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四度目の真実
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今回は馬車ではなく馬を手配して、途中の町で乗り捨てた。
三度目は辻馬車を使って遠い町へ行ったけど、領主に捕まった。
実家からの追手だったから仕方なかったのかもしれないけど、足跡を残さないためには移動手段をいろいろ使って他国へ行くのが一番だろうと思った。
「魔法道具を買える店は近くにありますか?」
馬を引き取ってもらう店で聞いた。
「魔法道具なら、値は張るけど長靴の看板を出してる店に行ったらいいよ」
陽気な店主がそう答えた。
「ありがとう」
多分追手が来るなら当然聞くだろうから。
長靴の店で移動用の魔道具を二つ買って、次に呪術を扱う魔族の店へと行き、買った魔道具の一つに使用後次に使うときは行き先が魔獣の巣になるよう一種のトラップである呪いをかけて貰った。
「さて、ここから前回の領主の町へ行って、この道具を置いてくるか」
小さな宝石箱を開くと、移動の魔法陣が現れて僕を生贄にした領主の元へと移動した。
「ふぅ、あの禿の寝室に置いといてやるか」
欲だらけの領主なら、必ず開くと踏んで置いておいた。
「すぐ復讐できると思うけど」
結果を待っていたら逃げられないので、すぐさまもう一つの魔道具で移動した。
「国王陛下、ご報告いたします。
私ライフィット・トライルはリカットと破婚し、こちらのサンドリオン子爵令息と再婚いたします」
国王との謁見の場に二人で赴くと、その場にはリカットの実家であるチタワン公爵家の当主がいた。
「またもや、か。
ライフィットよ、一体どう言うことなのか説明をしてもらえるか?」
陛下も理解して下さっているのか、別段驚いた様子もなく聞かれた。
「はい、サンドリオンとは未来を誓った仲でしたが、リカットとの縁談によりそれも叶いませんでした。
ですが、この度、破婚を申し渡したところ、やっと受け入れましたのでご報告に上がりました」
チタワン公爵は顔をしかめ、陛下にすがるような表情を見せた。
私はやはり同じ血筋だと思った。
「そうか、ではトライル公爵家は今代限りの家門になるということなんだな」
「は? 陛下、何をおっしゃって」
「ライフィットよ、年々子供が減っているのは理解しているであろう?
チタワン家は貴族の中で唯一王族の血筋を保っている家系であり、最も王位に近い家であることも理解しておるな?
そして、リカットは隣国の王族からも縁談を望まれている希少な子なのも知っているであろう?」
陛下が言わんとしていることは理解できるつもりだが、子を成せるのはリカットだけではなく、サンドリオンだって成せると子爵家からは報告を受けていた。
それ以外に何があると言うんだ、と私は相手が国王陛下だというのに、苛立ちをそのまま言葉にした。
「サンドリオンの生家であるホース子爵家から、子を成せると報告を受けています」
「だが、平民奴隷出の血筋を公爵家とするわけにはいかん。
家門を降格させ子爵位にするしかない。
この国の法律はそう定めておる。
公爵、侯爵、伯爵まではその血筋が確かであることとし、公爵家は必ず王家の血筋を一代おきには残すことを義務とすること、それは昔、聖者様の子孫を守るための法律であった。
また簒奪が起こらないように、聖者様が望んだ平和であり貴族としての公平さを保つためでもある」
「陛下、リカットを追跡させておりますが、未だ発見出来てません。
こやつの手のものを数人捕らえましたが、街道沿いの盗賊は失敗していたようで、足取りが掴めません。
不幸中の幸いは、ホース子爵らも掴めていたないと言うことだけで」
チタワン公爵が焦り気味に話を遮った。
だがそれより、陛下が発した言葉のほうが気になった。
「平民奴隷とは、いったい」
「そこな子爵令息だ。
子爵家は血筋に縛りはないからな」
高位貴族と下位貴族の区別があった。
そして、下位貴族にはここまで詳しく血筋の話は出ていなかった。
「まさか、サンドリオン?」
「違います、違うの、僕だってホース家の息子です!」
平民奴隷でもサンドリオンを愛す自信があった。
「大丈夫だ、サンドリオン。
私はお前がどんな血筋でも」
「ダメ! だって公爵家がなくなるなんて、僕は日陰者でもがまんするし、愛してるのは僕だけでしょ?」
抱きしめようとすると、スッと避けられた。
「そこの、茶番は結構だ。
ホース家の悪事は露呈している、すでに家門は取り潰しは確定しておる」
「え、そ、んな」
崩れ落ちたサンドリオンを支えようとすると、私も王室の騎士たちに囲まれた。
王族の騎士が数名サンドリオンを立ち上がらせ、私は剣を突きつけられてサンドリオンが後ろ手に縛られるのを見ていることしかできなかった。
「何をする!!
私が何をした!」
「リカット・チタワン令息暗殺計画に加担疑惑がある」
騎士の一人がそう告げた。
「は?」
寝耳に水としか言いようがなかった。
「貴殿はそこの者に利用されていたのだ」
「私は加担などしていない!
サンドリオンもリカットから嫌がらせをされた仕返しをしただけで!」
「リカットに破婚を持ち掛けるように唆され、その裏も理解せずことを起こしてしまったのは十分加担しておるわ!
まして、勅命を反故にするなど反逆とされてもおかしくない!
なぜここまで把握しているか分かるか?
聖者様のお力のおかげだ!
お前も本来なら四度目のはずだ!」
そこまで言われても、何が何だか理解できなかった。
「愚かにもほどがある。
毎回出遅れおって、一度目は幽閉されていたため分からなかったが、二度目は盗賊に拉致され奴隷として殺され、三度目はチタワンがリカットをどれだけ大切にしていたか理解した上で、魔獣への生贄にされた。
リカットの聖者様の生まれ変わりと言われるほどの聖力が、どれほど貴重だと思っておるのだ!
そして、今この時でさえリカットの命が狙われているというのに!」
陛下は立ち上がって、総力をあげてリカットを保護しなければと、騎士たちを動かしていた。
意味が分からなかった。
「聖者様の血を継ぐからこそ、リカットと同じように回帰しているんだ」と言われても分からなかった。
三度目は辻馬車を使って遠い町へ行ったけど、領主に捕まった。
実家からの追手だったから仕方なかったのかもしれないけど、足跡を残さないためには移動手段をいろいろ使って他国へ行くのが一番だろうと思った。
「魔法道具を買える店は近くにありますか?」
馬を引き取ってもらう店で聞いた。
「魔法道具なら、値は張るけど長靴の看板を出してる店に行ったらいいよ」
陽気な店主がそう答えた。
「ありがとう」
多分追手が来るなら当然聞くだろうから。
長靴の店で移動用の魔道具を二つ買って、次に呪術を扱う魔族の店へと行き、買った魔道具の一つに使用後次に使うときは行き先が魔獣の巣になるよう一種のトラップである呪いをかけて貰った。
「さて、ここから前回の領主の町へ行って、この道具を置いてくるか」
小さな宝石箱を開くと、移動の魔法陣が現れて僕を生贄にした領主の元へと移動した。
「ふぅ、あの禿の寝室に置いといてやるか」
欲だらけの領主なら、必ず開くと踏んで置いておいた。
「すぐ復讐できると思うけど」
結果を待っていたら逃げられないので、すぐさまもう一つの魔道具で移動した。
「国王陛下、ご報告いたします。
私ライフィット・トライルはリカットと破婚し、こちらのサンドリオン子爵令息と再婚いたします」
国王との謁見の場に二人で赴くと、その場にはリカットの実家であるチタワン公爵家の当主がいた。
「またもや、か。
ライフィットよ、一体どう言うことなのか説明をしてもらえるか?」
陛下も理解して下さっているのか、別段驚いた様子もなく聞かれた。
「はい、サンドリオンとは未来を誓った仲でしたが、リカットとの縁談によりそれも叶いませんでした。
ですが、この度、破婚を申し渡したところ、やっと受け入れましたのでご報告に上がりました」
チタワン公爵は顔をしかめ、陛下にすがるような表情を見せた。
私はやはり同じ血筋だと思った。
「そうか、ではトライル公爵家は今代限りの家門になるということなんだな」
「は? 陛下、何をおっしゃって」
「ライフィットよ、年々子供が減っているのは理解しているであろう?
