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身勝手な指導者は大体交渉に失敗する

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アレルギー反応なのか、ヘルゼさんに顔には赤い湿疹のようなものが出てきている。しかし、それにもかかわらずライドにすがりつこうとするヘルゼさんを何とか引きはがし私はライドとタマミにヘルゼさんには近づかないように言い聞かせた。

「ミユ~お願いだからあと少しだけ触らせて~」

「駄目です!」

・・・・・

・・・

何とか、ヘルゼさんを落ち着かせることができた(他の住人がどこかへと連れて行った)ので、私はエリックさんに詳しい話を聞くことにした。

「さっきも言ったが、俺はエリック。この集落、ファリン族の長の息子だ。」

そうだったんだ。でもファリン族・・・?聞いたことも無い民族の名前に首をかしげると、ルミナークさんが説明してくれた。

「ファリン族って言うのはね、この東の大陸でも古くから存在すると言われている民族なのよ。そして、エリックはこの集落の中では一位二位を争うくらい腕の良い戦士よ。」

ルミナークさんが補足説明に対して、エリックさんは首を横に振った。

「そんなことは無い。あのアホみたいに陽気な奴らと比べれば俺なんかまだまださ。」

へぇ・・・あの3人そんなに強いんだ。あんなおちゃらけているのに。

「ああ、強い。おまけにしぶとい。戦っている内に嫌になってくるくらいさ。」

そうなんだ・・・ってそうじゃない。なんでエルビスは貴方たちと敵対しているの?

「奴らの目的はこの森に眠る大量の魔力石だ。」

「魔力石?」

「なんだ、お前知らないのか。ほら、これだ。」

そう言ってエリックさんは首に掛けていた首飾りを見せてくれた。首飾りのデザインは中心に直径2㎝くらいの丸い石が着いているだけのシンプルな物だ。でも、その丸い石は青白い光を放っており、どこからどう見てもただの石では無いことが分かる。

「この石には大量の魔力が含まれている。常人が一生で使う魔力量を1とするならば、この魔力石に含まれる魔力量は10だ。その上、大きさによっては20や30。最大の物だと50にもなる。」

それは・・・すごい物かも知れない。

「理由は不明だが、大量の魔力を欲している。そしてどこから嗅ぎ付けたのかこの森に眠る魔力石に目をつけた。そして一か月ほど前に俺達の所へ交渉にやってきた。」

エリックさんはため息をつきながら続ける。

「奴らの条件はとても飲めるものではなかった。奴らは俺達を魔力石採掘のための奴隷としてこき使う気だったのだ。」

うわ・・・思った以上にエルビスの偉い人は悪い人らしい。

「俺達は交渉に来た奴に条件を考え直すように言い、追い返した。すると先週、急に宣戦布告されたのだ。」

「全く酷い物よね。エルビスの最高指導者は。」

ルミナークさんが呆れながら、しかし確実に怒気をはらんだ声色で言う。私もそう思う。流石に身勝手が過ぎるでしょ。
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