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転生者は主人公だけでは無い

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ライドから30分にわたるお説教を受けた私は遅めの朝食を摂りに食堂へと向かった。

「やあ、おはよう」

食堂に着くとそこには頭や脚に包帯を巻いたスバルさんがいた。傍らには松葉杖が置いてあり、後ろでは従業員の女の人が控えている。

「す、スバルさん?!怪我は・・・」

「ああ、大丈夫だよ。君が僕を助けてくれたんだって聞いたよ。助けてくれてありがとう。」

スバルさんはイスに座ったまま頭を下げる。私は慌てて

「い、いえ当然のことをしたまでで・・・それに暴漢を追い払ってくれたのはライドです。」

私の言葉にライドはキリッとした顔でスバルさんを見つめる。スバルさんはそんなライドを撫でながら

「そうか、なら彼にもお礼をしないとね。」

その言葉にライドの表情は動いていないように見えたが、尻尾は小躍りをしていた。

この後ライドにはタマミよりも少し良いお肉が出され、それを羨ましがったタマミと熾烈なバトルを繰り広げた。

・・・・・

・・・

朝食を食べ終わった後いったん私は部屋に戻り、スバルさんからどうやって体の一部を採取しようか考えている所で、タマミが私の足へとじゃれついてきた。私の靴をおもちゃか何かと思っているのかあぐあぐと噛んでくる。

「こらタマミ、噛んじゃ駄目。歯形着いちゃうでしょ。」

私はタマミを靴から引きはがしたときあることに気がついた。靴の淵が所々どす黒く染まっていたからだ。私の靴は白いから尚更目立つ。

そういえば、スバルさんを助けたとき、血みたいなのを踏んだっけ・・・もしかしてこれってスバルさんの血?狼であるライドに臭いをかいで貰って確認してみる。

「ちょっとライド、この靴に付いている汚れって血?」

「ヴォウ!」

臭いをかいだ瞬間ライドは即答した。その瞬間私はスマホで電話を掛けた。

『あら望結さん。お疲れ様です。』

電話に出たのはクロートーさん。私は矢継ぎ早にクロートーさんに尋ねた。

「確認なんですけど、私の靴に付いている汚れってスバルさんの血痕ですか?」

数秒の沈黙の後、クロートーさんから答えが返ってきた。

『ええ、間違いなくスバル・レッサーの血液です。これならば彼の運命を操作するのに問題はありません。』

よ、よし。これで目下一番の問題は解決した。ガッツポーズをする私。そんな私にクロートーさんはとんでもないことを言い出した。

『そういえば、スバル・レッサーを襲った暴漢の中に転生者がいたのですが、望結さん気がついていました?』

嘘でしょ?

『嘘ではありません。その転生者の名はアリス・マラレス。スバル・レッサーのハーレムの一員となる運命を神に与えられた少女です。』

少し、目眩がした
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