68 / 186
神様でも運命に抗う人の動向は測れない
しおりを挟む
決着が付いた後、スバルさんは急にバタリと倒れた。心配した宿屋の従業員達は総出でスバルさんを宿へと運び込んだ。
だが、アリスさんの方へは誰も見向きはしない。私はアリスさんを背負い、宿屋の中に入った。
初め従業員達は
「何故その人を連れてきたのですか?!」
と言って私を追い出そうとした。まあ、当然だろう。さっきまで暴れていた危険人物なのだから。
仕方が無いから諦めて別の宿屋へ行こうとしたところで、ラステルさんがそれを止めた。
「構いません。責任は私が取ります。望結さん、申し訳ありませんが彼女を私の部屋へ運んでくれませんか?」
「分かりました。」
私はラステルさんに案内され、ラステルさんの部屋へとアリスさんを運び込んだ。ベッドに寝かせる際、どさくさに紛れてアリスさんの髪の毛を1本抜き取った。
・・・・・
・・・
ラステルさんがこの後は任せてと言うので、私は壁に穴が開いたままの部屋に戻って荷物を取り、ラステルさんが新たに用意してくれた部屋に移った。
そして新しい部屋で一段落したところで、クロートーさんから着信があった。
『お疲れ様です望結さん。今回も大変でしたね。』
「はい・・・というか、なんかもういろいろと滅茶苦茶でした」
『しかし予想外でした。あの2人が初めて会ったときから好き合っていたとは。』
本当にそこは予想外だ。スバルさんはハーレムを形成しているし、クロートーさんからアリスさんはハーレムの一員になる予定だったと聞いていたから、スバルさんがアリスさんに好意を抱いていたというのは驚きだ。
『たまにいるのですよ。運命に抗い、天命を覆す人間が。今回は2人もいたのでこちらもアドバイスが出来ず申し訳ありませんでした。』
運命を覆すって・・・アリスさんはそうとしてもスバルさんも?
『ええ、今分かったのですが、スバル・レッサーはハーレムに対して好意を持っていませんでした。彼の愛はアリス・マラレスだけに向けられていたのです。』
ま、まじで?じゃあ、あのハーレムとはお友達感覚だったというわけ?
『そうですね。気の合う同僚といった感覚でしょうか?ともかく、彼はハーレムに対して恋人に抱くような好意を持っておらず、その好意は全てアリス・マラレスに向けられていました。』
そうなんだ・・・っていうか何でそんなことになったんだろう?あの2人を転生させた神様は初めからスバルさんに対してハーレムを創る予定だったんじゃ無かったっけ?
『ええ、そのはずだったのですが、狂った運命の歯車はスバル・レッサーの思いにも大きく影響を与えたようです。』
その後、アリスさんの処遇をクロートーさんと話し合った結果、愛を力に替える能力を全て剥奪という結果に収まった。初めは、スバルさんに対する執着が激しいことからスバルさんの記憶も全て消去した方が良いのではというクロートーさんだったが、流石にそれは悲しすぎるし、予想ではあるがスバルさんもそれを望んでいないと、私が全力で止めた。
するとクロートーさんはこう言った。
『私も元からするつもりはありません。流石に今回の件は転生させた神のミスです。記憶を消してハイ終わりなんてしたら、悪魔からどん引きされてしまいます。』
その言葉を聞いて私はほっとした。
だが、アリスさんの方へは誰も見向きはしない。私はアリスさんを背負い、宿屋の中に入った。
初め従業員達は
「何故その人を連れてきたのですか?!」
と言って私を追い出そうとした。まあ、当然だろう。さっきまで暴れていた危険人物なのだから。
仕方が無いから諦めて別の宿屋へ行こうとしたところで、ラステルさんがそれを止めた。
「構いません。責任は私が取ります。望結さん、申し訳ありませんが彼女を私の部屋へ運んでくれませんか?」
「分かりました。」
私はラステルさんに案内され、ラステルさんの部屋へとアリスさんを運び込んだ。ベッドに寝かせる際、どさくさに紛れてアリスさんの髪の毛を1本抜き取った。
・・・・・
・・・
ラステルさんがこの後は任せてと言うので、私は壁に穴が開いたままの部屋に戻って荷物を取り、ラステルさんが新たに用意してくれた部屋に移った。
そして新しい部屋で一段落したところで、クロートーさんから着信があった。
『お疲れ様です望結さん。今回も大変でしたね。』
「はい・・・というか、なんかもういろいろと滅茶苦茶でした」
『しかし予想外でした。あの2人が初めて会ったときから好き合っていたとは。』
本当にそこは予想外だ。スバルさんはハーレムを形成しているし、クロートーさんからアリスさんはハーレムの一員になる予定だったと聞いていたから、スバルさんがアリスさんに好意を抱いていたというのは驚きだ。
『たまにいるのですよ。運命に抗い、天命を覆す人間が。今回は2人もいたのでこちらもアドバイスが出来ず申し訳ありませんでした。』
運命を覆すって・・・アリスさんはそうとしてもスバルさんも?
『ええ、今分かったのですが、スバル・レッサーはハーレムに対して好意を持っていませんでした。彼の愛はアリス・マラレスだけに向けられていたのです。』
ま、まじで?じゃあ、あのハーレムとはお友達感覚だったというわけ?
『そうですね。気の合う同僚といった感覚でしょうか?ともかく、彼はハーレムに対して恋人に抱くような好意を持っておらず、その好意は全てアリス・マラレスに向けられていました。』
そうなんだ・・・っていうか何でそんなことになったんだろう?あの2人を転生させた神様は初めからスバルさんに対してハーレムを創る予定だったんじゃ無かったっけ?
『ええ、そのはずだったのですが、狂った運命の歯車はスバル・レッサーの思いにも大きく影響を与えたようです。』
その後、アリスさんの処遇をクロートーさんと話し合った結果、愛を力に替える能力を全て剥奪という結果に収まった。初めは、スバルさんに対する執着が激しいことからスバルさんの記憶も全て消去した方が良いのではというクロートーさんだったが、流石にそれは悲しすぎるし、予想ではあるがスバルさんもそれを望んでいないと、私が全力で止めた。
するとクロートーさんはこう言った。
『私も元からするつもりはありません。流石に今回の件は転生させた神のミスです。記憶を消してハイ終わりなんてしたら、悪魔からどん引きされてしまいます。』
その言葉を聞いて私はほっとした。
0
あなたにおすすめの小説
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる