169 / 186
決着そして・・・
しおりを挟む
「オラオラオラァ!!」
「ゲボッ・・カッ・・・」
木崎と氷室の戦いは終盤を迎えていた。一方的に殴り掛かる氷室に木崎は手も足も出ていない。
「これで・・・終わりだぁ!」
木崎の顔面に氷室の固く握りしめた拳が入る。メキョっという嫌な音とともに木崎は吹き飛び、そのまま起きてくることはなかった。
「はっ・・・はっ・・・」
木崎の血が付いたままの拳を握り締めたまま、氷室は肩で息をし倒れ伏した木崎を見下ろす。何度も何度も殴り吹き飛ばした木崎はまるでダメージがないかのように何度も起き上がってきたが、今度こそ、完全に意識を飛ばしたようだ。
疲れたのかその場に仰向けに寝転がる氷室。そんな氷室のもとに風間がやってきた。
「よお、お疲れ。」
「なんだお前いたのか。」
「ああ、お前が避難すっぽかして勝手に出て行ったもんだからあの人がお前のこと監視しに行けと言ってきてね。やられたときにもすぐに回収できるようにって。」
「あの女・・・」
苦々しい表情で歯噛みする氷室。そんな氷室に手を差し伸べ立ち上がるよう言う風間。
「戻ろうぜ。みんなはこの森から避難できた。さっさと木崎の奴を分縛るぞ。」
「おう。」
氷室が立ち上がったその瞬間。
「ググ・・・グガガガ」
妙なうめき声が木崎から発せられる。身構える風間と氷室。
木崎は緩慢な動作でゆっくりと立ち上がる。足元はふらついており、顔面からは止めどなく血が流れている。だが、目だけはギラギラと輝いており、口元は三日月を描いている。
「こいつまだ・・・!」
「おい待て氷室!こいつ・・・」
再び殴りかかろうとする氷室を制止する風間。
「なんで止める!」
「あれほどの攻撃を食らって平然と立ち上がるような奴に挑んだところでじり貧だ!ここは一旦引くんだ!」
「でもよ・・・!」
「引くんだ!あいつの目を見ろ!あれは腹をすかせた猛獣の目だ!今の状態じゃただの餌になり果てるぞ!」
語気を強めて言う風間に押し黙る氷室。そんな二人を木崎はニタニタと、目の前にごちそうが転がっているかのような無邪気な笑みで口からよだれを垂らしながら見ている。
二人は木崎から目をそらさず、少しずつ後退する。
そんな二人を見て木崎はまるで獣のような咆哮を上げながら襲い掛かる。
「くっ!」
風間が自身の能力を行使し、鉄の壁を木崎の前に作り出す。だが、木崎は鉄の壁に触れた瞬間、鉄の壁は砂のように崩れ去る。
「何?!」
驚愕する風間と氷室。そんな二人にお構いなしに木崎は襲い掛かる。
かろうじて回避する二人。
(どうなってやがる。俺の能力が強制的に解除されやがった・・・これも魔神の・・・?いや、ちがう。まさか・・・!)
思考を巡らせある一つの結論へとたどり着く風間。
「風間!」
「・・・!」
氷室の叫びにふと我に返る風間。目の前には口を大きく開けた木崎の姿。
鮮血が飛んだ。
「ゲボッ・・カッ・・・」
木崎と氷室の戦いは終盤を迎えていた。一方的に殴り掛かる氷室に木崎は手も足も出ていない。
「これで・・・終わりだぁ!」
木崎の顔面に氷室の固く握りしめた拳が入る。メキョっという嫌な音とともに木崎は吹き飛び、そのまま起きてくることはなかった。
「はっ・・・はっ・・・」
木崎の血が付いたままの拳を握り締めたまま、氷室は肩で息をし倒れ伏した木崎を見下ろす。何度も何度も殴り吹き飛ばした木崎はまるでダメージがないかのように何度も起き上がってきたが、今度こそ、完全に意識を飛ばしたようだ。
疲れたのかその場に仰向けに寝転がる氷室。そんな氷室のもとに風間がやってきた。
「よお、お疲れ。」
「なんだお前いたのか。」
「ああ、お前が避難すっぽかして勝手に出て行ったもんだからあの人がお前のこと監視しに行けと言ってきてね。やられたときにもすぐに回収できるようにって。」
「あの女・・・」
苦々しい表情で歯噛みする氷室。そんな氷室に手を差し伸べ立ち上がるよう言う風間。
「戻ろうぜ。みんなはこの森から避難できた。さっさと木崎の奴を分縛るぞ。」
「おう。」
氷室が立ち上がったその瞬間。
「ググ・・・グガガガ」
妙なうめき声が木崎から発せられる。身構える風間と氷室。
木崎は緩慢な動作でゆっくりと立ち上がる。足元はふらついており、顔面からは止めどなく血が流れている。だが、目だけはギラギラと輝いており、口元は三日月を描いている。
「こいつまだ・・・!」
「おい待て氷室!こいつ・・・」
再び殴りかかろうとする氷室を制止する風間。
「なんで止める!」
「あれほどの攻撃を食らって平然と立ち上がるような奴に挑んだところでじり貧だ!ここは一旦引くんだ!」
「でもよ・・・!」
「引くんだ!あいつの目を見ろ!あれは腹をすかせた猛獣の目だ!今の状態じゃただの餌になり果てるぞ!」
語気を強めて言う風間に押し黙る氷室。そんな二人を木崎はニタニタと、目の前にごちそうが転がっているかのような無邪気な笑みで口からよだれを垂らしながら見ている。
二人は木崎から目をそらさず、少しずつ後退する。
そんな二人を見て木崎はまるで獣のような咆哮を上げながら襲い掛かる。
「くっ!」
風間が自身の能力を行使し、鉄の壁を木崎の前に作り出す。だが、木崎は鉄の壁に触れた瞬間、鉄の壁は砂のように崩れ去る。
「何?!」
驚愕する風間と氷室。そんな二人にお構いなしに木崎は襲い掛かる。
かろうじて回避する二人。
(どうなってやがる。俺の能力が強制的に解除されやがった・・・これも魔神の・・・?いや、ちがう。まさか・・・!)
思考を巡らせある一つの結論へとたどり着く風間。
「風間!」
「・・・!」
氷室の叫びにふと我に返る風間。目の前には口を大きく開けた木崎の姿。
鮮血が飛んだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる