お隣りのJKさんと料理下手くされ大学生のお裾分け晩御飯

muku

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008 双子の姉妹の女子高生

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「ところで、二人とも…、苗字は落合っていったよね?もしかして双子なの?」

テーブル席でそれぞれパンケーキを頼み、翔はそれを待つ間に話題を提供する。

「よお気づいたなぁ!私と栞は双子の姉妹やで!」

「まぁ、あまり性格は似てないんですけどね。」

確かに、顔つきは多少似ている気もするが、雰囲気も身長も違う。

栞は桃花を含めた三人の中で一番背が低く、どこか落ち着いた雰囲気だ。

沙織は逆に一番背が高く、活発な雰囲気を感じる。

「そうなんだ。桃花ちゃんとはいつから知り合ったの?」

「桃花は、私が食堂で迷子になってもたときに、きょろきょろしてたら親切に、教室までの帰り道を教えてくれたんよ。」

「食堂から教室までの道のりで迷子って…。にしても、桃花ちゃん自分から声かけて助けてあげたんだ。えらいね!」

「そんなことないですよ。私だって、翔さんに迷子になってたところを、親切に教えてもらって、助けてもらいましたし…。」

桃花は少し顔を伏せながら耳を赤くした。

沙織と栞は、おやおやと薄笑いを浮かべている。

「いや、でも自分から声をかけるって、なかなか勇気がいることなんだ。僕の場合は、色んな人から自然と声をかけられて、それに応えているだけだからね。」

「確かに、翔さんって…なんというか、優しい人って感じのオーラ出てますよね。」

栞は翔の顔をまじまじとみながら、そう言った。

「なんか、草食系というか…、人畜無害というか…。」

「落ち着いてるというか…。のんびりしてるというか…。」

「天然そうというか…、すきがありそうというか」

「頼んでも断らなさそうというか…、優柔不断そうというか。」

沙織と栞は、交互に翔の顔を覗きながら告げた。

「なんか褒められてるのか、けなされてるのか、よく分からないな…。」

肩をおとす翔に、桃花は「そんなことないですよ!翔さんの素敵なところです!」と励ました。

クリーム色のエプロンを身に着けた店員が、注文したパンケーキを持ってきてくれた。

窯で焼かれたフレンチパンケーキというのが有名らしい。

黒く光るフライパン形のプレートから溢れ出るほどに、しっかりとした厚みをもって膨らんだパンケーキがおさまっている。そのしっとり感のある、ふわふわの生地のパンケーキの上に、琥珀色のシロップがとろりとかけられており、熱で少し溶けつつあるバターの香りが食欲を誘う。

それを見た瞬間、三人の女子高生はテンションを急上昇させ、口々に思った感情をそのまま言葉に乗せた。

「うわー、すごいっ!!!」

「かわいいね!」

「めっちゃ美味しそうっ!」

机の上に並べられた、甘く可愛らしいふわふわのパンケーキたちに、女子高生三人は黄色い声をあげた。

「やっぱり女の子は、こういうの嬉しいんだね。」

もちろん美味しそうだと思いつつも、一人平常時とあまり変わらない翔は、冷静に彼女らの興奮する様を観察していた。

「翔さんはあまり、甘いのは食べないですか?」

翔の隣で、出来立てのパンケーキの姿をカメラにおさめ終わった桃花が尋ねる。

「いや、そういうわけじゃないけど。でもやっぱり、女の子が喜ぶそのレベルまでには達しないかな。」

「基本、女の子はスイーツ好きですからね。」

「僕はそこまでスイーツに興味を持たないというか、まぁたまに甘い物がほしくなるくらいかな。」

それを聞いた栞は、異議ありと申し出る様に机を叩いた。

「おっと、それは聞き捨てなりませんね!スイーツの良さを喋らせたら、私の話は長くなりますよ!」

誰一人として話せとは言っていないのだが、栞は身を乗り出すように話し始めた。

「スイーツの甘さは、数ある甘み成分を上手く調合し、時には果物などの酸味や、抹茶やカカオ等の苦み、様々な味覚の組み合わせにより、あの繊細かつ甘美な味が引き出せるのです。その組み合わせは…、宇宙のビッグバンで広がった星の数ほど存在し、パティシエという仕事はまさに、新たな星を探す天文学者のようです。」

ここまで話終えて、栞は一つ息継ぎをした。溌剌な雰囲気の沙織と比べると、よくいる双子の大人しいほうかと思っていたが、料理に関してはそうでもないらしい。

「いや、そのスイーツの芸術性の高さを言及するなら、芸術家ともいえるでしょう。人を楽しませるためのその甘みと、可愛らしくも美しい見た目は一種のアミューズメント。パティシエはともかく複雑なんです。奥が深いのです…。ただ甘いのが食べたいなら、角砂糖でも買って齧ってりゃいいのです。」

「そうだな…。ごめん、僕が悪かったよ。スイーツは奥が深いな。」

「わかってもらえれば、それでいいんですよ。」

笑顔のままそういうと、一通り語り終えた栞は、咳ばらいをして座りなおした。
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