10 / 19
知らなかった事実
しおりを挟む邸宅迄ギルバルディとカサルが送り届けてくれて、そのまま皇帝への対処なんかを話し合う事になった。
「シアン、いや、エルモア、皇帝は君と子供を守るつもりだ。
君だけででなく、お腹の子供さえも金色の魔法使いとしての庇護下に置くと決められたんだ」
ギルバルディは皇室との繋がりと言う部分で、皇帝がそう決めたのだと教えてくれた。
要は、僕だけの子供って言う部分を、皇室の庇護下に有る子供だと公表したのだ、と。
「そうですよね、未婚のしかも男の僕が子供を」
「そうだな。
しかし、そうせざる負えない事情があったのだからしかたないさ。
私とて軍部にも伝手はあるからな。
先日、ご両親から出た名前が軍部にいたと、カサルが報告して来た。
大体の事情は察したから、安心していい」
そうか、ベオクの事もバレてるのか。
「向こうの子供の方が少し早く生まれそうだな」
え? 子供?
「あ、はは、そう、なんですね。
僕の子供より、早く、そうなんだ」
前に来た手紙。
それに会いに行った時の周りとの会話。
あれは全部、僕の事じゃなかったんだ。
微妙に食い違う会話なのに、認めたくなかった。
一緒にいられるってベオクの言葉を信じて、見て見ないふりをした。
「まさか、知らなかったのか?」
ギルバルディが顔色を変えて、僕がその事実までは知らなかった事を認識した。
「そんな風な手紙が彼の相手から届いていたんですが、彼を好きだったから……。
それに、迎えに来るって言ってたのに……!」
この時初めて僕は涙が溢れた。
「エルモア、君には悪い事をした。
てっきり、全てを知ってるものだと」
「多分、そうだろうとはうすうす感じていましたから」
蓋をしたのは自分だ。
「泣かんでええ、悪いんはアイツや。
軍部と魔法管理部は切っても切れん部署やから、いずれはシアンの事も耳に入るやろうけど、それは全てが整った後や。
皇帝っちゅう後ろ盾がしっかり構えてんのや、安心しい。
ざまぁ見さらせって思っときぃや」
「僕は子供の為に強くなります。
その為にはちゃんと魔法を使えるようにならないと」
カサルの懐かしいイントネーションに救われ、クールだったギルバルディの焦った表情になんとなく安堵して、僕は二股をかけられたことに憤慨しながら復讐を誓った。
魔法の使い方はほぼイメージ力だった。
まぁ、魔力が無いと出来ない事だけど、これってチートとしか言いようが無かった。
本来は魔法陣だの術式だのって手順が必要なのに、僕はこんな風なのっていうくらい適当なイメージで魔法を繰り出すことが出来た。
異世界あるあるだ。
そして、お腹の子が少しずつ育っていくと、お医者さんが魔法でお腹にスペースを作ってくれた。
まさに妊夫って感じのお腹になっていった。
そんな風にして過ごす間、ベオクの情報は全く入って来ることは無かった。
ギルバルディの気遣いだろうと思うけど、敢えて口には出さなかった。
忘れる事は多分難しいけど、気にしないでいる事には慣れた。
両親からもその名前が出る事は無く、定期的に手紙が届いたり僕の好きな食べ物を送ってくれたりした。
相変わらず魔力通信を使わない両親に笑いが出るけど、シアン、って必ず書いてくれていることに安心感があった。
23
あなたにおすすめの小説
【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません
カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」
ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。
(これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!)
妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。
スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。
スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。
もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます?
十万文字程度。
3/7 完結しました!
※主人公:マイペース美人受け
※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。
たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
【完結】運命じゃない香りの、恋
麻田夏与/Kayo Asada
BL
オメガ性のリュカ・レバノンは、王国の第一王子ダイセルが見初めた、彼の運命の番だ。だが、ダイセル王子に無体な真似を働かれ、リュカは婚約の王命を断ろうとする。当然、王宮からの追っ手が来たところで──「そなた、何やら素晴らしい香りをしているな」。その声は、国一番の魔術師兼調香師のマシレ・グラースのものだった。調香師アルファ×不幸めオメガのラブストーリー。
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです
チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》
歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。
ほのぼのです。よろしくお願いします。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
既成事実さえあれば大丈夫
ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。
Bランク冒険者の転落
しそみょうが
BL
幼馴染の才能に嫉妬したBランク冒険者の主人公が、出奔した先で騙されて名有りモブ冒険者に隷属させられて性的に可哀想な日々を過ごしていたところに、激重友情で探しに来た粘着幼馴染がモブ✕主人公のあれこれを見て脳が破壊されてメリバ風になるお話です。
◯前半は名有りモブ✕主人公で後半は幼馴染✕主人公
◯お下品ワードがちょいちょい出てきて主人公はずっと性的に可哀想な感じです(・_・;)
◯今のところほとんどのページにちょっとずつ性描写があります
悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される
木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる