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気がついたときにチャンスは失われていることが多い

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夕食を食べ終わった後、子供達と夕食の後片付けをしつつ、タケルさんにいろいろと聞いてみた。

「タケルさんっていつからこの孤児院やっているんですか?」

「つい一か月ほど前からだ。」

一か月前・・・確か私が見た記事では“最強の兵団”は一か月前に召喚されたと書いてあった。タケルさんが転生者だとしたら、その時期とぴったり合う。

私の仮説はこうだ。

タケルさんは召喚された“最強の兵団”の一人だったが、何らかの事情で追い出され、ここの孤児院を任されている。

と言うものだ。

私が読んだことのある異世界転生物の小説では、このような設定の小説も結構あったから、この仮説に行き着いたというわけだ。

夕食の片付けが終わった私は、自分の部屋に戻り、転生者ファイルを見てタケルさんの名前を探してみる。

だが、タケルさんの名前はおろか、顔写真もタケルさんと一致するデータは出てこなかった。

仮説の外れた私はなんか悔しくてふて寝した。

・・・・・

・・・

翌日

起きて1階の食堂に向かうと、タケルさんはもう朝ご飯の準備をしていた。

「お、おはようございます!手伝います!」

「いいって、もう出来るから早く顔洗ってこいよ。寝癖も酷いぞ」

慌てて準備を手伝おうとするが、タケルさんの一言が心に刺さった私はとぼとぼと洗面台へと向かった。

顔を洗った私が食堂に戻ると、すでに子供達がもう席について朝ご飯を食べていた。私も遅れながらも用意されていた席に着き、朝ご飯を食べる。その間にタケルさんは食べ終わっており、一足早く片付けている。

私は迷惑を掛けまいと、一生懸命に朝ご飯を詰め込んだところでタケルさんが新聞を読みながら戻ってきた。

「ちょっと新聞見せて貰っても良いですか?」

「いいぞ。」

私は気になったので、タケルさんから新聞を貸して貰った。

タケルさんから渡された新聞の一面にはでかでかと、こう書いてあった。

“最強の兵団ついに出陣”

間に合わなかったか・・・

私はがっくりと項垂れながら記事に目を落とす。記事にはこう書いてあった。

“学術都市エルビス最強の魔道師が召喚した最強の兵団が昨日出陣した。赤いマントを羽織った第一陣は昨日の早朝に出陣し、予想では本日の昼に抗戦する予定だという。また、黒いマントを纏った第二陣は昨日の昼に街全体に魔法で防御壁を築き上げてから出陣した。”

入れ違いになってしまったのか・・・っていうか、初めに見たあの黒い僧衣を着た人たちが転生者だったのか!ちくしょー・・・知らずに最後のチャンスを逃してしまった。
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