チタワン家は貴族の中で唯一王族の血筋を保っている家系であり、最も王位に近い家であることも理解しておるな?
そして、リカットは隣国の王族からも縁談を望まれている希少な子なのも知っているであろう?」
陛下が言わんとしていることは理解できるつもりだが、子を成せるのはリカットだけではなく、サンドリオンだって成せると子爵家からは報告を受けていた。
それ以外に何があると言うんだ、と私は相手が国王陛下だというのに、苛立ちをそのまま言葉にした。
「サンドリオンの生家であるホース子爵家から、子を成せると報告を受けています」
「だが、平民奴隷出の血筋を公爵家とするわけにはいかん。
家門を降格させ子爵位にするしかない。
この国の法律はそう定めておる。
公爵、侯爵、伯爵まではその血筋が確かであることとし、公爵家は必ず王家の血筋を一代おきには残すことを義務とすること、それは昔、聖者様の子孫を守るための法律であった。
また簒奪が起こらないように、聖者様が望んだ平和であり貴族としての公平さを保つためでもある」
「陛下、リカットを追跡させておりますが、未だ発見出来てません。
こやつの手のものを数人捕らえましたが、街道沿いの盗賊は失敗していたようで、足取りが掴めません。
不幸中の幸いは、ホース子爵らも掴めていたないと言うことだけで」
チタワン公爵が焦り気味に話を遮った。
だがそれより、陛下が発した言葉のほうが気になった。
「平民奴隷とは、いったい」
「そこな子爵令息だ。
子爵家は血筋に縛りはないからな」
高位貴族と下位貴族の区別があった。
そして、下位貴族にはここまで詳しく血筋の話は出ていなかった。
「まさか、サンドリオン?」
「違います、違うの、僕だってホース家の息子です!」
平民奴隷でもサンドリオンを愛す自信があった。
「大丈夫だ、サンドリオン。
私はお前がどんな血筋でも」
「ダメ! だって公爵家がなくなるなんて、僕は日陰者でもがまんするし、愛してるのは僕だけでしょ?」
抱きしめようとすると、スッと避けられた。
「そこの、茶番は結構だ。
ホース家の悪事は露呈している、すでに家門は取り潰しは確定しておる」
「え、そ、んな」
崩れ落ちたサンドリオンを支えようとすると、私も王室の騎士たちに囲まれた。
王族の騎士が数名サンドリオンを立ち上がらせ、私は剣を突きつけられてサンドリオンが後ろ手に縛られるのを見ていることしかできなかった。
「何をする!!
私が何をした!」
「リカット・チタワン令息暗殺計画に加担疑惑がある」
騎士の一人がそう告げた。
「は?」
寝耳に水としか言いようがなかった。
「貴殿はそこの者に利用されていたのだ」
「私は加担などしていない!
サンドリオンもリカットから嫌がらせをされた仕返しをしただけで!」
「リカットに破婚を持ち掛けるように唆され、その裏も理解せずことを起こしてしまったのは十分加担しておるわ!
まして、勅命を反故にするなど反逆とされてもおかしくない!
なぜここまで把握しているか分かるか?
聖者様のお力のおかげだ!
お前も本来なら四度目のはずだ!」
そこまで言われても、何が何だか理解できなかった。
「愚かにもほどがある。
毎回出遅れおって、一度目は幽閉されていたため分からなかったが、二度目は盗賊に拉致され奴隷として殺され、三度目はチタワンがリカットをどれだけ大切にしていたか理解した上で、魔獣への生贄にされた。
リカットの聖者様の生まれ変わりと言われるほどの聖力が、どれほど貴重だと思っておるのだ!
そして、今この時でさえリカットの命が狙われているというのに!」
陛下は立ち上がって、総力をあげてリカットを保護しなければと、騎士たちを動かしていた。
意味が分からなかった。
「聖者様の血を継ぐからこそ、リカットと同じように回帰しているんだ」と言われても分からなかった。
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