そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

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正義を掲げる者の正義は大体独善的な正義

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妖精(おっさん)にサラちゃん達を任せて、急いでライドと一緒に爆発音のした場所に駆けつけてみるとそこには、酷い怪我をしている男の人たちが。何人かはまだ動けるようで森の奥の方へ逃げようとしてるが、どこからともなく起きた爆発により一人、また一人と倒れていく。

倒れ伏している男達の中心に発っているのはまだ年端もいかないような少年。スマホの転生者ファイルに載っていた、何でも願いを叶えることが出来る能力を持つヴェル・ウィングルだった。

圧倒的な力を目の前に、男達はヴェルに助けを請い始めた。

「お、お願いだ・・・助けてくれ・・・」

「断る。恨むなら自分を恨め。“爆発しろ”」

なんとヴェルは助けを請う男達をも問答無用で爆破していく。もう見ていられない。そう思って私はヴェル・ウィングルの前へ飛び出した。

「あなた・・・何やっているの!」

「何って、悪い奴を懲らしめてただけだよ。」

私の問いかけに対してさらっと答えるヴェル。

「悪い奴を懲らしめて何が悪いんだい?こいつらは山賊だ。誰かが襲われる前に誰かがやっつけないと。」

だからって・・・戦う意思のない人を・・・!

「あなたは何でここまでするの?」

「僕はね、誰も傷つかない素晴らしい世界にしたいんだ。だから悪い物は全部消した方が良いだろう?」

まさか・・・オピウムが消えたのも、ブリザード・ウルフが消えたのもコイツの所為?

「ああ、僕がやった。だってオピウムの実には麻薬成分が含まれているし、ブリザード・ウルフに関してはエルミンの牧場で被害が出ていたんだ。消して当然でしょ?」

「消えた方がって・・・オピウムの実は痛み止めに使われていたのよ?!」

「ああ、それなら僕がこの世から痛みを消し去れば万事解決・・・」

そう言って少年が杖を掲げた瞬間

「っ!ふざけんな!」

私は少年を殴っていた。

「な、なにをするんだ!」

涙目になりながら頬を押さえるヴェル。

「何をするじゃない!貴方どれだけ滅茶苦茶なことをしているのか分かっているの?!」

私は激高した。

「僕は誰も傷つかない素晴らしい世界にしたいだけなのに!なんで君は否定するんだ!」

「それは貴方だけが素晴らしいと思える世界でしょ!他の人のことなんかなにも考えていない!」

「いい?あなたがこの森からブリザード・ウルフを消した所為で肉の値段は暴落してエルミンの肉屋さんは途方に暮れていたのよ!」

「じゃあ僕が肉の値段を上げれば良いじゃ無いか!」

「そういうことじゃ無い!!」

駄目だ全く話が通じない。自分が正義だと思い込みすぎている。しかも自分の正義を実現できるだけの力があるのが尚更質が悪い。

「話が通じないようだな。なら、僕が考える世界に君はいらない。」

ヴェルが再び杖を構えた。

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