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神様の授けるチートスキルも人によっては外れとなる

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さて、子爵の娘さんから髪の毛を手に入れるために、娘さんを連れてきて貰った。ここまではよかったんだけど。

「わ、私にそんな大役・・・出来るはずがありません・・・」

予想外にも娘さんはラケシスさんからの予言を受けることに対して消極的だった。話を聞くと子爵の娘さん、スベルニールさんは生まれつき魔力が少なく、魔力の多さが階級に比例するこの世界では辛い思いもしてきたそうだ。

ただ、私はこの子が転生者であることは知っているから、何かしらのチートスキルを持っているはず。とか思っていたら

パリン

え?何故かいきなりスベルニールさんの持っていたカップが割れたんだけど・・・

「し、失礼いたしました!」

スベルニールさんが慌てて割れたマグカップを片づける。片付けながらスベルニールさんはおどおどしながらも説明してくれた。

「わ、私・・・生まれつき力が他の人よりも強くて・・・ほら、このように」

スベルニールさんはかなり重そうなタンスを片手で軽々と持ち上げてみせる。

・・・スベルニールさんを転生させた神様は何を思ってそんなチートスキルを授けたんだろう。

このあと私はスベルニールさんを宥め賺しながら説得し、なんとかスベルニールさんの髪の毛を手に入れることができた。

よし、目標は達成したから帰ろう。と思って屋敷を後にしようとしたら

「おい娘」

子爵に呼び止められた。

「これは今日の礼だ」

そう言って子爵は私に10枚ほど金貨をくれた。驚いていると

「何を呆けている。お前はこれに見合う働きをしたのだ。受け取れ。」

子爵ってもしかしてかなりいい人なのでは?そんな事を思いながら子爵にお礼をし、私はケラノスさんと共に屋敷を後にした。ケラノスさんには南街と東街の堺にある門まで送って貰い、ケラノスさんには何かあったときのために、私の宿泊している宿の場所を伝えて別れた。

・・・・・

・・・

翌日、また宿屋の外が騒がしくなっていたので窓から外を見てみるとそこには大勢の野次馬らしき人たちが。

何かあったんだろうかと不思議に思っていたら突然私の部屋の扉が叩かれた。

「朝早くからすまない。ケラノスだ。開けてくれるか?」

え?ちょ、ちょっと待って!

私は急いで服を着替え、出しっ放しにしていたノートパソコンをベッドの下に隠した。うん、これで良し!

扉を開けるとケラノスさんと執事服のような服を着ている若い男の人が1人。部屋に入るなりケラノスさんから予想外の一言が

「実は我らの王が君に会いたいと言っていてね。」

え?王様?嘘でしょ?

「嘘ではない。紹介が遅れたがこの方は王に仕える交渉役だ」

「交渉役のエルベニア・マキンソンです。宜しく。」

あ、そ、そうですか・・・いやちょっと待って!そんないきなり王様に会えって言われても!いろいろ頭が追いついていないって言うか!心の準備というか!

「安心しろ。今すぐに来いというわけではない。交渉役が言うには、君の都合の良い日取りを聞きに来ただけと言っている。そうだよな?」

「ええ、つきましては貴女の都合の良い日を教えてくださいますかな?」

・・・これ会わないって言う選択肢はないのですか?


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