異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

文字の大きさ
23 / 41
第3章

5.5 護送馬車にて

しおりを挟む
 愛する弟達の心配をよそに(あまり心配はされていないが) 彼等は今、豪華護送馬車で光州への旅を御満悦中だった。もちろん豪華食事付きである。

 一刻ほど前、目の前で吊り橋が落ちたのを確認したあと、彼等は直ぐに降伏したのである。
 孫卓言の首筋に剣を突きつけ、「お縄になってやる」と言った時には50ほどいた武官たった5名に、なってはいたが……。

 当然、豪華馬車と食事の要求を、断れるはずもない。
 生け捕りにして来いと命を受けたが、果たしてこれで良かったのだろうか。
 馬車から漏れる男女な楽しげな笑い声や笛の音色に肩を落とす卓言であった。

 一方、芸妓たちと食事を楽しんだ後、極悪犯はこれからの事を話し合っていた。

「卓言も王の事を知りませんでしたね」
 死亡説も重病説もあり得ないと思っていても、それを否定する情報が入手できない。
 流石の莉己も景雪の前では不安を見せた。少しでも早く光州に行き手掛かりを得たいと豪華馬車の旅にかけてみたのだ。
「王が亡くなれば黒旗が挙がる筈ですし、まだ」

「バクの奴が玉子売りの後でチンピラに因縁をつけられたらしい」
 突然の話の転換に莉己は一瞬眉を挙げたが、そのまま話に乗った。景雪が今、その話をしたのには理由があると分かっていたからだ。

「あの足の怪我はその時に?」
「ああ。あいつは阿保だから素人にはなかなか手を出さん。苦戦している所に、通りがかった人に助けてもらったらしい。そいつらは、一瞬にしてチンピラをのした挙句、迷惑料を徴収したそうだ」
「まあ、当然でしょう」
「……。朱璃にそいつらの特長をきいたら《豪華てんらんの男前2人》だとさ」
「?」
「俺も琉晟から聞いた時は気にも留めなかったが、後で気が付いた。恐らくバクは《豪華絢爛ごうかけんらん》という言葉を《豪華テンラン》と間違えて覚えている。それでその2人組にぴったりだと思って語呂覚えした」

 もっと早く気が付けばよかったと景雪は苦笑した。

「2人の名前ですね。豪華テンラン、テンとラン……。 ひてん、らんが……飛天と蘭雅。男前2人」
  そう呟いた莉己は吹き出した。

「豪華天蘭!! 朱璃は本当に最高ですねっ。くすくすくすっ」

  たった2人で50名もの部隊を全滅しかけた華麗な極悪犯を乗せている馬車からは、天使の鈴の音のような笑い声がしばらく鳴り響くのであった。

(もう、好きにしてくれ)
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

波間柏
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

処理中です...