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閑話
しおりを挟むオレの名前は†紅の牙†。
変な名前だって?
ここはゲームの世界なんだから、かっこよければそれでいいんだ。
高校にも行かずに引きこもってたら遂に実家を追い出されてしまったオレは、行くあてもなくて街を彷徨っていた。さながら捨て犬のように。
ホームレスと縄張り争いもした。残飯って意外と美味しいものだと、この歳になって初めて知った。
余りにも惨めで、いっそ死のうかと思ってたら、怪しい男が話しかけてきたんだ。
そいつの誘いに乗ったオレは、リリース直前でお蔵入りになったあの話題作≪CPO≫を、なんと死ぬまでプレイ出来ることになった。
そこで得た相棒は黒い剣。とてつもなくかっこよかった。
まさに、オレが憧れた、何度も空想した夢そのものだったんだ。
そこでオレは勘違いをしてしまった。これからオレが主役の物語が始まるんだ、と。
チュートリアルを済ませたオレはレベル上げを二の次にして、まず相棒の強化を優先した。
相棒の主な強化方法は、同種の物を破壊するか吸収するかのどっちかだ。
オレの相棒≪闇色の火焔剣≫の種別は相棒、武器、剣、魔剣だった。
オレは必死にモンスターを倒して、素材を売っては剣を買い、相棒に吸収させていった。
メキメキと強くなっていく相棒に、オレの勘違いは止まらなかった。
街のすぐ南のフィールドはオレの狩場だと思い込んで、他のプレイヤーが狙っているモンスターも構わず狩った。実際手を出していないんだからセーフだと凄むと、どいつもこいつもビビッて黙り込んでいたその時だ。
あいつに……いや、あの人に出会ったのは。
当然の権利を主張するオレに言いがかりを付けてきたと、オレは本気で思っていた。
そいつの持ちかけてきた勝負にオレは乗った。
内容は、相棒の攻撃を一回だけ受けて耐えればオレの勝ちという負ける要素のどこにもないものだった。オレの中では。
何故なら、そいつの相棒は人型だったからだ。
まだレベルも低いのに、人型にする特徴スキルにポイントを割くような奴が強い訳がない。
結果は、オレの惨敗だった。
StrとVitに極振りして特徴スキルで≪頑強≫を取っているのに、いとも簡単にぽっきりと折られた。まるでオレの心を表してるかのようだったと、今では思う。
無様に負けたオレは、勘違いしていたことにやっと気付いたんだ。
迷惑をかけてもオレは強くて正しいから誰も逆らえないなんて気のせいで、調子に乗ってただけだったって。
闇色の火焔剣が復活するまでの二日間ですっかり反省したオレは、あの人にしばかれないような、立派なプレイヤーになろうと誓った。
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