顔で睨んできている。ヤンデレ怖いよ・・・

「ああ、ルミナールさん達の風習だな。」

店主が笑みを浮かべながら髪の毛を一本抜いて渡してくれた。良い具合に勘違いしてくれて助かった。エルミスさんも元通りの優しい顔に戻っている。

「お世話になりました。」

「ああ、気をつけて」

「またお会いしましょう。」

2人に見送られ、私達は街を後にした。

・・・

さて、次は何処に行ったら良いかな?人が集まりそうな街とかが近くにあれば良いんだけど・・・ん?着信?

「はいもしもし?」

『お疲れ様です。進行の程はどうですか?』

「とりあえず、昨日と今日で5人分の髪の毛を集めました。これから別の街に行こうと思うんですけど、何処に行ったら良いでしょうか?」

『ちょっと待ってくださいね・・・その街から西に60キロ程の所に王都があるので、そこに行ってみてはどうでしょうか?』

ええ・・・そんなに距離あるの?そんな距離歩いて行ったら2~3日は絶対かかる・・・馬車とか用意してくれ・・・って切られた・・・

はあ・・・出来ればお金は節約していきたいし、歩いて行くしかないか・・・

ん?なに?

乗れって?

「ウォン!」

そういえばあなた騎乗することの出来る狼だったね。じゃあ、お言葉に甘えて・・・

「グゥルルルルル・・・」

え、なんで唸ってんの?乗っちゃ駄目だった?慌てて降りようとした瞬間

ボンッ

大きな破裂音と共に相棒ヘル・ウルフの四肢が燃え始めた。私が驚愕のあまり固まっていると

「ウオォォォォオン!!!」

狼の遠吠えのような(そういえば狼か)鳴き声を発し、猛スピードで大地を駆けだした。

「イヤアァァァァァア!!!」

背中に乗っている私の意識は数秒経たずして消えた。

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