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写真に収めたい場面は暇なときにやってこない

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「と言うことなのです。」

なるほど、私が捕まった瞬間にラケシスさんがスベルニールさんのスマホに連絡を入れてくれたのか。でもすごい早かったな。体感だけどまだ2時間ぐらいしか経ってないと思うし・・・

「ラケシス様が、早ければ早いほどよいとおっしゃったので。それで、捕らえられているエブリミス王は・・・?」

「私ならここだ。」

王様が牢の奥から出てくる。それを見てスベルニールさんとその兵士達は片膝をつく。

こんな状況じゃなかったら、この光景を写真に収めたいところだけど、今はそんな暇はない。早くあの偽物を捕まえないと!とか思っていたら。

「今は多少礼儀は欠いても良い。疾く私の偽物を捕まえねば!」

「「「「「はっ!」」」」」

そう言って王様と兵士達は出て行ってしまった。ってちょっと!こんな所に置き去りにしないでよ!!

私はスベルニールさんと一緒に、慌てて地下牢から出た。

・・・・・

・・・

地下牢から出ると、アウディベル子爵と2人の兵士が私達を出迎えてくれた。

「王よ!ご無事ですか?」

開口一番に王様に駆け寄る子爵。

「私は問題ない。アウディベル子爵よ、私の偽物はどうした。」

「は、残念ながら逃亡をゆるし、現在捜索中であります。」

アウディベル子爵が残念そうに項垂れる。その報告を聞いた王様は唸ると

「奴は何が何でも捕らえねばならぬ!至急捜索せよ!」

と、命じた。

「は!!城の出入り口はふさいでいるため、おそらくまだ城内にいるかと思われます。」

命じられた子爵は何かを兵士達に伝えると、自身もどこかへと行ってしまった。

「さて、私も動かなくては。申し訳ないが偽物を探すのに協力してくれないか?」

王様に言われたんじゃ断れない。私とスベルニールさんが勢いよく返事をしようとしたとき

「おや、終わってしまいましたか」

少女のような声が、私には聞き覚えのある声が聞こえた。声のする方を視ると

「ご無事で何よりです。」

そこにはラケシスさんがいた。

・・・・・

・・・

「スベルニール嬢。この方は何者なのかね?」

「こ、このかたは・・・ほ、本物の女神ラケシス様です!」

「なんと!」


王様とスベルニールさんが会話する横をすり抜け、ラケシスさんは私に近づくなり

「無事なようで何よりです。大変なことがあった後で恐縮なのですが、急ぎお願いしたいことがあるのです。」

と矢継ぎ早に言ってきた。

「むむ、このようなことに巻き込んでしまった詫びをしたかったのだが・・・神命ならば仕方あるまい。」

それを聞いて残念そうな顔をする王様。

「さあ、では行きましょうか。」

王城から出るように言うラケシスさん。そんなラケシスさんを引き留め、私はとある質問を投げかけた。

「あ、そうだ。以前ラケシス様の偽物が出たので、合い言葉を決めましたよね。」

「ええ、そうでしたね。」

「じゃあいきますよ・・・“モイ”」

「“ライ”」

にこやかに微笑むラケシスさんを私は全力で殴った。

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