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フィナンシェと王妃そして……
しおりを挟む項垂れてる公爵はどうでもよくて、どうにか王弟と王妃を捕まえてこんなバカげたことを終わらせる事に専念したかった。
「そろそろ門に着くころでございましょう」
王弟が来たらまずは、公爵が僕に執着してる所を見せて、と思ったら先に僕がとどめを刺した様な状態でどこの俳優だよってくらい一人芝居に浸っていた。
可哀そうな自分、って役に。
「あのせめて、今回の作戦に協力はしてもらえませんか?
今約束してもらえないなら、敵だと思います」
「そうしたらローレンツォは幸せになれるのかい?」
「少なくとも、幸せになるための選択肢が出来ます」
「分かった。
協力する。
但し、事が全て片付いたら一度だけちゃんと話をしよう。
私が一方的過ぎた」
渡りに船って勢いで離婚をしたから納得しないのか、いや、離婚を言い出したのは公爵じゃないか。
「話し合いの結果は求めませんか?」
「求めないと誓う」
落としどころを見つけたとこでタイミングよく目的の二人が現れた。
「ギモーブ、こんなことも簡単に始末できないのか!」
「ですが、モンブラン公爵様が……」
「ザッハトルテ、そんなどこの馬かも分からん奴と結婚したくないと散々言っていたではないか!
今は国王陛下の体調も思わしくないのだから、ちゃんとした女を娶って子を成せ」
「そうですよ、王族が減ってしまう訳には行きません。
義務なのですから。
このままでは王太子だけになってしまうわ。
まだ結婚前ですし」
国王陛下が逃げて潜んでいるのをいいことに、体調が悪いと誤魔化していたのか。
「王弟殿下、両親が亡くなってから自分の家族が出来る事を考えなかったわけではありません。
ですが、何故両親が亡くなったのか、それを考えると易々と家族を増やすことも出来ません。
母上が貴方の姉だったのですから、分かって下さるはずではないですか?」
え、随分さっきと違う。
「妻や子がまた母上たちの様に毒殺されたり、事故を装って殺されでもしたら悲しみで死んでしまうかもしれません」
ご両親って殺されてたの?
早くに亡くなったって言うのは知っていたけど。
これってもしかしてバカを演じていた、とかって落ちではないかと疑うほど、先ほどまでのおかしい公爵では無かった。
「ザッハトルテ、だからこそだ。
姉上の忘れ形見であるお前が、家族も無く孤独に過ごす姿を見ていたくない。
だがそこの馬の骨はお前に執着し、将来持てるはずの家族の邪魔をしようとしてるではないか!
姉上はあんなに私達や家族を大事にして下さった方だ。
母親代わりと言っても過言ではない姉上の為にも」
王弟フィナンシェは自分に都合よく話を組み立てて、まるで僕が公爵と離れたくないように言っていた。
「王弟殿下、いえ、叔父上。
ならば何故、最初からマカロンのような平民上がりの新興貴族の子、しかも男のローレンツォを私に寄越したのですか!?
私の為? 違うだろ! 自分たちの欲望の為ではないか!
母上を毒殺し、次に父上を事故にみせかけて惨殺し、子供だった私なら御しやすいとでも思っていましたか?!」
僕の知ってるモンブラン公爵でも、ここにきてから見た勘助の公爵でもない、とても力強い意志を持った王族の血を引く公爵だった。
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