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<らぐしゃま、精霊王しゃまも聖獣しゃまもお怒りでしゅ。
こちらへ来ようとしてましゅが……>
エリなら地脈をここまで繋げるのは簡単だろう。
「エリ、ここへ繋げて。
ミワ、僕の元へ」
そう呟いたとたんに、ローション風呂が盛り上がりドーナツ型のお風呂の様にポッカリと穴が開いてミワが飛び出してきた。
「ラグ様!! お探ししました!」
「ミワ、ごめんね、ちょっと油断しちゃった。
エリも、心配かけたね」
エリは目に涙を溜めて、僕をギューッと抱きしめて来た。
「マスター!! 私が! 私がもっと気を付けていたら!」
「エリ、あの状況は僕の油断だし、誰のせいでもない。
それに、僕の力を知ってるだろう?」
「ですが、マスターの命が不滅なわけではありません!」
確かに不老不死ってわけじゃないけどさ。
「エリはアースドラゴンになっても弱虫だなぁ」
はるかに大きい男性の頭を背伸びして撫でて、そしてにっこりと笑って僕のためなら笑ってくれと言うと、顔を赤く染めて泣き止んだ。
見えない拘束で自由の利かない信徒たちは、僕たちの会話からアースドラゴンと聞いて、まさかだの、出まかせだのと口々に言っていたが、エリが手先だけをドラゴンのそれに変化させてその爪を奮うと、床が豆腐の様に裂け自在に形を変えて彼らの体を半分ほど飲み込んだ。
「無礼な、マスターを愚弄するとは!」
「ひぇぇ!!
お許し下さい!!」
半分ほど埋まった体では頭を下げるだけで精一杯で、滑稽なほど頭を上げ下げしてエリに許しを乞うている姿は、やはりクルミサイズ並みの脳みそしかないんだと思わしめた。
「とりあえず、矛盾しかないお前らの行動の責任をとってもらわないとね。
サリエルを王位に就かせて、失脚させるために僕らを巻き込んだって事で間違いないよね?
すべては皇族たちを一掃したいって事で、それをするに当たってドアイスの辺境伯の息子を供物にして国際問題へと発展させる、そして責任を取らせる形で皇族や諸侯を刷新させるのが目的って事だよね?」
はっきり言って全然関係ないことに巻き込まれて利用されるなんてまっぴらだった。
「申し訳ありません! ミッド様が摂政になって弟君が王位に就いてくだされば!」
どこの国でも王位問題ってあるけどさ。
「人を魔獣に食わせるとか、どんだけ身勝手なのかね」
「まさか、ラグ様を食わせると?」
ミワが低い唸り声と共に、彼らに牙を剥いた。
今にも彼らをかみ砕こうとしていた時、緑頭がふわっとちびっ子たちと現れて、アシッドたちを救出したことを告げた。
「エリ、地脈をパパたちが通れるようにして」
「はい、マスター。
この空間ごと、繋げます」
おー、っと思ってる間に壁が無くなったようにパパたちがいる場所と、このローション風呂の部屋がつながった。
見た目的には瞬間移動みたいだけど、実際は地脈をぎゅーっと縮めて一気につなげたって事なんだけど。
「ラグ! 無事だったか!」
パパが相変わらずのクオリティで僕を抱きしめた。
「パパ! アシッド無事だったんだね! ヒューゴも怪我はない?」
みんなの体をパパッと触って確かめると、ヒューゴがそれはやっちゃダメだろって腕をとられた。
「ラグが俺たちを思って確かめたことだとしても、ゲオルグの旦那を思うなら、お前はするな。
わかったか?」
「あ、うん、ごめんなさい」
「パパには構わないんだから、存分に確かめてね」
その場の空気をなのか、それとも単純にゲオルグに対抗してたのか、パパが抱きしめてほら、と促してくれた。
確かめるって事がお触りみたいな感じに受け止めちゃったら、ハグするのも意識してしまって確かめるどころじゃなくなった。
それを誤魔化すように、一連の騒動の大筋を伝えた。
「ミッドって人がこいつらをスパイとして送り込んでいて、サリエル殿下派の人間が僕を供物にしてゲオルグを家臣にすることで立場を強くしたかったらしいよ」
僕が話終わると、パパがミッド兄弟の話しは漏れ聞こえて来てた上に、ロッシの方の情報網で弟が盾に取られていることは確認済みだと教えられた。
「知らなかったのは僕だけ?」
「あ、いや、そうじゃなくて……、ゲオルグ殿の事もあってラグに教えたくなかったというか」
外交がパパの仕事なんだし、そういう情報があって当然なんだけど、ゲオルグがここに来ることも実は知ってたって事?! だから僕を下船させずに協議がすんだらさっさとこの国を離れようとしてたんだ。
「パパ、もしかして今までもこんな風にゲオルグとの再会を邪魔してたの?」
目を逸らすパパに詰め寄ると、邪魔をしたことは無かったけど、正直会わせたくなかった、とは言われた。
「私はラグとやっとこうやって一緒に居られるようになって、親子の時間を取り戻そうとしてるのに、すぐに結婚なんて! ラグをやっと抱きしめていられるのに、離したくなかった。
せめてデビュタントで自慢の息子を披露するまでは、私の可愛いラグでいて欲しかった」
困ったような表情でパパが僕の頭を撫でた。
こちらへ来ようとしてましゅが……>
エリなら地脈をここまで繋げるのは簡単だろう。
「エリ、ここへ繋げて。
ミワ、僕の元へ」
そう呟いたとたんに、ローション風呂が盛り上がりドーナツ型のお風呂の様にポッカリと穴が開いてミワが飛び出してきた。
「ラグ様!! お探ししました!」
「ミワ、ごめんね、ちょっと油断しちゃった。
エリも、心配かけたね」
エリは目に涙を溜めて、僕をギューッと抱きしめて来た。
「マスター!! 私が! 私がもっと気を付けていたら!」
「エリ、あの状況は僕の油断だし、誰のせいでもない。
それに、僕の力を知ってるだろう?」
「ですが、マスターの命が不滅なわけではありません!」
確かに不老不死ってわけじゃないけどさ。
「エリはアースドラゴンになっても弱虫だなぁ」
はるかに大きい男性の頭を背伸びして撫でて、そしてにっこりと笑って僕のためなら笑ってくれと言うと、顔を赤く染めて泣き止んだ。
見えない拘束で自由の利かない信徒たちは、僕たちの会話からアースドラゴンと聞いて、まさかだの、出まかせだのと口々に言っていたが、エリが手先だけをドラゴンのそれに変化させてその爪を奮うと、床が豆腐の様に裂け自在に形を変えて彼らの体を半分ほど飲み込んだ。
「無礼な、マスターを愚弄するとは!」
「ひぇぇ!!
お許し下さい!!」
半分ほど埋まった体では頭を下げるだけで精一杯で、滑稽なほど頭を上げ下げしてエリに許しを乞うている姿は、やはりクルミサイズ並みの脳みそしかないんだと思わしめた。
「とりあえず、矛盾しかないお前らの行動の責任をとってもらわないとね。
サリエルを王位に就かせて、失脚させるために僕らを巻き込んだって事で間違いないよね?
すべては皇族たちを一掃したいって事で、それをするに当たってドアイスの辺境伯の息子を供物にして国際問題へと発展させる、そして責任を取らせる形で皇族や諸侯を刷新させるのが目的って事だよね?」
はっきり言って全然関係ないことに巻き込まれて利用されるなんてまっぴらだった。
「申し訳ありません! ミッド様が摂政になって弟君が王位に就いてくだされば!」
どこの国でも王位問題ってあるけどさ。
「人を魔獣に食わせるとか、どんだけ身勝手なのかね」
「まさか、ラグ様を食わせると?」
ミワが低い唸り声と共に、彼らに牙を剥いた。
今にも彼らをかみ砕こうとしていた時、緑頭がふわっとちびっ子たちと現れて、アシッドたちを救出したことを告げた。
「エリ、地脈をパパたちが通れるようにして」
「はい、マスター。
この空間ごと、繋げます」
おー、っと思ってる間に壁が無くなったようにパパたちがいる場所と、このローション風呂の部屋がつながった。
見た目的には瞬間移動みたいだけど、実際は地脈をぎゅーっと縮めて一気につなげたって事なんだけど。
「ラグ! 無事だったか!」
パパが相変わらずのクオリティで僕を抱きしめた。
「パパ! アシッド無事だったんだね! ヒューゴも怪我はない?」
みんなの体をパパッと触って確かめると、ヒューゴがそれはやっちゃダメだろって腕をとられた。
「ラグが俺たちを思って確かめたことだとしても、ゲオルグの旦那を思うなら、お前はするな。
わかったか?」
「あ、うん、ごめんなさい」
「パパには構わないんだから、存分に確かめてね」
その場の空気をなのか、それとも単純にゲオルグに対抗してたのか、パパが抱きしめてほら、と促してくれた。
確かめるって事がお触りみたいな感じに受け止めちゃったら、ハグするのも意識してしまって確かめるどころじゃなくなった。
それを誤魔化すように、一連の騒動の大筋を伝えた。
「ミッドって人がこいつらをスパイとして送り込んでいて、サリエル殿下派の人間が僕を供物にしてゲオルグを家臣にすることで立場を強くしたかったらしいよ」
僕が話終わると、パパがミッド兄弟の話しは漏れ聞こえて来てた上に、ロッシの方の情報網で弟が盾に取られていることは確認済みだと教えられた。
「知らなかったのは僕だけ?」
「あ、いや、そうじゃなくて……、ゲオルグ殿の事もあってラグに教えたくなかったというか」
外交がパパの仕事なんだし、そういう情報があって当然なんだけど、ゲオルグがここに来ることも実は知ってたって事?! だから僕を下船させずに協議がすんだらさっさとこの国を離れようとしてたんだ。
「パパ、もしかして今までもこんな風にゲオルグとの再会を邪魔してたの?」
目を逸らすパパに詰め寄ると、邪魔をしたことは無かったけど、正直会わせたくなかった、とは言われた。
「私はラグとやっとこうやって一緒に居られるようになって、親子の時間を取り戻そうとしてるのに、すぐに結婚なんて! ラグをやっと抱きしめていられるのに、離したくなかった。
せめてデビュタントで自慢の息子を披露するまでは、私の可愛いラグでいて欲しかった」
困ったような表情でパパが僕の頭を撫でた。
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