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おばさん(妖精)の過去
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「あら、どういうこと?あのカマ野郎の森で何かあったの?」
「実はですね・・・」
おばさん(妖精)に聞かれたので、ある力を持った人物が歪んだ正義感からこのブリザード・ウルフ達を森から追い出したこと。その人物は女神によって力を奪われ、記憶も消去されてしまったことを伝えた。
「へぇ、そんなことがあったのね。でも女神様がわざわざ出張ってくるなんて、よっぽど無茶なことをしたのねその男。」
おばさん(妖精)はそう言うと、ブリザード・ウルフ達の方を見る。
「でもよかったわ。この子達は故郷に帰ることが出来るのね。」
そういうおばさん(妖精)の目は寂しそうだ。どうしてだろうと思っていると、おばさん(妖精)はそれを察したのか、私にこう言ってきた。
「あなた不思議に思わない?なんで妖精である私が森では無く、こんな薄暗い地下に居るのかと言うことを。」
確かに。今まで出会ったおっさん(妖精)達は森の中に住んでいた。
「本当はね、この辺りも3年ほど前までは広大な森だったのよ。」
おばさん(妖精)は悲しげな瞳で語り始めた。
・・・・・
・・・
50年ほど前、ある1人の人間がこの土地にやってきた。その人間は始め1人で森の中で暮らし始めた。その人間は強大な魔力を持っていたが、その力をほとんど振るうことはせず、森の中で慎ましく暮らしていた。
アタシもその人間と何度か話したけど、良い人間だったよ。当たり障り無く、私達妖精との距離もわきまえていた。
だが3年ほど前、10人ほどの貴族が森へとやってきた。アタシは物珍しさからその貴族達を隠れて観察していた。その貴族は森に住んでいた男と仲よさげに談笑し始めた。昔の知り合いなのだろう。肩を組み合ったり、肩を叩いたりして笑顔で談笑している。
そして、貴族の一人が、ぽん、と男の肩を叩いた瞬間
男は糸が切れた人形のように倒れた。
何が起きたのか分からない私は男が貴族達に運ばれていくのを黙って見ているしか出来なかった。
そこからさ。悪夢が始まったのは。
一月後、その貴族達は大勢の人間を連れてまたやってきた。そして人間達は私の森を魔法でどんどん破壊し始めた。
森に住む者たちは大慌て。私だって慌てたさ。突如として大事なアタシの森が破壊され始めたのだから。
人間達の暴挙が止まったのは私の森の木が1本も無くなった時だった。
すっかり何も無くなった土地に人間達は街を作り始めた。
あっという間だった。何もかも無くなってしまったのは。
・・・・・
・・・
「とまあ、そうして出来上がったのがこの学術都市エルビスさ。」
おばさん(妖精)の過去は想像以上に壮絶だった。
「ここを・・・離れる気は無かったんですか?」
「私はこの土地の妖精。どんな形になろうと私の故郷なのよ。だから最後まで離れる気は無いわ。」
私の質問に対し、おばさん(妖精)はきっぱりと言い切る。
「でも・・・少しくらい森が欲しいわね。」
「実はですね・・・」
おばさん(妖精)に聞かれたので、ある力を持った人物が歪んだ正義感からこのブリザード・ウルフ達を森から追い出したこと。その人物は女神によって力を奪われ、記憶も消去されてしまったことを伝えた。
「へぇ、そんなことがあったのね。でも女神様がわざわざ出張ってくるなんて、よっぽど無茶なことをしたのねその男。」
おばさん(妖精)はそう言うと、ブリザード・ウルフ達の方を見る。
「でもよかったわ。この子達は故郷に帰ることが出来るのね。」
そういうおばさん(妖精)の目は寂しそうだ。どうしてだろうと思っていると、おばさん(妖精)はそれを察したのか、私にこう言ってきた。
「あなた不思議に思わない?なんで妖精である私が森では無く、こんな薄暗い地下に居るのかと言うことを。」
確かに。今まで出会ったおっさん(妖精)達は森の中に住んでいた。
「本当はね、この辺りも3年ほど前までは広大な森だったのよ。」
おばさん(妖精)は悲しげな瞳で語り始めた。
・・・・・
・・・
50年ほど前、ある1人の人間がこの土地にやってきた。その人間は始め1人で森の中で暮らし始めた。その人間は強大な魔力を持っていたが、その力をほとんど振るうことはせず、森の中で慎ましく暮らしていた。
アタシもその人間と何度か話したけど、良い人間だったよ。当たり障り無く、私達妖精との距離もわきまえていた。
だが3年ほど前、10人ほどの貴族が森へとやってきた。アタシは物珍しさからその貴族達を隠れて観察していた。その貴族は森に住んでいた男と仲よさげに談笑し始めた。昔の知り合いなのだろう。肩を組み合ったり、肩を叩いたりして笑顔で談笑している。
そして、貴族の一人が、ぽん、と男の肩を叩いた瞬間
男は糸が切れた人形のように倒れた。
何が起きたのか分からない私は男が貴族達に運ばれていくのを黙って見ているしか出来なかった。
そこからさ。悪夢が始まったのは。
一月後、その貴族達は大勢の人間を連れてまたやってきた。そして人間達は私の森を魔法でどんどん破壊し始めた。
森に住む者たちは大慌て。私だって慌てたさ。突如として大事なアタシの森が破壊され始めたのだから。
人間達の暴挙が止まったのは私の森の木が1本も無くなった時だった。
すっかり何も無くなった土地に人間達は街を作り始めた。
あっという間だった。何もかも無くなってしまったのは。
・・・・・
・・・
「とまあ、そうして出来上がったのがこの学術都市エルビスさ。」
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「ここを・・・離れる気は無かったんですか?」
「私はこの土地の妖精。どんな形になろうと私の故郷なのよ。だから最後まで離れる気は無いわ。」
私の質問に対し、おばさん(妖精)はきっぱりと言い切る。
「でも・・・少しくらい森が欲しいわね。」
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