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四度目です。
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新婚初夜、僕の愛する人はほかの人のところへ行ってしまった。
そして、この日を体験するのも四度目だった。
「承りました」
「だから、貴様とは!」
「破婚を受け入れました、そう、お応えしましたが?」
これが四度目の破婚宣言だった。
「これまでしつこく泣いてすがって来たではないか!
愛するサンドリオンに辛く当たって」
この四度目は破婚をすぐに受け入れる選択をしたのに、素直に受け入れて終わりにしてくれよ。
「お言葉ですが、僕があなたの正式な伴侶です。
サンドリオンは旦那様であるライフィット様の愛人と言う立場でしたから、きちんと屋敷内ので行動について弁えていただきたく、お話をさせていただきました。
当然、僕が破婚し正式に彼が旦那様の伴侶になられましたら、これまで許されなかった行動も許されるでしょう」
伴侶、つまりライフィット様は僕の旦那様でトライル公爵家の当主であり、この目の前で子鹿のごとく震え旦那様に支えて貰えないと動けませんって感じの青年がサンドリオンって本当の愛を知った相手らしい。
らしい、と言うのは一度目の選択ですがったら幽閉され地下でひっそりと死んでいった。
なので、知らない。
二度目の選択で、今と同じように破婚を受け入れて去る途中で、盗賊に襲われて拉致られて奴隷として売られたその日に死んだ。
なので、本当の愛だったかは知らない。
三度目の正直と言いたいが、盗賊は避けられたものの田舎で平凡な生活をしようとして、そこの領主にはめられて魔獣の生贄にされて死んだ。
なので、三度目の時も知らない。
イマココ。
四度目はどうでも良いとしか思えなかった。
ちなみにやり直しをしてる理由も意味も分からないが、死ぬと何故か初夜の日に戻っていた。
「ですから、僕が出て行ってこちらの方と再婚されれば、問題はないじゃないですか。
それに僕は最低限の苦言を呈しただけで、この方を蔑んだこともありませんが?
何故そのようになったのでしょう?」
さすがに三度もやり直し、四度目となればなるべく関わらないようにするし、向こうの手の内も分かってるわけで、避ける知恵だってつくので、この辛く当たってるっていう部分はサンドリオンの虚言と分かっていた。
「具体的なことは、その、ありませんけど、そう! 態度が! そう言ってたんです!」
あほか。
「そうでしたか。
ライフィット様、そのような態度はしたつもりもございませんでしたが、きっとこの方は僕の心を読める能力をお持ちの方だったんですね。
では、この場をお借りしまして、大変申し訳ございませんでした。
お二方ともお幸せに」
とにかく、彼らの思い通りにすればこの場から逃げられる、頭を下げて欲しいなら下げてやろうじゃないか。
「破婚のご報告をお任せしますので、では失礼いたします」
僕の実家への報告と、国王陛下への報告をお願いした。
そもそも、僕の実家はトライル公爵家と同じ四大公爵家で、こんな扱いをされるのは不当だった。
「貴様の実家なぞ」
「最後の責任ではございませんか?
貴方の不貞での破婚です。
僕はそれを快く受け入れました。
では、そのための手続きや、報告くらいはご自分でなさいませ」
最初は確かにこの人を愛していた。
だから縁談が来たときは嬉しくて、この人のもとへ行けると喜んださ。
国王陛下の命令で、無理やり婚姻した関係だったとしても、きっと心が通う日が来るってそう願って頑張ったつもりだった。
でもそんな日は来なかった。
一人で頑張っても、冷遇されてる身では殆ど意味がなかった。
かろうじて対面的なプライドだけは保てたが、公爵家の主に認められない伴侶なんて、居候と変わらなかった。
「国王陛下へ破婚の報告と再婚の報告があるじゃないですか、ね、ライフィット様。
僕も一緒にご挨拶をしに行くって話したじゃないですか、それにリカット様も出て行ってくださるんですし」
一刻も早く認めて貰いたいのか、未来の伴侶がそう言った。
「うむ」
「では、これにて」
踵を返して自室の荷物を取りに行くと、使用人たちから中身を開けられて金目の物を捕ろうとする場面に出くわした。
「出ていかれるときに公爵家の物を持ち出されては困りますので」
四度目だからね。
対策済みです。
「何か見つかりましたか?」
「いいえ、ではお早く出て行ってくださいまし」
侍従の一人がカバンを僕へと押し付けた。
本来なら、破婚したからって公爵家令息であることは変わりないのだけど、三度目まで実家を頼ったら死ぬ羽目になった気がするので、四度目は実家には報せずに出ることにした。
出戻るくらいなら、死ねということだと知ったのは生贄にされた三度目の時だった。
領主が最期にべらべらと話してくれたから分かったことだった。
敵はたくさんいるなぁ。
死に戻るんじゃなきゃ、このままでも良いんだけど、さすがに死ぬときは痛いし苦しいし、三回も死ねばその恐怖はすさまじいので、全力で彼らから逃げて天寿を全うしたいと思います。
この人と魔族が混在する世界で、生き延びます。
そして、この日を体験するのも四度目だった。
「承りました」
「だから、貴様とは!」
「破婚を受け入れました、そう、お応えしましたが?」
これが四度目の破婚宣言だった。
「これまでしつこく泣いてすがって来たではないか!
