そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

Open

文字の大きさ
168 / 186

暴走の謎

しおりを挟む
・・・?

今、何か悲鳴のようなものが聞こえたような・・・いや、空耳だ。

とりあえずもうすぐ非戦闘員の避難は終わる。幼女(妖精)によると木崎はもうすぐそこまで来ているということでもう行ってしまった。

木崎がすぐ近くにいるということは氷室とはもう会って戦っているだろう。できれば無茶はしてほしくないけど・・・

まあいい。氷室には風間が付いている。万が一のことがあったとしても大丈夫だろう。

私の横を微かに鉄のにおいがする生暖かい風が吹いた気がした。

・・・・・

・・・

「ぐっ・・・」

噴水のように血が噴き出す左腕を抑えながら氷室は苦悶の表情を浮かべる。見ると、左腕が半ばから食いちぎられたかのようになくなっている。

そんな氷室の目の前には嬉々として食いちぎったであろう腕を食む木崎がいた。その表情はいまにも吐き出しそうな。しかしながら大好物を食べているかのような嬉々とした表情を浮かべている。

「うぇ・・・おぇえ・・・クヒヒ・・・」

「・・・・っ!」

それを見て顔を引きつらせる氷室。かつての同級生のこのような姿は見るに堪えないのだろう。絵好きながら自分の腕をむさぼる木崎から目をそらす。

そして、覚悟を決めたかのように木崎へと向き直す。

「・・・ふんっ!」

氷室左腕に力を入れる。その瞬間流れでいた血はまるで水道の蛇口を占めたかのようにその流れを止めた。左腕の筋肉を膨張させることによって血管を圧迫し止血することに成功した。

「これくらい・・・どうってことねぇ・・・!」

不本意ながらやくざの跡取りであった氷室は、喧嘩をするということは日常茶飯事であり、そのため相手から大けがを負わせられるということもしばしばあった。さすがに腕を食いちぎられるという経験は初めてであったが、仲間を裏切り瀕死の重傷を負わせた木崎への怒りが氷室を不退転の覚悟を否応なしにさせる。

「がぎゅあぁぁぁ!!ヨコセエエエ!!」

次の瞬間、木崎はわけのわからない叫び声をあげながら氷室へと文字通り牙をむく。氷室はその場を動かない。そして次の瞬間。

「ガボッ・・・」

木崎が氷室の首元に噛みつこうとした瞬間、氷室は無い腕で木崎の顔面を思い切り殴った。

折れた歯や血しぶきをまき散らしながら吹き飛ぶ木崎。

「へっざまあ見やがれ。」

・・・・・

・・・

そんな氷室の戦いの様子を風間は離れたところから見ていた。

(左腕が食われたときは焦ったが、一応まだ戦えるみたいだな。ほんとチートスキル様様だね。)

氷室の様子を注視しながら二人の戦いを見る風間。今のところは重傷を負いつつも氷室が圧倒している。だが、戦いを見ている中である一つの疑問が浮かぶ。

(・・・木崎の奴さっきから氷室の打撃をまともに受けているのになぜ毎度立ち上がれる?)

怪我が治っていないことから回復魔法などの類を使用していないのは明白である。

(というより、様々なスキルを獲得しているくせに噛みつきなどという肉弾戦にこだわっているんだ?暴走のせいといえば片付くのだろうが、魔神の力を獲得して暴走したのであれば、普通魔法を周囲に放つような暴走をするものだと思っていたが…)

そんな疑問を浮かべる風間をよそに二人の決着がつこうとしていた


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...