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これが・・・ギャップ萌え・・・
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「じゃからな、此奴は嘘と真実をあべこべに言うんじゃ。じゃから此奴がもう助からないと言ったからには絶対に助かるんじゃ。」
幼女(妖精)私の肩に手を置きながら、説明してくれる。
どうやらこの少年は“狼少年”と言うらしい。狼少年と言えば、あの童話を思い出す。確か狼少年はいつも狼が来たという嘘をついて村の人を困らせていたけど、最後は本当に狼が来たことを村の人に信じてもらえず、飼っていた羊が全滅してしまうという話だったはず。
幼女(妖精)が言うとおり嘘と本当をあべこべに言うのは分かるんだけど、本当に童話通りの狼少年ならば本当のことを言っているんじゃ無いかと思ってしまう。だがミネルヴァさんの一言によりその考えは杞憂だと言うことを知る。
「彼は天邪鬼目人型種。天邪鬼目の種族は嘘しか言えません。なので彼が言ったことは全て反転し本当になります。」
よ、よかった・・・じゃあルミナークさん達は助かるんだ。でもどうやったら目が覚めるんだろう?
「ね、ねえ、この五人どうやったら目を覚ますの?」
狼少年に聞いてみると、狼少年はにっこりと笑いながらこう言った。
「教えてあげなーい」
あまりにも屈託のない笑顔でとんでもないことを言われたから一瞬イラッときたが、さっき幼女(妖精)とミネルヴァさんが言っていたことを思い出し、続けて聞いてみた。
「教えて?」
すると狼少年はこう言った。
「この人達、体の中から魔力がどばどば溢れてきているから何もしなくて良いんだよ。外から魔力を入れたら絶対に目を覚まさなくなるからね。絶対にやっちゃ駄目だよ。魔力石なんて上げたらもう最悪。」
その言葉を聞いたときの幼女(妖精)の動きは速かった。
一瞬でグリフォンとヘル・ウルフ達が集まっているところへ行くと見た目に似合わぬ大きな声でこう言った。
「今すぐ魔力石をありったけ集めてこい!!!」
いつものホニャララとした幼女(妖精)とは打って変わって威厳のある女騎士ような雰囲気に、初めはポカンとしていたグリフォンとヘル・ウルフ達だったが、すぐに皆森の方へと言ってしまった。
「・・・ふぅ、これでなんとかなるじゃろ。」
そう言って屈託のない笑みで私達の方を振り返ってきたのだが、先程までのギャップの差に脳内で処理が追いついていないわたしは
「あ・・・はい。」
と、間抜けな顔で間抜けな返事しか出来なかった。
・・・・・
・・・
ここは学術都市エルビスの端にある孤児院。そこでは今日もタケルを中心に孤児達が遊んでいた。笑顔の孤児達とは対照的にタケルの顔は暗い。いつも無表情な彼だが、いつも以上に暗い顔をしていた。
「くそっ・・・もう余り時間は無いか。各地からあの森の守護者達が集まってきてやがる。奴め、たった500人の戦士なんかでは太刀打ちできないことが分からないのか。」
苛ついたように悪態をつくタケル。
「俺の本体やエルビスが滅ぶのはいいが、こいつらだけは巻き込めん・・・」
そして何かを決意したように立ち上がると、孤児院の子供達を自分の前に集める。
「皆聞いてくれ。」
タケルからどんな話があるんだろうかと、孤児達は顔をワクワクさせている。
タケルは一つ息をつくと子供達にこう言った。
「今日でこの孤児院を閉める。お前らは王都に行け。」
幼女(妖精)私の肩に手を置きながら、説明してくれる。
どうやらこの少年は“狼少年”と言うらしい。狼少年と言えば、あの童話を思い出す。確か狼少年はいつも狼が来たという嘘をついて村の人を困らせていたけど、最後は本当に狼が来たことを村の人に信じてもらえず、飼っていた羊が全滅してしまうという話だったはず。
幼女(妖精)が言うとおり嘘と本当をあべこべに言うのは分かるんだけど、本当に童話通りの狼少年ならば本当のことを言っているんじゃ無いかと思ってしまう。だがミネルヴァさんの一言によりその考えは杞憂だと言うことを知る。
「彼は天邪鬼目人型種。天邪鬼目の種族は嘘しか言えません。なので彼が言ったことは全て反転し本当になります。」
よ、よかった・・・じゃあルミナークさん達は助かるんだ。でもどうやったら目が覚めるんだろう?
「ね、ねえ、この五人どうやったら目を覚ますの?」
狼少年に聞いてみると、狼少年はにっこりと笑いながらこう言った。
「教えてあげなーい」
あまりにも屈託のない笑顔でとんでもないことを言われたから一瞬イラッときたが、さっき幼女(妖精)とミネルヴァさんが言っていたことを思い出し、続けて聞いてみた。
「教えて?」
すると狼少年はこう言った。
「この人達、体の中から魔力がどばどば溢れてきているから何もしなくて良いんだよ。外から魔力を入れたら絶対に目を覚まさなくなるからね。絶対にやっちゃ駄目だよ。魔力石なんて上げたらもう最悪。」
その言葉を聞いたときの幼女(妖精)の動きは速かった。
一瞬でグリフォンとヘル・ウルフ達が集まっているところへ行くと見た目に似合わぬ大きな声でこう言った。
「今すぐ魔力石をありったけ集めてこい!!!」
いつものホニャララとした幼女(妖精)とは打って変わって威厳のある女騎士ような雰囲気に、初めはポカンとしていたグリフォンとヘル・ウルフ達だったが、すぐに皆森の方へと言ってしまった。
「・・・ふぅ、これでなんとかなるじゃろ。」
そう言って屈託のない笑みで私達の方を振り返ってきたのだが、先程までのギャップの差に脳内で処理が追いついていないわたしは
「あ・・・はい。」
と、間抜けな顔で間抜けな返事しか出来なかった。
・・・・・
・・・
ここは学術都市エルビスの端にある孤児院。そこでは今日もタケルを中心に孤児達が遊んでいた。笑顔の孤児達とは対照的にタケルの顔は暗い。いつも無表情な彼だが、いつも以上に暗い顔をしていた。
「くそっ・・・もう余り時間は無いか。各地からあの森の守護者達が集まってきてやがる。奴め、たった500人の戦士なんかでは太刀打ちできないことが分からないのか。」
苛ついたように悪態をつくタケル。
「俺の本体やエルビスが滅ぶのはいいが、こいつらだけは巻き込めん・・・」
そして何かを決意したように立ち上がると、孤児院の子供達を自分の前に集める。
「皆聞いてくれ。」
タケルからどんな話があるんだろうかと、孤児達は顔をワクワクさせている。
タケルは一つ息をつくと子供達にこう言った。
「今日でこの孤児院を閉める。お前らは王都に行け。」
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