愛するサンドリオンに辛く当たって」
この四度目は破婚をすぐに受け入れる選択をしたのに、素直に受け入れて終わりにしてくれよ。
「お言葉ですが、僕があなたの正式な伴侶です。
サンドリオンは旦那様であるライフィット様の愛人と言う立場でしたから、きちんと屋敷内ので行動について弁えていただきたく、お話をさせていただきました。
当然、僕が破婚し正式に彼が旦那様の伴侶になられましたら、これまで許されなかった行動も許されるでしょう」
伴侶、つまりライフィット様は僕の旦那様でトライル公爵家の当主であり、この目の前で子鹿のごとく震え旦那様に支えて貰えないと動けませんって感じの青年がサンドリオンって本当の愛を知った相手らしい。
らしい、と言うのは一度目の選択ですがったら幽閉され地下でひっそりと死んでいった。
なので、知らない。
二度目の選択で、今と同じように破婚を受け入れて去る途中で、盗賊に襲われて拉致られて奴隷として売られたその日に死んだ。
なので、本当の愛だったかは知らない。
三度目の正直と言いたいが、盗賊は避けられたものの田舎で平凡な生活をしようとして、そこの領主にはめられて魔獣の生贄にされて死んだ。
なので、三度目の時も知らない。
イマココ。
四度目はどうでも良いとしか思えなかった。
ちなみにやり直しをしてる理由も意味も分からないが、死ぬと何故か初夜の日に戻っていた。
「ですから、僕が出て行ってこちらの方と再婚されれば、問題はないじゃないですか。
それに僕は最低限の苦言を呈しただけで、この方を蔑んだこともありませんが?
何故そのようになったのでしょう?」
さすがに三度もやり直し、四度目となればなるべく関わらないようにするし、向こうの手の内も分かってるわけで、避ける知恵だってつくので、この辛く当たってるっていう部分はサンドリオンの虚言と分かっていた。
「具体的なことは、その、ありませんけど、そう! 態度が! そう言ってたんです!」
あほか。
「そうでしたか。
ライフィット様、そのような態度はしたつもりもございませんでしたが、きっとこの方は僕の心を読める能力をお持ちの方だったんですね。
では、この場をお借りしまして、大変申し訳ございませんでした。
お二方ともお幸せに」
とにかく、彼らの思い通りにすればこの場から逃げられる、頭を下げて欲しいなら下げてやろうじゃないか。
「破婚のご報告をお任せしますので、では失礼いたします」
僕の実家への報告と、国王陛下への報告をお願いした。
そもそも、僕の実家はトライル公爵家と同じ四大公爵家で、こんな扱いをされるのは不当だった。
「貴様の実家なぞ」
「最後の責任ではございませんか?
貴方の不貞での破婚です。
僕はそれを快く受け入れました。
では、そのための手続きや、報告くらいはご自分でなさいませ」
最初は確かにこの人を愛していた。
だから縁談が来たときは嬉しくて、この人のもとへ行けると喜んださ。
国王陛下の命令で、無理やり婚姻した関係だったとしても、きっと心が通う日が来るってそう願って頑張ったつもりだった。
でもそんな日は来なかった。
一人で頑張っても、冷遇されてる身では殆ど意味がなかった。
かろうじて対面的なプライドだけは保てたが、公爵家の主に認められない伴侶なんて、居候と変わらなかった。
「国王陛下へ破婚の報告と再婚の報告があるじゃないですか、ね、ライフィット様。
僕も一緒にご挨拶をしに行くって話したじゃないですか、それにリカット様も出て行ってくださるんですし」
一刻も早く認めて貰いたいのか、未来の伴侶がそう言った。
「うむ」
「では、これにて」
踵を返して自室の荷物を取りに行くと、使用人たちから中身を開けられて金目の物を捕ろうとする場面に出くわした。
「出ていかれるときに公爵家の物を持ち出されては困りますので」
四度目だからね。
対策済みです。
「何か見つかりましたか?」
「いいえ、ではお早く出て行ってくださいまし」
侍従の一人がカバンを僕へと押し付けた。
本来なら、破婚したからって公爵家令息であることは変わりないのだけど、三度目まで実家を頼ったら死ぬ羽目になった気がするので、四度目は実家には報せずに出ることにした。
出戻るくらいなら、死ねということだと知ったのは生贄にされた三度目の時だった。
領主が最期にべらべらと話してくれたから分かったことだった。
敵はたくさんいるなぁ。
死に戻るんじゃなきゃ、このままでも良いんだけど、さすがに死ぬときは痛いし苦しいし、三回も死ねばその恐怖はすさまじいので、全力で彼らから逃げて天寿を全うしたいと思います。
この人と魔族が混在する世界で、生き延びます。
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