異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

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第4章

3. それぞれの想いと裏事情

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  朱璃に対して飛天が言った言葉。
「何ちゅう顔してんねん。まだなにもせーへん。約束は守る言うたやろ」

 あれは自分にも言ったのではないかと桜雅は思った。朱璃が抱き上げられた時、咄嗟に手が出そうになった。その時見せた 飛天の全て分かっている様な含みのある笑いに憤りを感じた。しかしなにも言い返せず飛天の後ろ姿を睨みつけるだけだった。

「はぁ、何者だよ、あいつ」
 桃弥も何とも言えない複雑な表情浮かべていた。

  調子のいい言葉に態度。ふざけたかと思うと自分達さえも戦慄させるほどの殺気で空気を振わす。
  何もかも知っているかのような情報力、判断力、統率力、どれを取っても只の商団長ではない。

「お2人はこちらへ」
  さきほどりつと呼ばれていた青年が2人の元へやってきた。他の者と違い、衣服やその雰囲気も文官の様で年は16、7歳に見えた。
「船というのは?」
「私たちは船で、往来します。あの吊り橋は見せかけです」
「ここへ来るまで船など見なかったぞ」
「見えたら意味ないでしょう」

  無表情であったが、なぜか小馬鹿にされている様な気がして、桃弥はムッとして葎をみた。
  葎は、そんな桃弥の視線など全く気にも溜めずにスタスタと歩きだした。

 葎は珍しく怒っていた。飛天が馬鹿なことを言うのはそれほど珍しい事ではないが、今回のは最悪レベルだと思っていたからだ。
 かなり不利な状況の皇子に力を貸すことで、こちらに火の粉が降り注ぐ事も十分ありえる。その報酬があのちんちくりんな素人娘が1人というのは、あまりに馬鹿げている。
 飛天の考えが読めず、葎はため息をついた。


「よくまぁ、この足であの岩場を横断して来たね」
 医者だと紹介されてのは、昨日 飛天と一緒に市場で助けてくれたもう1人の男だった。
「蘭さんがお医者さんやったなんて驚きです!」

 目にも見えないは速さでチンピラ達を伸している(しかも素手で)のを目の当たりにしているので、信じられない気がしたのだ。朱璃はそこまで考えて泉李も医者だった事を思い出した。
  この国の医者は、豪傑揃いなのか?

「ほんま、よー腫れているな。無理したらあかんで」
  治療の様子を覗き込みながら飛天が眉を寄せた。
「私、おんぶしてもらってたし、そんなに無理してません。でも、すごく足ひっぱって……。景先生と莉己様が捕まったのは私のせいです」
 しゅんとなる朱璃に先程見せた能天気さはなかった。

「朱璃ちゃんがそんなに責任感じているとは思わへんかったなぁ。ていうか、巻き込まれてるの朱璃をちゃんの方やん。いくら景雪の弟子でも今回の事は無関係ちゃうんか?」
 飛天はどうして 陵才の所に置いてこなかったんだと心の中で悪友を叱咤する。明らかに足手まといになる弟子を連れ歩くなんて奴らしくない。
 そんな飛天の気持ちを知ってか知らずか、朱璃が首を振った。

「桜雅はここに来て最初に私を助けてくれた命の恩人なんです。今日まで生きてこれたのは景先生と琉晟のお陰です。私、少しでも役に立ちたくてついて来たんです。それなのに守られてばかり……囮にすらなれなかった」
 3年間修行して、少しは役に立てると思っていただけに、未熟な自分を思い知っただけだった。

「そんで、俺の女になるっていう条件、すんなり受けたんか」
  朱璃の思ったより重い身の上と心情を知って飛天は内心失敗したと思っていた。かわいい弟分と悪友をちょっと困らせてやろうと思っただけだったのに。
 これほどまでに義理を感じているとは……。

