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転生者は善人ばかりじゃなくて悪人も普通にいる

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男の人が撃ってきた火球を私は寸での所で避ける。火球は、私の後ろにあった王都の地図を消し炭にし、消えた。男の人は狂ったような目で

「今のは警告だ。とっととそのスマホを渡せ!」

と言い放った。

ふざけんな!人の話を聞かないでいきなり火の玉撃ってくるなんて!私が睨み返すと、男の人は先程よりも大きな火球を自分の周りに幾つも創り出しており、それを見た私はヘタと腰が抜けてしまった。

「渡す気が無いのか。じゃあ力尽くで行くしかねえよな!」

男は私に向けて一斉に火球を撃ち始めた。でも私は腰が抜けて動けない。しかし

「ヴォウッ!!」

「きゃっ」

ライドが無理矢理引っ張ってくれたおかげで私は難を逃れた。ここは逃げるしかない。私はライドと一緒に男からの追撃を逃れるため走り出した。

・・・・・

・・・

「ははは!ホント最高だぜこの力。クソみたいに惨めだった自分が嘘みたいだ!」

笑いながら男は周りの被害なんか気にせず私に向かって火球を放ってくる。最早その姿は駄々っ子が憂さ晴らしをするように見える。

私は後ろを振り返る余裕もなく走り続ける。せめてライドだけでも逃がそうとしたけどライドは私にぴったりと付いてくるので一緒に走る。

広場を飛び出し路地へと入り、右も左もお構いなしに走り続け、気がついたときには

「うそ・・・行き止まり?」

いつの間にか行き止まりにたどり着いてしまった。

「おやぁ?行き止まり見てえだな!」

男がニヤニヤしながら私に近づいてくる。

・・・もうスマホを渡すしかない。女神様達との連絡手段は途切れ、元の世界にも帰れなくなるかもしれないけど、ライドを守るためならば仕方ない。

「あ?なんだ犬畜生が。」

「グゥルルルルル・・・」

そう思ってスマホを渡そうとした瞬間。ライドが私の前に出て、男と相対する。ライドが男に対して威嚇するが、男は意にも介さず無数の火球を作り出す。

「やめて!」

私の制止も空しく火球が一斉にライドへと襲いかかり、ライドは炎に包まれた。

「ライドーーーー!!」

泣き叫ぶ私に男は下品な笑みを浮かべながら近づき、私の髪の毛を掴み上げる。

「おら、さっさとそのスマホを渡せ。」

「痛っ!はな、放して・・・!」

「いいからとっとと・・・あん?」

何を思ったのか、男はちらと燃え盛る炎を見やる。炎は未だにライドの身体を燃やし、静謐な水面のようにゆらゆらと揺らめいている。

しかし、突如として炎は飛散した。

「な、何!」

さしもの男も驚いたようで、私を放し、後ろに飛び退く

そこには

「グゥオオォォォオンッッ!!」

真っ黒だった体毛を炎のような深紅に変え、全身に炎を纏うライドの姿があった。

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