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夏休み 四章 海水浴とそれぞれの夢
020 姉貴の芸術(弟を素材にする)は爆発である
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水中で神崎さんの足がつるというハプニングが起きていた間、他の面々はそんな事は露知らず、各々海水浴を楽しんでいた。
言葉先輩はゆったりピニャコラータ(無論ノンアル)を飲みながらパラソルの下で寛いでおり、姉貴は砂浜で何か大きな三角形の塊を建設していた。その傍で須崎先輩も作業を手伝っている。
「いい歳して砂遊びとは……やれやれだぜ。」
遠目でジョジョ立ちしながらその様子を眺めていると、姉貴は俺に近づいてきて「ちょっとこっち来なさい。」と言って腕を引っ張られた。
「え……何するの?」
「しばらく四つん這いのまま、動いては駄目だ。」
「は? なんで?」
姉貴に命令されるがまま、しばらく四つん這いの姿勢でいると、気づけば俺は――顔以外の全てを砂で固められていた。
「……できた。作品名『スフィンクス』」
「さすがです、吹雪さん。実の弟に砂を固めて作った芸術! まさに天才の発想!」
自分では視認できないものの、かなり完成度の高いスフィンクスのサンドアートが出来上がったらしい。俺の左右にはご丁寧にもピラミッドまで作られている。
「姉貴……、砂固めすぎて身動きできないんだけど。」
「そうか。せっかくの力作だからな。すぐに壊してしまうのはもったいないと思っていたんだ。どうかそのまま芸術作品としての生涯を全うしてくれ。」
そう言うと、姉貴は俺をおいて去って行ってしまった。
駄目だ、どうやら姉貴はしばらく(ひょっとすると一生)俺を解放するつもりはなさそうだ。俺はすがる様な視線で須崎先輩に助けを求めた。
「すまん、雪……。吹雪さんの芸術は爆発なんだ。」
「ちょっと、意味わかんないんですけど。爆発してんのはあんたらの頭でしょ。いいから助けてくださいよ。」
「助けないけど、俺はお前から受けた恩を忘れないぞ!」
「この人でなしっ!」
須崎先輩もまた、俺を見捨てて姉貴の後を追って去って行ってしまった。
「最悪だ……。さっきから色んな人が物珍しそうな視線で俺を見てくる。」
遠目にカップルが笑いながら、勝手にスマホで撮影してきたり、ガキンチョが「きっもちわりぃ~!」と言って顔に砂をかけてきたりしたが、俺は抵抗することができなかった。
そんな中、俺の元へようやく助けになりそうな人が来てくれた。
「おお! 弟くんがエジプトの世界遺産になってる。」
「言葉先輩……感心してないで助けてくださいよ。」
「ごめんごめん~! あ、でもその前に写真撮って良い?」
「……まぁ、いいですけど。」
正直、自分でもどんな姿でさらされているのか、少しだけ気になるところだった。
「あれ? 雪くん、どこに行ったのかと思ったら……、スフィンクスになってたんだっ!」
「かっ、神崎さんっ!?」
俺の死角から、ひょこっと神崎さんが現れた。先ほど足がつって大変だった神崎さんだが、もう元気を取り戻した様子で、にこにこと俺のスフィンクス姿を眺めた。こんな無様な姿を見られて、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「せっかくだから、二人一緒に撮ってあげるね~! はい、チーズ!」
“カシャッ”
神崎さんとの初のツーショット写真は、満面の笑みの神崎さんと、悲壮感に満ちた表情の俺の滑稽な姿が切り取られていた。
その後、砂でガチガチに固められた俺は、言葉先輩と神崎さんに救助されて、芸術品としての生涯を全うせずにすんだ。
「はぁ~、ひどい目にあった。」
可愛い後輩よりも、好きな女の意志を尊重するとは……。見損なったぞ須崎先輩っ!
言葉先輩はゆったりピニャコラータ(無論ノンアル)を飲みながらパラソルの下で寛いでおり、姉貴は砂浜で何か大きな三角形の塊を建設していた。その傍で須崎先輩も作業を手伝っている。
「いい歳して砂遊びとは……やれやれだぜ。」
遠目でジョジョ立ちしながらその様子を眺めていると、姉貴は俺に近づいてきて「ちょっとこっち来なさい。」と言って腕を引っ張られた。
「え……何するの?」
「しばらく四つん這いのまま、動いては駄目だ。」
「は? なんで?」
姉貴に命令されるがまま、しばらく四つん這いの姿勢でいると、気づけば俺は――顔以外の全てを砂で固められていた。
「……できた。作品名『スフィンクス』」
「さすがです、吹雪さん。実の弟に砂を固めて作った芸術! まさに天才の発想!」
自分では視認できないものの、かなり完成度の高いスフィンクスのサンドアートが出来上がったらしい。俺の左右にはご丁寧にもピラミッドまで作られている。
「姉貴……、砂固めすぎて身動きできないんだけど。」
「そうか。せっかくの力作だからな。すぐに壊してしまうのはもったいないと思っていたんだ。どうかそのまま芸術作品としての生涯を全うしてくれ。」
そう言うと、姉貴は俺をおいて去って行ってしまった。
駄目だ、どうやら姉貴はしばらく(ひょっとすると一生)俺を解放するつもりはなさそうだ。俺はすがる様な視線で須崎先輩に助けを求めた。
「すまん、雪……。吹雪さんの芸術は爆発なんだ。」
「ちょっと、意味わかんないんですけど。爆発してんのはあんたらの頭でしょ。いいから助けてくださいよ。」
「助けないけど、俺はお前から受けた恩を忘れないぞ!」
「この人でなしっ!」
須崎先輩もまた、俺を見捨てて姉貴の後を追って去って行ってしまった。
「最悪だ……。さっきから色んな人が物珍しそうな視線で俺を見てくる。」
遠目にカップルが笑いながら、勝手にスマホで撮影してきたり、ガキンチョが「きっもちわりぃ~!」と言って顔に砂をかけてきたりしたが、俺は抵抗することができなかった。
そんな中、俺の元へようやく助けになりそうな人が来てくれた。
「おお! 弟くんがエジプトの世界遺産になってる。」
「言葉先輩……感心してないで助けてくださいよ。」
「ごめんごめん~! あ、でもその前に写真撮って良い?」
「……まぁ、いいですけど。」
正直、自分でもどんな姿でさらされているのか、少しだけ気になるところだった。
「あれ? 雪くん、どこに行ったのかと思ったら……、スフィンクスになってたんだっ!」
「かっ、神崎さんっ!?」
俺の死角から、ひょこっと神崎さんが現れた。先ほど足がつって大変だった神崎さんだが、もう元気を取り戻した様子で、にこにこと俺のスフィンクス姿を眺めた。こんな無様な姿を見られて、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「せっかくだから、二人一緒に撮ってあげるね~! はい、チーズ!」
“カシャッ”
神崎さんとの初のツーショット写真は、満面の笑みの神崎さんと、悲壮感に満ちた表情の俺の滑稽な姿が切り取られていた。
その後、砂でガチガチに固められた俺は、言葉先輩と神崎さんに救助されて、芸術品としての生涯を全うせずにすんだ。
「はぁ~、ひどい目にあった。」
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