「はい、天さんには本当に感謝してます。不束者ですが宜しくお願いします」
 真剣な表情から朱璃が本気なのだと分かる。

「しまったなぁ……」
 朱璃には聞こえない声でぽつりとつぶやく。
 案の定、後ろからの視線が突き刺さる。痛い、痛すぎる。何とか冗談に出来ひんやろか。

「でも、いいんか? そら俺は格好ええし。性格もええし、金もある。一目惚れしても全然おかしくないけどな。朱璃ちゃんもお年頃やし、ほれてる男とか、心に決めた男とかおられんの?」
 蘭雅に睨まれながら必死で解決策を、探る。

「ふふふっ、いません」


  小学校のころは 医者になれるよう期待に応えたくて頑張った。しかし、いつしか、「朱璃はもういいよ」と言われるようになった。
 看護師になりたいと言ったら、「大丈夫、気にしなくていい、素敵なお婿さんを探してあげるから心配しなくてもいい」と。
 親からの愛情は感じていた。
  不自由なく育ててもらったのに、反抗するのは良くないと思っていた。
 ただ、期待もされず、何もしなくて良いと言われるのは、だんだん自分が空っぽになっていく気がして怖かった。
 それでも、親が決めた人と結婚するのだと思っていた。それが私にできるただ1つのことだから。

 こっちでも同じ事だ。彼等を救う最前の方法としての選択ならば、迷いはなかった。

 3年前、異世界に来た事については何一つ分からない。色々悩んだり悲しんだりした事もあったが、朱璃は第2の人生だと思って割り切る事にした。
 そして、2度目の人生の理由を、心の何処かでずっと探している朱璃は、役に立ちたいという思いが強すぎ、自己犠牲を厭わないところがあった。
 そんな朱璃の心情を、出会って間もない2人が知る由もなかったが、ほんの一瞬見せた哀愁を浮かべた瞳に気付く鋭い洞察力は持っていた。

 飛天が口を開きかけたその時、出航準備が整ったと報告が入った。
 蘭雅が、飛天より先に口を開いた。
「朱璃ちゃんも仲間の所に戻って出発に備えておくといいよ。この子を連れて行ってやって、食事とかも用意してあげてください」

そう言って蘭雅は朱璃のために松葉杖を持ってき、朱璃の身体にに合わせる。
 「うん。上手」
 蘭雅が、優しく朱璃の頭を撫でた。

「蘭さん、手当てしてくださってありがとうございました」
 丁寧に頭を下げて部屋を出て行く朱璃を、優しい笑顔で見送った後、ゆっくりと飛天へ向き直った蘭雅からは、あの穏やかな春の日差しのような空気は消えていた。

「さーて。どういうことか説明してくれるね」
 部屋の温度が少なくとも2、3度下がったのを感じ、飛天が観念した。

「そやかて……、あいつ、全然俺に気が付かへんねんで。怖い顔して睨むし……。小ちゃい頃、ひーちゃんひーちゃんって俺にくっついてきて あんなに可愛かったのに……」

「……」
 
無言の視線に耐えられず、再び口を開いた。
「んで、ちょっと困らせたろかなぁって。それに景雪の弟子やっていうし、あいつが目を剥くとこも見たいなぁーって。朱璃ちゃんの弱みに付け込む気はなかってんで、あんなに責任感じているとは思わなかったし」
「あの若さで、あんなに潔く死を受け入れるなんて、余程の理由があるのだろう。可哀想に」
「えっいやっ、別に 死ねなんて言うてへんやん。俺の女になれっていうただけやん」

「同じことだ」
 小声で反論する飛天をばっさり切る。
「ひっひどい」
 泣き崩れる飛天を無視し蘭雅は続けた。

「何か事情がありそうだな。出ないと、景雪が弟子にする筈がない」
 飛天を見て蘭雅がにやりと笑った。
「おまえ、確実殺されるな」
  さっきと打って変わって楽しげな蘭雅とは対照的に、飛天の顔はますます青くなる。

