自炊生活

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引っ越し蕎麦

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彼女と一緒に一夜を過ごした。今までは雇用主と派遣社員の関係であった。今は、彼と彼女の関係になった。契約解除の申し入れは非常に苦しかったが結果として私たちの距離は思いがず縮まった。

「何を考えてたの?」
「これからも一緒にいたいって考えていた。」
「荷物をここに持ってきていいかな?」
「一緒に住もう。」

これで同棲することが決まった。シンプルだが、だからこそ計算や打算は無い。お互いの家具や家電を持ち寄り、新しいものをリサイクルショップに売った。これから一緒に住むのだから、必要に応じて買い換えればいい。だからこそ、今までのものは高く売れるものを売って、将来的に必要なものを買い換える計画をたてた。事実上のプロポーズだ。

本当のプロポーズは、後日する予定だ。

彼女がついに引っ越してきた。仕事の関係から、新しい関係になった。

「引っ越しが終わったら、蕎麦にしよう。」
「蕎麦…。」

2人で初めての買い物は、近くのスーパーに乾麺の蕎麦、めんつゆ、かき揚げ天ぷら、小口ねぎを買いにいった。戻るとちょうど12時の時報がなった。

「お湯を沸かしてくれるかな?」

彼女に鍋を渡した。私は、小口ねぎを刻んでいる。彼女は水を入れてガスに火を入れる。私は、ネギを刻み終わって小皿にまとめた。

余った時間で、キャベツとキュウリの塩揉みを作る。大葉をアクセントに加える。小鉢に入れるとずいぶん立派に見える。ちょっとつまんだが、なかなかいける。

「沸騰したよ。」

乾麺を入れる。煮こぼれないように注意しながら3分待つ。めんつゆをはった丼に菜箸で麺を入れる。その上にかき揚げを置き、小口ねぎを散らす。

「ボクは七味を入れるよ。」

一緒に生活をする最初が引っ越し蕎麦になった。ロマンチックな演出ができなくてゴメン。

2人で同棲して初めての食事をした。

とても美味しくいただいた。

感謝。
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