お隣りのJKさんと料理下手くされ大学生のお裾分け晩御飯

muku

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017 隣りのJKとの屋台巡り

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翔と桃花の二人は、一つ一つの屋台を覗きながら、「これは食べてみたい!」と桃花が反応したものを買って回った。

しかし、桃花本人は一度も「これが食べたい!」と言葉では表明することはなかった。

というのも、一応大学生であるトミーと翔が、「屋台で買い物するくらいのお金は出すよ。」と見栄を張ってしまった結果、桃花は遠慮をして言い出せずにいるようだった。

「何でも欲しい物いいなよ?」

「そうですね…。ありがとうございます。」

煮え切らない態度をとる桃花に対し、翔は屋台を一緒に周りながら、桃花の目がきらきらと輝いた屋台で、一つずつ商品を買っていった。

「すみません。これ一つください。」

「えっ!?なんで、私が食べてみたいと思ったのがわかるんですか?」

屋台で三つ目の買い物をしたところで、桃花は驚きの声をあげた。

「いやだって…、桃花ちゃん。本当に食べてみたいって思った時は、子どもがおもちゃを欲しがるように目を輝かせて見てるからさ。簡単、かんたん!」

「そうだったんですか…。お恥ずかしい///」

「まぁ本当に食べたいものは気を遣わなくていいから。僕も桃花ちゃんが選んだものなら食べてみたいしさ。遠慮せずに、どんどん言ってよ。」

「…はい。ありがとうございます!」

それからは、桃花のお眼鏡にかなったものがあれば、「これ…食べてみたいです!」と目を輝かせて、桃花は自身の気持ちを言葉で伝えるようになった。

お昼時が近づくにつれて、人の数も増えてきた。家族連れやカップルなど、たくさんの人がイベントを楽しんでいる。

「すみません!ちょっといいですか?」

カップルに声をかけられ、翔は快く神戸港をバックに写真を撮ってあげた。

「それにしても…、翔さん本当によく声をかけられますね。」

十分ほど前、先ほどは迷子になった子どもが、泣きながら翔のズボンを掴んでいた。

迷子センターまで送ってやり、翔が割りばしと輪ゴムを使った即興マジックでその子を泣き止ませていた頃に、保護者がやってきた。

「まぁもう慣れたよ。」

困ったように笑う翔の顔には、目じりが下がるとともに口角が穏やかに上がり、人柄のよさがにじみ出ている。いつしか桃花はその笑顔が大好きになっていた。

「なんだか…人が増えてきましたね。」

「そうだね。もうすぐお昼どきだからね。」

先ほどから、手を繋いで歩くカップルの姿がちらちらと横目に入り、桃花はそれを意識せざるを得なかった。

“いきなり手を繋ぎたいって言ったら、翔さんはどんな反応するだろう?”

絶対そんなことを言う勇気はないのだけれど…、とぼんやり他のカップル達の仲睦まじげな様子を見ながら桃花は考えていた。

すると、彼女の手首をそっと、誰かの手が優しく触れるのを桃花は感じた。

「こらこら、ぼーっとしてたらはぐれちゃうよ?」

翔は人込みに流されそうな桃花を見て、彼女の華奢な手首をそっと掴んだ。

「トミー達もそろそろ買い物終わったらしいし、ちょっと急ごうか。」

「あっ、すみません。」

人込みを抜けるまで、人の壁を翔がかき分けてスペースを作り、桃花の手首を軽く握って先導した。

人込みを抜けると翔は手を離したが、桃花の掴まれていた手首にはまだ温かなぬくもりの感触が残っていた。
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