「景雪のやつ、月華の姫の事から少しは立ち直ったのかも知れないな。だったら……、まだ、可能性はある。あいつがその気になれば……」
 しばらく、思考していた蘭雅がすくっと立ち上がった。
 いままでのふざけた雰囲気は一転し、高貴な覇気が蘭雅を包む。
「私は先に行く。あいつ等の事  頼んだぞ」
 悠然と立ち去る蘭雅に飛天が答えた。
「御意」

 

 飛天の部下は朱璃を丁重に扱い、船場まで連れて来てくれた。道中、商団の人たちから声をかけられたり挨拶をされたが、みな好意的であった。

 中には「お頭を頼んます」など言われ、朱璃が飛天の彼女になるという話は広まっている様子であった。
 多少複雑な気持ちで朱璃は愛想笑いを返しながら仲間の元に向かう。

「朱璃!」

2人の所に戻ると、桜雅と桃弥が飛んできて朱璃を抱きしめんばかりに取り囲んだ。

「大丈夫か?何もされなかったか!? あの孔雀ヤローー」

桃弥の剣幕に押されながらも、朱璃はとにかく自分は無事な事を伝える。2人に心配ばかりかけ、ここでも足を引っ張っている事が心苦しい。

「お医者様に足診てもらってん」

 湿布をした足をヒョイと上げ、ニッコリ笑う朱璃に桃弥は、ほっと胸を撫で下ろした。
しかし、桜雅の表情は険しいままだった。

「桜雅? 大丈夫? 傷が痛い?」
 そういえば桜雅も怪我をしていたのだと朱璃は慌てた。

 心配そうに顔を覗きこんでくる的外れな朱璃に桜雅がキレた。
「馬鹿かお前はっ。なんであんな条件を飲んだんだ!」

 怒鳴られた朱璃は思わず仰け反った。

 まだ怒っていたのか……。
 臣下が自らを犠牲にして主を守るのは至極当然のことだ。ましてや、皇子という高い身分にある桜雅なのだから、当然の事として受け入れてもいい筈なのにと朱璃は思った。
桜雅がどの様に育ったかは知らないが、この皇子、やっぱり変わってる。
彼と過ごした時間はとても短いが、根が真面目で優し過ぎる所が長所でもあり、短所でもあるのだろうと思った。
きっと辛いことも多いだろうなー。
兄貴分の面々から少しずつ図太さを分けてあげれたらいいのにと思わずにはいられなかった。

そんな桜雅が気にしないように、努めて明るく振る舞ったのに、あまり効果は得られなかったようだ。

それに、疑わず本気で信じているのなら桜雅の純粋さは育ちの良さからか?
さすが皇子という面ではある。

「大丈夫やって。天さん本気な訳無いやん。莉己様みたいな絶世の美女ならともかく、私に惚れるわけ無いってー」

桜雅は朱璃を凝視する。危機感の全くないお気楽さはなんだ……?

「まーまー。今はさ、条件飲んだふりして協力してもらおうぜ。それしかないだろ」

 桃弥の助け船に、少し落ち着きを取り戻した桜雅は小さく息を吐いて言った。
「分かった。だが、必ずこの契約は無効にするから心配するな」

「そうそう。お前はなんも心配いらねーよ」
 桃弥が朱璃の頭をぐるぐると撫で、きっぱりと言いきった。

「葎って奴から聞いたんだけどな、あの孔雀男はあんなだけど女に対しては百戦錬磨を誇るツワモノらしいぜ。まぁ顔だけはいいしな。そんな奴が本気で朱璃を欲しがるとは思えねー。兄上の弟子に取り入ろうとしているだけかもしれねぇし、ここは上手く利用させてもらおうぜ」

