そんなにホイホイ転生させんじゃねえ！転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

旅立ちはいつも急に

翌日、私は南の街トライスから旅立つことに決めた。

何故かって？それは今朝配られた新聞の一面にこう書いてあったからだ。

“エルビス最強の魔道師、異界より最強の兵団を召喚。いよいよ北の蛮族と決着か？”

“一か月ほど前に北の蛮族との抗争に終止符を打つため、学術都市エルビス最強の魔道師は総勢20名の神からの祝福を受けた戦士を召喚したと、エルビスの最高指導者は明かした。この兵力を用いて諸々の準備が整い次第、攻勢に打って出ると言う。”

・・・この異界からの戦士ってどう考えても転生者だよね？いや、生きていたまま召喚したのなら転移者なのかな？どちらにせよこの人達も対象なのかも知れない

とりあえず私はクロートーさんに連絡を取り、記事のことについて確認した。

『ええ、その方達も強力な能力を持ってこちらの世界へと来ているので対象となります。と言うよりも、転生者ファイルの中にその方達の情報も載っていますよ。』

あ、そうなんだ。後で確認しておこう。

私はクロートーさんにお礼を言って通話を切り、再び記事に目を落とす。やはり気になるのが、北の蛮族との抗争と言う一文。

北の蛮族との抗争って・・・戦争って事でしょ？その為に召喚されたって事は、近いうちに戦場へと行ってしまうと・・・これはちょっと急がないといけないかも知れない。出ないと戦場に行かなきゃいけなくなってしまう。そんなところに行くのなんてごめんだ。

私はライドとタマミに声を掛け、急いで宿から出る準備を始めた。

・・・・・

・・・

「そうですか・・・もう行って仕舞われるのですね。」

ここから旅立つことをラステルさんに伝えると、ラステルさんは残念そうに目を伏せた。
「スバル達は忙しくてお見送りできないのを残念がっていました。」

確かにスバルさん達の姿は無い。まだ怪我の具合がよくないのかな？と思っていると予想とは異なる答えが返ってきた。

「いえ、今度私の宿の隣にレストランを開くことにしたので、その為の手続きにアリスと共に行って貰っています。」

ラステルさんのこの発言には驚いた。

詳しく聞いてみると、スバルさんとアリスさんはラステルさんの計らいでレストランを開くことになったらしい。場所はラステルさんの宿屋の隣。何でも、最近スバルの料理目当てで来る客が増えたらしく、それならばレストランを別で建てようとする案を思いついたらしい。

でも解せないのが、何でアリスさんと2人でレストランを経営することになったのか。聞いてみると、ラステルさんは微笑みながらこう言った。

「ふふっ、彼女ならスバルを支えてくれるという女の勘が働いたから、とでも行っておきましょうか。」

その後私はラステルさんに別れを告げ、宿を後にした。

地図を確認すると、エルビスと言う名前の街があるのはここから北西の方角。王都イザベルの西側にある大きな街だ。

私とタマミはライドに乗り込み、学術都市エルビスへ向かった。