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34 進化の始まり
しおりを挟むおろし金の戦いっぷりはどうか。
結構強い。
少なくとも足軽クワガタ相手でも余裕で戦えるようだ。
大きな身体に見合わず動きも素早いし、足軽クワガタの攻撃が当たってもダメージがあるようには見えなかった。
頭部のごつごつした部分を叩きつけたり噛みついたり。
足軽クワガタを丸呑みした時はびっくりした。
それでもドロップアイテムは残るらしい。
「よーしよし、おろし金強いぞー」
「キュルル」
「ほーら、お食べー」
「キュルッ」
ドロップアイテムの足軽クワガタの甲殻を、タマが差し出した。
おろし金はそれを一度咥えてから、頭を持ち上げて呑み込んだ。
おろし金の育成方針は完全にタマに任せることにした。
可愛がってるみたいだし大丈夫だろう。
「モジャモジャー、おろし金にご褒美あげてもいーい?」
「ん? いいぞー」
ご褒美か。
おろし金も頑張ってるみたいだしな。
さっきも素材を食べさせてたようだけど、一体何をあげるつもりなんだろうか。
「んー……出来た! はいおろし金、あーん!」
タマは手の平を握りしめて力を込めた。
開くと、そこにはコインのようなものが。
タマはそれをおろし金の鼻先に近づけていく。
え、コイン?
説明は見れるか?
≪コイン:相棒タマ≫
部位:全て
魔力の封じられたコイン。
相棒のタマが描かれている。
部位によって効果が異なる。
共通の効果として、≪捕食進化≫のスキルを獲得し、成長性の制限が解除される
見れた。
なんかやばいもの出てきた。
っていうか相棒のコインなんかあるのか!?
多分これを食わせたらまずい気がする。
「タマ、ちょっと待っ」
ばくり。
ゴクン。
俺が止めようとした時にはもう呑み込んでしまっていた。
なんてこった。
まぁ食べさせたんだし、別に何かあったりしないよな。
おろし金の身体が光り始めた。
食べさせても普通に合成は成功するらしい。
なんてこった。
すぐに光は収まって、そこには進化したおろし金がいた。
全長は3m程になり、鎧部分は白銀に輝いている。
本体の部分は茶色っぽくて側面の線も健在だ。
鼻先には立派な角が生えている。
なんか、かなり強そうになったな。
種族名は≪エボリュート鎧カナヘビ≫となっている。
「タマ、さっきのコインはどこから出したんだ?」
「余ってたポイントで≪コイン生成≫の特徴スキルとった!」
そんなスキルまであるのか。
タマのステータスを見ると、あった。
Lv20で取得してある。
効果はそのままコインの生成。ただ使用回数に制限があって、Lv10毎に1枚しか生み出せないらしい。
現時点であと1枚だけ。
ポイントもまだ余らせてるみたいだから、もう何枚かいける。
うん、見なかったことにしよう。
そんなに慌てなくても戦力は十分揃ってる。
とにかく今は森の攻略だ。
「先に進もう」
「らじゃー!」
「キュル!」
嫌な予感もするけどまぁいいのさ。
すくすく育つんだぞ、おろし金。
「モジャモジャ、そこにおっきいのがいるよー」
もうすぐ次のエリア、というところでタマが教えてくれた。
このエリアでおっきいの、と言えばあいつのことか。
足を止めて待っていると、そいつは現れた。
「ギチギチギチギチ」
全長は2m程?
モグラに聞いた通り二足歩行するクワガタ、≪武者クワガタ≫だ。
大あごを模した刀を二振り持っている。
その身体を覆う甲皮も堅そうだ。
これは強そうだな。
しかもその後ろから足軽クワガタが十匹程姿を見せた。
付き従ってるのか?
そいつらはアクティブらしく武者クワガタと一緒にこっちへ向かってくる。
「行くぞタマ!」
「いけー、おろし金!」
「キュルルッ!」
剣を抜いて構えたところでタマはおろし金に指示を出す。
おろし金が一声鳴くと、おろし金の周囲から鋼のような鋭い金属の塊が雨のようにクワガタ達に降り注いだ。
「おお、なんかすごい」
「おろし金もさいきょーに近づいた!」
おろし金の攻撃だけで足軽クワガタは全滅。
少し後ろにいた武者クワガタも既に瀕死だ。
え?
もう瀕死?
武者クワガタが弱いのか、おろし金が強いのか。
まぁタマのコインなんか取り込んだらどれだけ強化されるのか分かったもんじゃないな。
「ギシャア」
なんて思ってる間におろし金が武者クワガタの胸を角で貫いた。HPもそれで0になった。
緊張感も何もあったもんじゃないな。
「よーしよしよしよし、がんばったねおろし金ー」
「キュル!」
「はは、すごいなほんと……」
「えっへん!」
「キュルル!」
武者クワガタのドロップアイテムをストレージに放り込む。
次のMAPではどんなモンスターがいるんだろうか。
左右にも森は続いているみたいだが、難易度は変わらないらしいからパスだ。
目指すは最深部のみ。
街の近くだしきっとそんなに変わらないよね。
なんて思ってました。
次のMAPも相変わらずの森。
名前は≪ストーレの森04≫。
さっきまでと違って深い森になっている。まだ昼にもなってないのに薄暗い。
そして入った側から武者クワガタが足軽クワガタと共に迫ってくる。
中々楽しめそうだ。
「えいっ」
武者クワガタはタマの攻撃で一撃死。
取り巻きもおろし金に蹂躙されている。
俺の分などいなかった。
安全なのにこしたことはないんだけどね。
「あっ」
「なんだこれー?」
何か鋭いものが飛んできてタマに激突した。
と思ったら、タマはしっかり受け止めていた。
しかも片手で。
それは真っ直ぐな鋭い角をもつ大きなカブトムシだった。
でかっ!角だけで1mくらいありそうだ。
名前は≪ソードビートル≫。そのままだな。
「えいやっ」
哀れなソードビートルは角をへし折られ、地面に叩きつけられて死亡した。
倒し方がえぐい。
「ん?」
今度は奥の方から矢が飛んできて当たった。
ちくって感じで、痛くはなかった。
また別のモンスターがいるようだ。
攻撃が途切れないんだけど、急に難易度上がり過ぎてない?
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