 熱くなる桜雅に流されず、冷静に分析出来たと満足げに力説する桃弥に反論したのは他でもない朱璃であった。

「ちょっと待ってーや。なんか、今の、すごく傷ついた。私には女の魅力がないって聞こえたんやけどどういう事?」

「えっ えーー。そういうんじゃなくて、そうじゃなくて」

 言い方が、まずかった? でも、さっき自分でも言ってなかったか!? なに俺が悪いのか?
 助けを求めようと桜雅をみると、目を逸らされた。

「桃弥が私のことどう思っているか、よー分かったわ」

 いや、だって、自分でも惚れるわけ無いやんとか言ってただろー。
 結局本気でプンスカ怒る朱璃に反論できず、桃弥は、肩をおとした。
女って難しい……。

桜雅は2人のやり取りのお陰で少し冷静になった。
そして取り乱した自分が信じられなかった。兄上の安否も分からないこの状況なのに、朱璃の事になると何故か冷静でいられなくなっている。

騒がしい2人とは対照的に自己嫌悪のため無口になる桜雅であった。



「凄いっ綺麗!!」
 洞窟に入ってからもう何度目かの感嘆の、声を上げる朱璃の機嫌はすっかり直っていた。
もちろん桃弥の慣れない美辞麗句のおかげではなく。出港後直ぐに入った鍾乳洞ならおかげであった。

 あまりの純白の美しさに朱璃は瞳を輝かせ魅入っていた。

「どうしたらこんな凄いのんが出来るん?」

「この辺りの土地には石灰石が多く含まれていて、地下水の一滴一滴が岩を溶かして作ったのが鍾乳洞だ。30万年もの月日がかかっていると言われている」

「30万年……。凄い……」
 桜雅の解説に再びこの神秘の洞窟に言葉を失う朱璃であった。

「ほんまに、凄いなーー。私の生きた20年とかほんの一瞬で、ちっぽけなものなんやなー。はぁ、童顔だとか、胸が小さいとか、甘いもの食べたら直ぐ身につくとか、本当にしょーもない悩みやわ」

 たしかに、かなりしょーもない……。
胸が小さいのを気にしてたとか一応女の自覚あったんだな言いかけたが、桃弥は我慢した。少しは学習したのだ。

 ともかく、さっきまでの不機嫌さが考えられない はしゃぎっぷりに少々呆れつつも、そんな朱璃を見ていると桜雅も桃弥も肩の力が抜けてきた。


「ほんま可愛いなぁ。朱璃ちゃん磨けば綺麗になんで~。そう思わん?」

 同意を求められても、と嫌な顔を隠そうともしない葎だったが、飛天は全く気にしない。

「景雪様に本気で殺されますよ」

「でもな、向こうの方から俺に惚れたんやったら話は別やろ? あんな条件呑むくらいやねんから、俺の事そんなに悪く思ってへんとちゃう? 寧ろ好意を持ってるとか」

 飛天の事をこよなく尊敬している葎だったが、このめでたさと女好きだけは例外であった。
 しかし、自他共認める遊び人の飛天が本気になって落ちなかった女は今まで居ないのも事実であり、ただの自信過剰ではない事も知っていた。

それでも葎は表情を変えず言い切った。
「無理だと思われます」

「えーーなんでーー?」

「カンです」

  信頼する側近の横顔を不満げにみていた飛天だったが、直ぐに自力で勝手に立ち直る。

「でもまぁ、このままやったら本気で命危ないし、朱璃ちゃんと仲良しになってこーっと」

 軽い足取りで朱璃達の元に向かう主人を、溜め息をついて見送る。
 たまにはいい薬になるだろう。
 そして、自分は半日後に繰り広げられる関所破りに向けた準備を整えるべく、船底にむかうのであった。


「気に入ったようやなー」

「出たな~孔雀男」
 人懐っこい笑顔浮かべでやってきたす飛天から朱璃を庇うように立つ護衛2人に、飛天は内心苦笑する。めっちゃ警戒されとるな。

「開けてみ」
 朱璃が飛天に渡された小さな袋を言われた通り開けると、うずら卵くらいの大きさの純白の石が出てきた。
「鍾乳石?」

「そう、あれや」
 天井にある無数の氷柱状の鍾乳石を指指して飛天は言った。

「綺麗やろ。石灰石自体はただの石なんやけどなー」

「何十万年もかけて、こんな美しいものを作り出すなんて自然って凄いですね……」

「ほんまやなーー。ここ通る度に、人間の一生なんて小っちゃなもんやと思うな。80まで生きてもこの位しか出来ひん」

「これだけ……」

「そうや。なんか一杯一杯になって考えるんのアホらしくなってくるやろ」

「ほんまに……」

 朱璃は石を見つめて、少し笑った。
 八宝菜のうずら卵が頭に浮かび、それを浮かべた自分自身のアホさに笑ってしまったのだ。
 結果、いい具合に肩の力がぬけた。

 船はゆっくり地下川洞窟を進んで言った。

「朱璃ちゃん、腕出してみ」

「腕?」

 言われたままに素直に出された腕に、飛天はクルクルと何かを巻きつけた。

「……?」

 幾つもの黒い玉が付いていた。
「あ、あの、これ……」

「朱璃ちゃんに出会えて感謝してんねん。お近づきの印やと思って受け取って」

「えっ でも……」
 高価そうな玉の腕環に朱璃が慌てたが、飛天は鍾乳石を袋に、戻しながら先を続けた。

「ほんまは、これで造ったものあげたいんやけどな、石灰石は装飾には向かへんし、とか言って煉瓦貰っても困るやろ? ほんで何かないかなぁって思いついたのがそれやねん」

 朱璃は黒い玉を見つめた。漆黒の美しい玉。

「黒瑪瑙いうてな、聖なる力を宿した石って言われてる。辛い時、苦しい時にあきらめず、前に進むための忍耐力や意思の強さを与えてくれるんや。成功の象徴とも呼ばれている。朱璃ちゃんの瞳とお揃いで、ほんまに綺麗や」

 朱璃の曇りのない漆黒の瞳に惹かれた時、この石を思い出した飛天は、眩しく感じて目を細めた。
 曇りのない漆黒の美しさは、純真無垢な魂ゆえの強さ。

 朱璃は褒められ慣れていないので、一瞬で頬が赤く染まった。
この人って、俗に言う天然タラシ?
いや、計算してる?

「ほんまに可愛いなぁ」

 朱璃の頭を撫でる飛天は優しい笑顔を見せており、赤く染まった顔で礼を言う朱璃も、乙女の顔になっていた。


 少し離れたところからその様子を見ていた桃弥が、小声でいう。

「流石、女の扱いに慣れてるっつーか、心得ているっつーか。あいつも満更でもないって顔しているし、ちょっとまずくねぇ?」

「何がだ」

「何がって、ほら、朱璃の奴、男に免疫なさそうだしコロッといっちまうかもしれないだろ」
 意外にも女心のわかる桃弥だった。

 まずいぜ、まずいぜと慌てる桃弥がなぜか癪に触る桜雅は憮然とした顔で言った。
「免疫ないって、3年間景雪と琉晟と一緒に暮らしているのだからそれはないだろ」

「そりゃあ外見に関しては免疫がついてるかもしれねーけど、あんな風に女として扱われる事が慣れてねーだろ」

 確かに……拳骨げんこつで叩かれている光景が目に浮かんだ。頬も思いっきりつねられていたな。

「景雪はアレだけど、琉晟は大切にしていたぞ」
「確かにそうだけど琉晟はさ、じいや的存在。過保護なだけだ」

 じいや琉晟を想像し、意外としっくりしたことに桃弥の才能を感じつつ、桜雅は朱璃と飛天が楽しそうに話しているのをみつめていた。胸がざわざわしているのは無視する。

「それは、朱璃の問題で、俺たちがとやかく言う問題ではない」

 無理してんなーと桜雅の顔色を伺いながらそう思うが、口には出さない桃弥。

「しかし、飛天のことはまだ信用できない。気をつけるように言っておこう」

 守らなければという2人の気持ちを知るわけもなく、飛天の話に楽しげに耳を傾けていた朱璃は、戻ってきた2人に引き離されてしまうのであった。

洞窟をぬけるまであと3時間。
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